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クロスジフユエダシャクのペア集

クロスジフユエダシャクのペア

昼夜行性のフユシャク(冬尺蛾)・クロスジフユエダシャクが雑木林周辺を飛ぶ姿が多数見られるようになった。メスは翅が退化して飛ぶことができないので、舞っているのは全てオス。落葉の上を低く徘徊飛行しながらメスを探し続ける。今回はペアが成立したクロスジフユエダシャクを集めてみた。


法面の緑化ブロックにとまっていたクロスジフユエダシャクのペア↑。単独のオスがとまる時は頭を上に向けることが多いが、交尾中のオスは下の方を向いていることが多い。上を向いてとまっているメスと交尾をするためだろう。
木柵にとまっていたクロスジフユエダシャクのペア↓。


やはり木柵の支柱にとまっていたクロスジフユエダシャクのペア↓。メスにはオスとは比較にならないほど小さいながら、ちゃんと4枚、翅がある。


はちきれそうに膨らんだ♀の腹↑。節のすきまから卵の淡い緑色が透けて見える。
コナラの幹にとまっていたクロスジフユエダシャクのペア↓。


クヌギの幹のくぼみに隠れるようにとまっていたクロスジフユエダシャクのペア↓。




クロスジフユエダシャク♀は落葉の裏や樹皮のくぼみなどに隠れていることが多い。サクラの樹皮の隙間に隠れていたメスと交尾していたクロスジフユエダシャク♂↓。


雑木林の中の古い切株にとまっていたクロスジフユエダシャクのペア↓。


撮り始めるとオスが飛び去ったので交尾後のメスの単独ショット↓。


周囲にメスを探して飛び続けるクロスジフユエダシャク♂はいるが、交尾後のメスにはまったくの無反応。しかし、落葉の下に隠れている未交尾♀には反応し、《婚礼ダンス(はばたき歩行)》で見つけ出すことができる。

婚礼ダンス(はばたき歩行)によるメス探し

雑木林の林床を低く飛び続けるクロスジフユエダシャク♂はメスが放つフェロモン(ニオイ物質)をたよりにメスを探り当てる。近くにメスの存在を察知したオスは着地し激しく翅を羽ばたかせながら歩き回る──これが、カイコガで知られる《婚礼ダンス》。家畜化されたカイコガは飛ぶことができないが、メスの放つフェロモンを感じ取ると《婚礼ダンス》をし、メスとの交尾に至る。目隠ししたオスはメスにたどり着けるが、翅を固定したり切除したオスはメスにたどりつけなくなるという。羽ばたく翅は吸引ファンの役割りをし、「(フェロモンを)嗅ぐ」ために触角へと空気を引き込む。体の向きを調整しながら左右の触角のステレオ効果でニオイ源の方向を割り出し、より強くニオイを感じる方向へと進むことで発生源(メス)を探し当てることができるわけだ。
以前、轢死したクロスジフユエダシャク♀の周りで複数のクロスジフユエダシャク♂がカイコガのような《婚礼ダンス》をしているのを見て驚いたことがある。クロスジフユエダシャクのメス探しもカイコガと同じように行われているのだろうと考え、クロスジフユエダシャク♂の《婚礼ダンス》に注目し、これによってオスが葉の裏など見えないところに隠れているメスを見つけて交尾することが観察できた。

《婚礼ダンス》に注目すれば、オスがメスを見つけるところが確認できるわけだが──《婚礼ダンス》はいつ始まるか判らない。比較的短い間に複数回観察できることもあるが、なかなか始まらず待たされることも多い。おそそらくメスがフェロモンを放つタイミングで近くを徘徊飛行していたオスが反応するのだろう。飛び交う♂は多いのに《婚礼ダンス》はなかなか始まらず……始まると、あっという間に終わってしまったりする(婚礼ダンスから交尾までは早い)。
今回も、婚礼ダンスを始めたオスがいたのでカメラを向けるが、フレーミングとフォーカシングでまごついている間に♂は枯葉の下にもぐり込んでしまっていた……↓。


メスが見えるアングルを模索し手前の落葉などの障害物をどけて撮ったのが↓。


やはりメスは落葉の裏に隠れていた。ちゃんと見えるように、ゆっくりと落葉を裏返そうとしたのだが……横着して右手にカメラを持ったまま左手で作業したところ、落葉同士が引っかかっていて、それが外れる反動でクロスジフユエダシャク・ペアをはじき落としてしまった。落ちたクロスジフユエダシャク・ペア↓。


別の場所──低い笹がのぞく一角でクロスジフユエダシャク♂の婚礼ダンスが始まった↓。複数のオスが引き寄せられたようにやってきてはげしく羽ばたきながらせわしなく動き回る。


オスの1匹がメスを探り当てて交尾が成立したのだろう。ほどなく婚礼ダンスは終了し、他のオス達は何事とも無かったかのように去って行った。一瞬にぎやかだった笹の陰に逆さになったオスの姿がのぞいている↓。


角度を変えて確かめてみると──やはりメスは葉の裏に隠れていた。


雑木林で待機中、数メートル離れた落ち枝で4~5匹の♂が婚礼ダンスを始めた。近づいてカメラを構えるが……例によってフレーミング&フォーカシングの間に婚礼ダンスは終わっていた。成立したてのクロスジフユエダシャク・ペア↓。


婚礼ダンスの最中は我先にと情熱的に動き回っていたオスたちだが、交尾が成立すると、とたんに淡白になる。メスが放っていたフェロモンが、交尾の成立でシャットダウンするのか、あるいは交尾が成立した時点で《売約済み》のシグナルが発信されるのだろうか?
甲虫類では1匹のメスにオスが何段重ねにもなっていることがあるが、クロスジフユエダシャクは潔いというか、諦めが良い!?


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コメント

No title
こんにちは!
当地でもクロスジフユエダシャク♂が飛ぶようになりましたが、なかなか止まってくれません。
観察お見事‼‼
No title
> く~ちゃんさん

クロスジフユエダシャク♂は低く飛ぶので降りそうに見えながら、なかなかとまりませんね。落葉の中でとまっていると、今度は見つけにくかったり……。
観察したり撮ったりできるのは今の時期だけなので、やはり見ておきたくなります。
No title
フェロモンパワーはスゴいですよね、フチグロトゲも全然飛んでないので、♀がフェロモンを放出し始めるとアチコチから飛んで寄ってきます。
カバシタムクゲもそうらしいですね。今期こそ!

クロスジは我が家の周りでもペアを確認しました。
これから平地も年内は忙しいですね(笑)

今日は仕事を終えてからブナ帯でフユシャク探しです。
No title
> ともっくさん

実はこのあとフェロモンパワーはすごいと感じるコトがあったのですが、そのことはあらためて投稿するつもりです。

フチグロトゲエダシャクのように(?)飼育して羽化させたメスを持ってフィールドにでれば、そこに集まるオスを観察できるのでしょうが……メスがどこにいるかわからない現場でクロスジフユエダシャクのメス探しを観察するのは効率悪いな……などと感じていたりもします。

カバシタムクゲエダシャクは特にメスがカッコ良いので見てみたいですが……たぶん僕が目にする機会はないでしょうね。
ブナ帯でのフユシャク探し、成果を楽しみにしています。

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