FC2ブログ

姿も食性もユニークなウシカメムシ



晩秋~冬に擬木で目にする機会が増えるウシカメムシ。前胸の左右に大きく張り出した立派なツノ(前胸背側角)が特徴的なカッコ良いカメムシだ。見た目もユニークだが、食性も大いに変わっていて、最近読んだ『カメムシ博士入門』によると、主食はセミの卵だという。

ユニークな体型&模様のウシカメムシ幼虫



擬木にとまっていたウシカメムシの幼虫。10月・11月にはしばしば目にしているが、冬になると見かけるのはもっぱら成虫となり、おそらく成虫で越冬するのだろう。幼虫を12月に見たのは初めてかもしれない。




なんといっても、この肩のあたりから左右に突き出した装甲(?/前胸背側角)がカッコ良い。成虫とはまた違った模様もおもしろい。






ウシカメムシの幼虫は、快傑ゾロ風の仮面に見えたり黒猫に見えたり──空目ネタで取り上げたこともあった。


仮面虫!?…かめn虫…カメムシ 第2弾!】より↑/【ソンブレロ仮面ウシカメムシ幼虫ほか】より↓。


ウシカメムシ成虫



成虫にも、もちろん立派な肩のツノ(前胸背側角)があって、これを牛のツノにみたてて「ウシカメムシ」となったのだろう。幼虫の前胸背側角は薄いが、成虫ではごつさを増している。




カメムシには前胸背側角が発達したものや、ハリサシガメのように小楯板に棘状の突起を持つものがいる。こうした特徴には何か意味・役割りのようなものがあるのだろうか? 鳥や小動物などに呑み込まれそうになったとき、これが天敵の口腔内を刺したり引っかいたりすることで吐き出されやすくなったり、そのため天敵から敬遠されて生き残るチャンスが増える……というようなことでもあるのだろうか?


別の擬木の上にいたウシカメムシ成虫は動き回っていたので指にとまらせて撮影↓。


この成虫は前胸背板と小楯板の間(黒く見える部分)がやけに離れていた。左右の翅が完全に収納しきれていないようにも見えるが、どこか故障しているのかもしれない。


セミの卵を主食とするユニークな食性

『カメムシ博士入門』を読んで驚いたことのひとつが、ウシカメムシがセミの卵を主食にしているということだった。ネット上ではアセビ・シキミ他等植物の汁を吸うというような情報があって僕も当初、ウシカメムシは植物食だと思っていた。あるときセミの卵について言及した記事を読んで意外に感じたが、その時は「へえ!? セミの卵を吸うこともあるのか」くらいに思っていた。木の汁を吸うウシカメムシが樹皮上で口吻を刺しやすい場所を探していて、その結果、セミの産卵痕に口吻を突っ込んでみたらセミの卵があって、それを食す──といったことは起こり得そうな気がする。時々起こっても、さして不思議ではないだろう。
しかし「主食」となると話は違う。「なんで、そんなもの(どこにでもある汁が吸える植物より、探すのに労力を要しそうなセミの卵なんか)に依存することになったのだろう!?」と首をかしげたくなってしまう。セミの卵は、ウシカメムシが育つ間、確保できる食糧源なのだろうか?
現在使っているパソコン内に残っている画像では、ウシカメムシの幼虫は7月8日に撮ったものが一番早く、8月・9月・10月・11月・そして今回の12月と撮影している。




ウシカメムシ成虫を撮影したのは9月・10月・11月・12月・2月・4月・5月・6月だ。ウシカメムシの活動期間中、「主食」は安定供給可能なのだろうか?
調べてみるとセミの卵は早いものでその年の秋、多くが翌年の梅雨頃に孵化するらしいく、意外に(?)卵の期間は長い。狭山丘陵ではハルゼミが鳴き出すのは4月後半。ニイニイゼミは6月中旬から鳴いているのを確認しているから、セミが産卵する時期から翌年梅雨まで、けっこう長期間「主食」は存在することになるのかもしれない。

セミの卵がウシカメムシの主食だったということには驚いたが、『カメムシ博士入門』を読んで同じくらい意外だったのが、カメムシは元々は肉食が基本だったということだ。

カメムシの多様な食性①
●多様な食生活への適応
形態やDNA解析から推定される系統(第3章系統樹参照)と、グループごとの食性を重ねあわせてみると、カメムシの最初の祖先は、肉食が基本だったと考えられる。それらが分化・放散する歴史のなかで雑食性のものが現れ、やがて植物専門へと適応していったらしい。一部は食菌や吸血といった特殊化への道をたどったが、こうした特殊な群がグループのまとまりを超えて並行的に派生していることはには、カメムシたちの強靭な適応力を感じさせられる。(『カメムシ博士入門』P.10)

カメムシの多様な食性②
●動物食-伝統的なカメムシの食文化-
伝統的食性とはいえ、動物由来の栄養のみに依存する種は現存のカメムシでは比較的少なく、むしろ「肉食・菜食兼備タイプ」が多いことを知っておきたい。(『カメムシ博士入門』P.12)


僕はカメムシの口吻はセミのように植物の汁を吸うためのもので、もともと植物食がベースで、その中からサシガメのような肉食が誕生したのだろうと思っていた。元々植物の汁を吸っていたところにその植物を食う虫が現われ──植物と間違えてか、あるいは生活の場を守るために虫を口吻で刺すなどして、たまたま吸った体液に味をしめ、肉食に移行するカメムシが現われた──というようなイメージ。
だから、ウシカメムシが植物食(がベースと思っていた)からセミの卵に「主食」を移行させたということに疑問を感じたが、元々動物食だったカメムシが、セミの卵を求めて産卵痕を探しているうちに(もっと容易に手に入る)植物の汁も吸うようになった──というシナリオなら比較的自然な感じがする。セミの卵がウシカメムシの「主食」らしいが、ということは「副食」で植物の汁も吸っているのだろう。ウシカメムシは「肉食」から「肉食・菜食兼備タイプ」へ移行しつつあるカメムシなのかもしれない。そう考えると納得しやすい気がした。

ついでに擬木でみつけたウバタマムシ





ウバタマムシは昆虫が少なくなったこの時期にも見られる大型の昆虫。狭山丘陵では1年中成虫が見られる数少ない甲虫→【雪とウバタマムシ&1年中

スポンサーサイト



コメント

No title
色々変わった虫が居ていいですね^^
あたしンちは、緑色のカメムシばっかりですよ~


玉虫は玉虫色と言われるほど綺麗なものばかりだと思っていました。
No title
> みずきさん

昆虫を積極的に見るようになってから、それまで気づかなかった色々なおもしろい虫がいることを知るようになりました。
カメムシもタマムシも、けっこう色んな種類があって興味深いですよ。

管理者のみに表示

トラックバック