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1人増える!?トリックアート&解説

10人が11人に!?1人増える(もしくは減る)新作トリックアート
前回の記事【ひとり増える!?座敷童子的トリックアート】で騙し絵を試作してみたわけだが、その後、もう少し「自然に見える」そして「解説しやすい」工夫を加えて「10人が1人増える(逆の手順で見ると11人が1人減る)」トリックアート(騙し絵)を作り直してみた。「意図」を示すのが目的なので、簡略化した図案になっている。
01騙し絵10_1改A
10人が描かれた絵⬆の上半分を左右入れ替えると11人になるというもの⬇
02騙し絵10_1改B
入れ替えるのは水色の部分とグレーの部分⬇
03騙し絵10_1改C
描かれているパーツは入れ替えの前⬆後⬇で変わっていない。なのに1人増えている!?⬇
04騙し絵10_1改D
人型の配列は入れ替え前とほとんど同じだが、入れ替え前の⑦と⑧間に新たな⑧が入っている。とはいっても、新たな⑧は入れ替え前の①で描かれたもの(カウント済み)が移動しただけで、入れ替え後の《プラス1》ではない。
絵の一部を左右入れ替えただけで、どうして1人増えるのか!? そして、なぜ増えた者が特定できないのだろうか?


解説:どうして1人増えるのか!?《プラス1》の謎
描かれた人物を縦長の帯(長方形)と考えると、その総長(総面積)は画面の一部を入れ替えても変化しない。この帯(長方形)を水平ラインでカットし絵の上部を左右入れ替えることで、再形成された個々の帯(長方形)の長さが変わり、数が増えたのだろう──と、ここまでは「理屈」ですぐに考えつく。ふしぎなのは、単に個々の帯(長方形)の長さと数が変わっただけでなく、人型が増えたように見えることだ。
入れ替え後(11人)の絵に入れ替え前に頭数をカウントしたナンバーを加えると──、
05騙し絵10+1改E
入れ替え後の⑦は新たにカウントされた「頭」(角刈り頭)。入れ替え前にカウントされたのは「青い帽子(を被った角刈り頭)」であり、「青い帽子」は別の場所へ移動し、そこでカウントされている。もともとは1つにカウントされていた「青い帽子(を被った角刈り頭)」が入れ替え後は「青い帽子」と「角刈り頭」の2つにカウントされている。
人を縦長の帯(長方形)と考えると、水平ラインで帯(長方形)の上部がカットされ、1つだった帯(長方形)が帽子と角刈り頭の接線で切り離されて2つになったということである。「角刈り頭」が新たな帯(長方形)の上部(上底)となっている。
人型の頭部(上底にあたる)に注目して数えてみると──、
入れ替え前……丸い頭が9+青い帽子が1。
入れ替え後……丸い頭が9+青い帽子が1+四角い頭。
帽子が移動した後の四角い頭が《プラス1》の上底となっている。
しかし、(青い帽子をのぞいた)四角い頭の人型は入れ替え前後で同じ位置に描かれているので、これが《プラス1》だとは認識されない。

さて、人を縦長の帯(長方形)として考えたとき、1つ増やすためには上部先端(上底)だけでなく、下部先端(下底)も1つ増えなくてはならない。下部先端(下底)がわかりやすいように今回は「靴」の形を加えてみた。
この靴に着目してみると、入れ替えの前も後も、靴の数は10足……なのだが、11人目の足先(下底)が「何人」と記されたプレートの陰に隠れているように見える。《実際には描かれていない靴(足先)を、そこにあるかのように思わせる》──というのが、今回思いついた工夫の1つ。靴の数は入れ替え前後で同じ(10足)だが、水平ラインでカットされた膝あたりが、新たに加わった《プラス1》の下底ということになる。
ただプレート(「何人」)の後ろに現われたこの人型も移行前の画像で一番左に描かれていたもの──もとからあったので《プラス1》と認識されない。

新たに加わった《プラス1》の人型が認識されない状態ながら、(人型を縦長の長方形に例えて)上底と下底がそれぞれ1つ加わったことで、全体として「1人分増えた」ことになる。これが(上底と下底が)同じ人型で増えたのであれば、新たに加わった人型としてわかるのだが、上底と下底の《プラス1》が別の人型に分散していることで、どれが新たに増えた人型なのか特定しにくくなっている。

06騙し絵解説A

描き足してないのに1人増える不思議!?
前回の試作を含め、今回「ひとり増えるトリックアート(騙し絵)」を作ってみようと思い立ったきっかけは、ブログでも何度かネタにしてきた《座敷童子(ざしきわらし・ざしきぼっこ)》だった。
宮沢賢治の『ざしき童子(ぼっこ)のはなし』という童話では、10人の子どもが遊んでいるうちに、いつの間にか11人になっていて、誰が《プラス1》なのかわからないというエピソードが描かれている。子どもの頃にそんな話を聞いて、とても不思議&疑問に感じたことを覚えている。
「1人増えているというのに、誰が《プラス1》なのかわからない」というのは、いったいどういうことなのか?……想像するのが難しい。そこにいるのは皆、最初からいたメンバーなのに、どうして《ひとり増える》などということが起こりうるのか?
その《不思議さ》はずっと残っていて、ブログでも何度か《座敷童子現象》を取り上げている。小学生新聞に短期連載した『病院跡のざしきぼっこ』(1994年12月)はブログでも公開しているが、この作品の前にもやはり《座敷童子現象》をあつかった読み切りで『ざしきぼっこの写真』(1990年12月)という作品を書いていた。
しかし、今回《ひとり増える》トリックアートを作ってみて、「これは、なかなか《座敷童子現象》っぽい」と我ながら思えてきた。「描かれているのは入れ替え前のパーツと同じ──描き足したわけでもなのに1人増えて、その《プラス1》がなかなか特定できない」というのが、「そこにいる顔ぶれは同じなのに、いつの間にか1人増えていて、それが誰なのか特定できない」という座敷童子の不思議さとよく合致している。
トリックアート制作の動機は《座敷童子現象》を視覚的に表現することはできまいか……と考えたことだった。「10人+1人」で構成したのは、宮沢賢治の『ざしき童子(ぼっこ)のはなし』にちなんでのことである。
子どもの頃に漠然と感じていた座敷童子の不思議さとは、こんなものだったのだろう──半世紀ごしにトリックアートで具現化できた気がする。


◎《座敷童子現象》をあつかった記事

ひとり多い!?座敷童子2題(騙し絵&小話)
病院跡の座敷童子(童話/400字詰原稿用紙で20枚半ほど)
境内の座敷童子(頭の体操)
ひとり増える!?座敷童子的トリックアート(試作)
1人増える不思議な絵!?座敷童子の紙芝居
ちょっと怖い話!?かごめかごめ〜座敷童子
トリックアート座敷童子は誰だ!?
人数が増減する騙し絵の簡単な解説

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