メタリックな美麗昆虫10種

メタリックな輝きを放つ美しい昆虫
昆虫の中には金属的な光沢や宝石のような輝きを持つものがいる。これまでに僕が撮った画像の中からきれいな昆虫を10種ほどまとめてみた。

01銅猿葉虫A再
メタリックな光沢が美しい宝石のようなアカガネサルハムシ(体長7mm前後)。美麗昆虫として名高いヤマトタマムシ(体長30〜41mm)に比べるとぐっと小ぶりだが、鮮やかな輝きはひけをとらない。光沢昆虫は見た目の美しさを画像に収めるのが難しい。まぶしく輝く部分に露出を合わせると他の部分が暗くなってしまうし、他の部分に露出を合わせると輝きの部分が白っぽくとんでしまい実際の輝きが伝わりにくい。そんな中で比較的〝輝いている感じ〟がうまく撮れたかと思われた1枚⬆だったが……残念なことにこの個体は右触角の先が2節ほど欠けていた。これ⬇は別個体。
02銅猿葉虫B
成虫が現れるのは5〜8月。ノブドウやエビヅルでよく見かける。成虫は葉を食べているが、幼虫は根を食べるらしい。ありふれた虫ではあるけれど、〝身近に見られる美麗昆虫〟というところが良い。
03銅猿葉虫C
余談(ジョーク)だが……アカガネサルハムシの「サル」を「申(さる)年」にかけて年賀ブログに登場させたことがあった。「サル」を「申」と記せば「アカガネ申ハムシ」→「アカガ 神 ハムシ」(亜科が神ハムシ)と読めなくもない!?

04タマムシ@葉
メタリックな輝きを放つ美麗昆虫といえばタマムシ(ヤマトタマムシ)を思い浮かべる人が多いだろう。国宝の「玉虫厨子(たまむしのずし)」は有名だし、見る角度によって色合いが変化するメタルカラーから「タマムシ色」などという言葉もある。漢字表記では「玉虫」──この「玉」は「玉石混淆(ぎょくせきこんこう)」の「玉(ぎょく)」──宝石のことだろう。あるいは「吉丁虫」とも書き、縁起の良い虫ともされる。

タマムシのメタルカラーは体の表面が多層薄膜構造になっていることから生み出される光学的な色彩らしい。これはオスがメスを見つけるのに役立っているそうで、タマムシの大きな眼を見ると視覚依存度が高そうなこともうなずける。
また、キラキラ光ることは鳥に対して忌避効果があるとも言われている。鳥除けを目的に田んぼに設置された反射テープやCDなどを見ると、そういった効果もあるのかもしれない。自然界では捕食者にとって餌となる生き物は目立たないように進化したものが多く、逆に「目立つものは警告的意味合いを持つ」生き物が多い。それでキラキラ光って遠くからでもよく目立つものは警戒したくなるのかもしれない。

しかし、この〝目立つこと〟が「はったり」だと見破られ、エサになることがひとたび認識されてしまえば、逆に目立つことで狙われやすくなるというリスクがあるはずだ。ヤマトタマムシの金属光沢による忌避効果がいかほどのものか……じゃっかん疑問を感じないでもない。というのは、以前、タマムシが産卵に来る伐採木置き場で、日中、腹を食われたヤマトタマムシを見たことがあったからだ。そばからカラスが飛び立ったので、そのカラスが伐採木置き場にやってくるヤマトタマムシを待ち受けて捕食していたのではないかと考えた。この場所で何度かカラスを見ている。
05タマムシ腹欠A
06タマムシ腹欠B
この腹の無いタマムシはしきりと脚を動かし、こんな状態になりながら上翅を開いたり閉じたりしていたから、まだ被害にあってさほど経っていなかったのだろう。小さなアリが来はじめていたが、まだ少ない──時間が経っていればもっとたくさん集まっていたはずだ。日中に、こんな食い方をするのはカラスではなかろうか?
カラスはカブトムシやクワガタが集まる樹液ポイントを覚えているようで、その近くで腹の無いカブトムシやクワガタがもがいている姿をよく目にする。頭の良いカラスなら同様にタマムシが飛来する産卵ポイントを覚えていて待ち構えて捕食していてもおかしくない気がする。

本来(?)鳥にはキラキラ光る物を警戒する本能が備わっているのかもしれないが……中には冒険家の個体(?)がいて、手を出してみたら「食える」ことがわかり、一転して狙うようになる──というケースもあるのかもしれない?

07青斑玉虫A
ヤマトタマムシほど派手ではないが、深緑色の光沢があるアオマダラタマムシ(体長17〜29mm)。春に見つかるのは越冬個体なのか赤紫色がかっていて美しい。同じ個体を別アングルで撮影⬇。
08青斑玉虫B
見る角度によって赤紫に輝く部分と緑色に輝く部分が変化する。この角度からは体の右側で赤みが強く左側は緑色に見える。
アオマダラタマムシの飛翔の瞬間(別個体⬇)。腹の背面はこんな色。
09青斑玉虫C

10六星玉虫A
ヤマトタマムシに比べるとかなり小さいし地味なムツボシタマムシ(体長7〜12mm)。背中に並んだ6つの紋は凹んでいて見る角度で色合いが変わる。翅を閉じた通常の姿は地味なのだが……飛翔時にあらわになる腹の背面がエメラルドのように美しい。
11六星玉虫B
12六星玉虫C
初めて宝石のように輝く腹の背面を見た時は、通常の地味な姿との格差に驚いた。飛翔時に目立つこの輝きは配偶相手を見つける標識として役立っているのかもしれない。輝くことで天敵の鳥などに狙われやすくなりそうな気もするが、そのさい標的にされる〝エメラルドの輝き〟は着陸して翅を閉じてしまえば消えてしまう──目立つ標的を見せておくことによって(天敵はその目立つ特徴にターゲットを絞る)かえって(翅を閉じたときの)隠蔽効果を高める陽動的な効果もありそうな気がする。
トカゲが尾を自切して敵から身を守ることは良く知られているが、ニホントカゲの幼体の尾もサファイアのように輝いている。切れた目立つ尾に敵の注意を向けさせて捕食を逃れる──同じような《陽動効果》をムツボシタマムシのエメラルドの腹にもあると考えるのは、そう不自然なことではないだろう。前述のヤマトタマムシが(忌避効果があると言われる?)〝目立つ輝き〟を持ちながら食われてしまうケースがあることを考えると、翅を閉じることで〝目立つ輝き〟をOFFにできるムツボシタマムシの対捕食者戦略(?)は理にかなっているように思われる。

13赤脚大青天牛A
アカアシオオアオカミキリ(15〜30mm)も金緑色に輝く美しい昆虫だが、アカガネサルハムシやタマムシの輝きとは質感(?)に少し違いがある。タマムシなどは滑らかな表面が輝いているように見えるが、アカアシオオアオカミのきらめきはざらついた表面で光が細かく反射しているような感じがする。実際に拡大すると、輝く頭部・前胸・翅鞘(上翅)には細かい凹凸があるのがわかる。
14赤脚大青天牛B
15赤脚大青天牛C
反射面の細かい凹凸が無数の反射光の点をつくり、キラキラした輝きを生み出している。

16ルリカミキリA
ルリカミキリ(9〜11mm)は橙色の体に瑠璃色にかがやく翅鞘(上翅)が美しい。カマツカ・ナシ・ヒメリンゴなどのバラ科植物につくらしいが、ホスト(寄主植物)のひとつベニカナメモチの植込みが増えたことで、最近は住宅街でも見ることができるようになった。小ぶりでSD(スーパーデフォルメ)風のボディラインも可愛らしいカミキリ。

17陣笠葉虫A
ジンガサハムシ(7〜9mm)はコンタクトレンズのようなボディラインを持ち、光を反射する金色の部分と光を吸収する黒い部分、そして光を透過させる透明部分を兼ね備えたユニークな昆虫。食草であるヒルガオの葉の裏にとまっていることが多い。陽にあたると金色の部分がキラキラ輝いて美しいのだが、すぐ葉の裏に隠れたり飛んだりするのでなかなかきらめく姿を撮らせてもらえない。あまり良い画像が残っていなかった……。
セモンジンガサハムシ(6mm前後)は黒地に金色の「X」模様のコントラストが美しい。こちらはサクラの葉の裏にとまっていることが多い。
18背紋陣笠葉虫A
トレードマークの「X」模様が金色に発色するまで羽化してから20日ほどかかるらしい。

19青口太亀虫A
狭山丘陵ではよく見られるアオクチブトカメムシ(16〜23mm)もややザラっとした感じの表面が光を反射してきらめく奇麗なカメムシ。蛾の幼虫などを捕えて体液を吸う。日陰で撮るとキラキラ感がなかなかでず、陽が当るところで撮ると、まぶしく輝く部分がとんで、そうでない部分がつぶれがちになるので、見た目の美しさを画像で再現するのが難しい。
20青口太亀虫B
光の当たるとざらつきのある表面に細かい反射光の点がちりばめられたようにキラキラ輝く。見る角度で、緑〜赤の色合いが変わる。

21赤筋金亀虫A
アカスジキンカメムシ(18mm前後)は、メタルグリーンのボディに赤い模様が鮮やかな美しいカメムシ。きらめくメタルグリーン部分は、黒地に小さな輪紋が敷きつめられたように広がっている。タマムシのメタルカラーは標本になっても(死んでも)保たれるが、カメムシは標本にすると色褪せてしまうようだ。
ところが、色褪せたアカスジキンカメムシ(死骸)も、水分を与えると美しさがよみがえる。クモの巣に引っかかっていたアカスジキンカメムシの残骸──すっかり黒くなった前胸を水を含んだ筆で濡らしてみたところ、すぐにメタルグリーンの輝きが復活したので驚いたことがあった⬇。
22赤筋金亀虫B実験
アカスジキンカメムシは、羽化や脱皮をしたあとの《抜け殻を落とし》でよく観察した、僕にとっては馴染みのあるカメムシだ。

メタリックな輝きが美しい昆虫と言えば、セイボウ(青蜂)の仲間も目を見はるものがある。金属光沢のあるボデイに凹面鏡のような点刻がほどこされ、さらに光の粒に包まれたような輝き方をする。これは先日【宝石蜂セイボウ:輝きの秘密と生活史考】でプチまとめ記事にしているので、そちらをご覧あれ。



虹色の輝き!アカガネサルハムシ
タマムシとコガネムシ
輝くアオマダラタマムシと銀の蛾
エメラルドを隠し持つムツボシタマムシ
変化する輝き!?アカアシオオアオカミキリ@葉
可愛い悪役!?ルリカミキリの産卵
金色に輝くジュエリー昆虫
ゴールドX:セモンジンガサハムシ
アオクチブトカメムシの輝き
アカスジキンカメムシぷち実験で輝き復活
カメムシの奇行!?抜け殻落としプチまとめ
宝石蜂セイボウ:輝きの秘密と生活史考
昆虫など〜メニュー〜
チャンネルF+〜抜粋メニュー〜
スポンサーサイト



コメント

No title
初めまして、コミュニティに参加ありがとうございます。
Re: No title
FC2ブログでは昆虫関連の記事が少ないように感じています(以前いたYahoo!ブログではもっと目にする機会が多かったので)。
書いている人が少ないのか、昆虫記事の探し方が悪いのか……。
コミュニティに参加すれば、これを基点に昆虫記事が見つけやすくなるかな──と期待して参加させていただきました。

管理者のみに表示