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妖怪アマビエの正体!?

妖怪はどのように誕生したのか
僕はお化けや幽霊・妖怪のたぐいが実在しているとは毛の先ほども信じていない。といっても、まるっきり関心がないというわけではない。実在するとは思えないモノが、どうしてして生まれ、なぜ伝承されてきたのか──という点には興味を感じる。
実体はないのに情報だけが伝播拡散する──これは不思議なことだ。この「不思議」がどのように成立(実現)したのか考えてみたくなる。
これは、昆虫の姿や行動を見て不思議に感じ「どうしてこんな姿や行動が成立したのだろう?」と想像をめぐらせてしまうのと同じ。実在しない妖怪の伝承が、どのように形成されたのか──「不思議」に合理的な解釈を求めてみたくなる。
01昆虫の不思議

予言する妖怪・アマビエと神社姫
最近人気急上昇中の妖怪アマビエは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック禍中で「疫病退散」のアイコン的存在として祭り上げられた妖怪だ。江戸時代後期に現れ「私は海中に住むアマビエと申すものである。今年から6ヶ年のあいだ諸国は豊作になる。しかし病が流行するから、早々に私を写して人々に見せよ」と語ったとされている。これにならって、疫病退散祈願のアマビエを描いた絵がネット上に増殖し、アマビエグッズも出回る昨今である。

実はアマビエの目撃記録は1例しかなく、それ以前に同様の予言をした妖怪の記録はいくつもあるらしい。神社姫もそのひとつで、長い髪に龍の体といった絵が残されている。海から現われた神社姫は「我は龍宮よりの使者・神社姫である。向こう7年は豊作だが、その後にコロリという病が流行る。しかし我の写し絵を見ればその難を逃れることができ、さらに長寿を得るだろう」と語ったという。
僕はアマビエの起源はこの神社姫を経由してリュウグウノツカイ(実在の深海魚)にあるのではないかとみている。

長い髪をはやしているかのようにも見える珍怪魚リュウグウノツカイ──龍のようなこの姿を目にした昔の人はさぞかし驚いたことだろう。写真や映像の記録手段がなかった時代──その姿を記録すべく目撃者が描いた絵を、他者が目にしたら「長い髪をはやした人面に龍の体をもつ妖怪」に見えたに違いない──これが「神社姫」の発端ではないかと僕は想像している。
02龍宮の使い
もちろんリュウグウノツカイが人間の言葉を話すことなどあり得ないから、神社姫が語ったとされるセリフは人による創作であることは明白だ。
それでは《疫病流行の予言》と《神社姫の姿を写した絵を見ることで難を逃れ長寿を得る》という話は、どういう経緯で付加されることになったのだろう?

情報は伝播の中で進化する!?
科学的な尺度が乏しかった昔の人は、生活が影響を受ける吉凶の判断・前兆現象には関心が高かったろう。深海魚であるリュウグウノツカイが目撃されることは珍しく、めったにないことが起これば吉凶に結びつける風習はありがちな気がする。じっさいにリュウグウノツカイの出現を地震の前兆と結びつけた俗説もあるとか? 東日本大震災(2011年3月)の前(2011年1〜2月)にも日本各地でリュウグウノツカイが目撃されていたそうだ。
昔の人が珍しい怪魚の目撃情報とその後に流行った疫病を結びつけて「怪魚が現われたのは凶事(疫病流行)の前兆だったのかもしれぬ」と考えても、ちっとも不思議はない。こうした流れで「怪魚は疫病を予言しに現れる」というストーリーが生まれ、リュウグウノツカイの目撃情報があると、人々の噂になったり瓦版に取り上げられたりしていたのかも知れない。
瓦版はこうしたネタにとびついたろう。しかし「疫病を予言する妖怪が現われた」というだけでは、その予言を知ったところで運勢を変えることはできないのだから何の足しにもならない──そう思って瓦版の購入をひかえる人も多かったろう。
これが、やがて訪れる災難を回避する方策が載っているとなれば──厄よけの効果がある、ありがたい瓦版ならば買い求める人は増える。そうした事情から瓦版情報には「情報の価値を高める演出(掲載された図に除災効果がある等)」が加えられ、それが広まり、また「記録」として残ったのではないか。

情報は伝播力の強いものが優勢となる。伝承も伝播拡散をくり返す中で、よりキャッチのよいバージョンが選択的に生き残り《進化》する──そんな現象がありそうな気がする。元となるエピソードは風化し、情報の価値を高める演出がほどこされたバージョンが残る……そんな情報進化(?)の中で妖怪が生まれ、記録として残されてきたのではないかと想像する。

リュウグウノツカイを起源とするうわさ話にもこうした力学(?)が働き、情報価値を高める方向に誘導されてく過程で《予言と厄よけの神通力》が加えられたのではないだろうか? 同様の理由で、神秘性を高めるために珍怪魚自身に「竜宮からきた」と語らせた……細かいところはわからないが、おおむねこうした背景があって、神社姫の伝説が生まれたのではないかという気がする。
実在する深海魚にリュウグウノツカイという名前がつけられたのも、「龍宮の使い」を名乗ったという神社姫(姿が似ている)の伝承にちなんでのことだったにちがいない。

アマビエの正体
リュウグウノツカイを起源に生まれた神社姫が、アマビコを経てアマビエ(アマビコを誤読しての誤記?)になったのではないか……僕はそんな風に考えている。
ただ、残された資料を見ると、リュウグウノツカイとアマビエではプロポーションが大きく異なっている。
03アマビエ神社姫
図を見比べるとアマビエと神社姫の姿はまるっきり別のものに感じられるが、〝波の上に直立〟しているアマビエが、実は〝波打つ海面から頭を持ち上げている神社姫〟だったという解釈はできないだろうか? よく考えてみれば波の上に3本の脚で立っているというのもおかしなものだ。3本の脚のように描かれているのは、実は神社姫が上半身を海面から突き出した時の〝ザバッ(体に引っ張り上げられる水のふち)〟を表現しているようにも見える。
アマビエは口が飛び出しているが、リュウグウノツカイの口も開く時には飛び出す構造になっている。アマビエは光るとされているが、リュウグウノツカイも光を反射して銀色に輝くらしい。アマビエの髪はリュウグウノツカイの頭頂部にある長いひれのようにも見える。

「アマビエ」はリュウグウノツカイ起源の「神社姫」──それで予言めいたセリフも受け継がれることになったのではないか……。リュウグウノツカイを目撃あるいは記載した人が「神社姫」の伝承を思い起こし、同様に予言をする妖怪「アマビコ」と混同して、予言妖怪の記事にした……そして「アマビコ」の「コ」を「エ」と誤認(誤読)していたことから「アマビエ」と記載されてしまった……。
あくまでも個人的な想像にすぎないが、そう考えると、いちおうなんとか筋は通るのではないかという気がするのである。



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