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アカエグリバ&ヒメエグリバの枯葉擬態

究極の枯葉擬態!?アカエグリバ

前記事でも紹介したが、このところ何度か目にしているヒメエグリバ──これによく似たやはり枯葉擬態の蛾にアカエグリバというのがいる。幼虫時代のエサは両種ともアオツヅラフジなので、ヒメエグリバがいる(アオツヅラフジがある)のだからアカエグリバも見つかっていいはず……と思って探していたところ、ようやく見つけることができた。


ツツジの葉の上に落ちた1枚の枯葉……に見えるアカエグリバ。ヒメエグリバ同様、頭を下にしてとまっていることが多いようだ。この姿勢だと大きな眼(がある頭部)が目立たない(天敵に悟られにくい)という利点があるのかもしれない。


こんな昆虫がいると知らなければ、枯葉にしか見えないだろう。実際の枯葉以上に枯葉チックなデザインはみごととしか言いようが無い。


枯れてよじれ、フチが欠けた葉を思わせるデザイン──しかもダミーの葉柄(ようへい)や葉脈までついている。多様な「枯葉」の特徴を1枚の葉(に似せた体)に集約し、みごとにまとめたデザイン。実際に存在する枯葉の中から1枚だけを選んで比べれば、アカエグリバの方が「枯葉らしさ」は高いだろう。やはり枯葉擬態のヒメエグリバは模様に個体差があるが、アカエグリバは比較的変異が少なく、どの個体も「究極の枯葉」という1つの完成モデルを目指してきた(?)感じがしないでもない。
こんなアカエグリバだが、背面から見ると厚みがあって左右対称なことから昆虫らしいとわかる。


このアカエグリバは撮りにくい位置にとまっていたので、指に乗せて移動を試みた。


飛ばずにうまく指にとまったので、そのまま撮影しやすい葉へと移動。
普通、頭を下にとまっていることが多いが、水平に近い形でとまった。その場合、頭を影側に向ける傾向があるような気もする。




よじれて凸凹の枯葉に見えるヒメエグリバ



アカエグリバの近くで、またまた見つけたヒメエグリバ。背面が大きく凹んでカールした枯葉に見えるが、くぼみは翅の模様による騙し絵。表面のデコボコ感も錯視で、背面から見ると滑らかに膨らんだ翅であることがわかる。


アカエグリバが「1枚の枯葉」に見えるのに対して、ヒメエグリバは周囲の枯れにまぎれて見える。前記事で投稿した画像を再掲載↓。


ヒメエグリバの騙し絵模様には変異があって、別の立体構造に見えたりする。


アカエグリバとヒメエグリバの比較





両種はフォルムや模様の入り方など、よく似ている。初めてこの蛾を知ったときは、アカエグリバとヒメエグリバの区別が難しかった。しかし実際に見比べてみるとアカエグリバの方が大きめで、背中(翅の会合部)の抉られ方もアカエグリバの方が顕著。頭部先端(下唇鬚)はアカエグリバの方が長く尖っていて、ヒメエグリバは短い──そのためヒメエグリバの方が(頭に対して)眼が大きく感じる。全体の印象でいえば、アカエグリバは「1枚の完成した枯葉」に見えるが、ヒメエグリバは「(周囲の)枯れの一部」に溶け込んで見える。
当初はそれぞれの姿だけを見比べて「枯葉への擬態」についてはアカエグリバの方が完成度高いと感じていたが、実際に野外で見ていると周囲への溶け込み方(隠蔽効果)はヒメエグリバの方が上ではないかと感じるようになった。
アカエグリバは知らなければ枯葉に見えるに違いないが、1度このアッパレな姿に感銘を受けた後は、枯葉の中から「最も美しい完璧な枯葉」のフォルムとして目にとまったりすることもあったりした。
一方、実際の枯葉が多様なように、見え方にも個体差があるヒメエグリバの方が隠蔽擬態としては高いという見方もできるかもしれない。デコボコに見える騙し絵模様の演出もなかなか凝っている。「枯葉への擬態」ではアカエグリバが、「隠蔽擬態(カムフラージュ)」としてはヒメエグリバが勝っている感じがしないでもない。
枯葉擬態を極めた達人(達蛾?)であることは間違いないアカエグリバとヒメエグリバだが、両種の擬態スタイルには理念(?)の違いみたいなものがあるようにも感じる。武道に例えるなら、アカエグリバは演武(型)──技の美しさ(完成度)を追究したスタイルであり、ヒメエグリバは実践(組み手)──多様な闘いの中で強さを極めたスタイル──そんな気がする。


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コメント

No title
擬態スタイルの2タイプの理念(?)・・・は、考えた事がありませんでした。
・・・と言うことは、ヒメエグリバの方が、より辛いめにあい苦労してる・・・と、とれるかもしれませんね?
俄然、ヒメエグリバファンになりました!(笑)
・・・面白いのは、両種共に、幼虫の食草がアオツヅラフジであり、そのくせ、アカエグリバの幼虫は、周りに同化することで身を守り、ヒメエグリバの幼虫は、あたかも威嚇を想わせるハデハデファッションで身を守る・・・ところ・・・
この両種の比較は面白いですね!☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

最初にアカエグリバを見て驚いて調べたとき、アカエグリバとヒメエグリバの違いがよくわかりませんでした。当時は模様の入り方が似ていると感じたのですが……でも時々出会うようになって見ているうちにそれぞれ感心することがあり、僕が感じる違いを記してみました。もちろん「理念(?)」は昆虫学的な視点ではなく、僕がどう感じているか──その違いを比喩的に現したものですが。
食草が同じでや成虫も似ているのに、幼虫がずいぶん違うのも面白い点ですね。

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