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謎めいたビロードハマキ:成虫&抜け殻

フシギ感のあるカラフルなビロードハマキ(ビロウドハマキ)


笹の葉にビロードハマキ(ビロウドハマキ)がとまっていた(画面左側が頭部)。まるでカラフルな一枚貝!?──これでも(?)蛾なのだが、なんともフシギ感のあるユニークなルックスをしている。

ネット情報によると2003年から都内での発生量が増加しているとか。僕も2~3年前から目にするようになった。それにしても、この派手にして風変わりな容姿──これには何か意味があるのだろうか?
まず思い浮かぶのは、警告的な意味合い(の可能性)。毒を持つとか・不味いなど……捕食者が避けて通りたくなるようなアイテムを備えているのであれば、派手なルックスは捕食者たちに「二度と食いたくない」と印象づけるための警告サインとして有効だと考えられる。
しかし、ビロードハマキが毒を持っているとか忌避物質を装備しているいう話は聞いたことが無い。もし、防衛アイテムを備えていないのだとすれば、目立つ容姿は捕食者に見つかりやすいデメリットになるのではないか?
しかし実際にこの派手で目立つ姿で生きのびて来たのだから、このデザインにも何らかのメリットがあるのだろう。
ちょっと考えると(天敵に)見つかりにくい隠蔽擬態の方が生存率が高そうな気がするが……逆に(?)目立ったとしても、「蛾(エサ)に見えない」と認識されれば捕食者のターゲットから外される──なんてことがあるのかも知れない? あるいは捕食者の感覚に、「得体の知れない警告色をしたもの」「気色悪いモノ」として訴えるようなデザインだったりするのかも知れない?
他に目立つことで有利な点があるとすれば……ペア相手を見つけやすいことだろうか? ビロードハマキは広食性でいろいろな広葉樹がホスト(幼虫の食植物)となり得るらしい。対応できる種類が多いということは食資源的には有利な設定だが、食植物が限定的な昆虫(特定の植物に集まることで個体密度が高まりやすく繁殖相手を見つけやすい)に比べて、拡散しがちなぶん、ペア相手探しには不利かもしれない。ビロードハマキは昼行性なので、目立つ色彩はペア相手を見つける手がかりになるはずだ。派手なカラーリングは繁殖率を高める役目を果たしているのではなかろうか?
あれこれ色々な想像ができそうだが……なぜこんなユニークなデザインを採用しているのか、本当のところは解らない。わからないから、不思議感がわく。ビロードハマキはそんな謎めいた蛾だ。

ところで、このビロードハマキを見つけたときは風が吹いていて撮るのに苦労した。ビロードハマキがとまっていた葉は風にあおられ、なかなかフレームに収まらない……。やむなく葉先を左手でつかんで固定し、右手でカメラを構えて撮影。昼行性の蛾なので飛び去られる危惧もあったが、このビロードハマキは珍しく良いモデルをつとめてくれた。

撮影のため、風に揺れるの笹の葉をつまんだ時のことだが──葉が何枚か重なって貼りついていたことに気がついた。笹食いの蛾の幼虫でも入っているのだろうと思ったものの、その時はビロードハマキが飛び去りはしないかと気にしながら撮ることに集中していたので、それ以上深くは考えなかった。
しかし、後になってふと「笹食いの蛾の幼虫の巣」だと思っていたのは撮影したビロードハマキのものだったのではないか?──と気がついた。
あのビロードハマキは、とまっていた葉を綴り合わせた中で蛹になり、羽化して葉の表面に出てきた新成虫だったのかもしれない……羽化してあまり時間が経っていないとすると、(翅が充分に固まるまで?)じっと飛び立たずにいたことも納得できる。
ビロードハマキが笹を食うとは思っていなかったが、ひょっとすると笹を食うこともあるのかもしれない? あるいは別の木で育ち、蛹化に選んだ場所がたまたま笹だった……という可能性も考えられないではない?
──ということで、後日、ビロードハマキがとまっていた笹の葉を確かめに行ってみた。

ビロードハマキの抜け殻


これがビロードハマキのとまっていた笹の葉↑。裏側はこんな──↓。

3枚の葉が内側から糸でつづられている。これを開いてみると──↓。

蛾の蛹の抜け殻(羽化殻)と終齢幼虫(前蛹?)の抜け殻(蛹化殻)が残されていた。


蛹の形から種類を特定することは僕にはできないが、終齢幼虫(前蛹?)の抜け殻を見ると……白い毛の生えた黒イボなどの特徴から、やはりビロードハマキのものらしい。先日撮影した成虫はやはりここで羽化したのだろう。ビロードハマキの幼虫が笹の葉を食っていたのかどうかはわからないが、少なくとも笹の葉で蛹化・羽化用の巣(?)を作ることはある──ということだ。
意外に感じたのが、終齢幼虫(前蛹?)の抜け殻(蛹化殻)が全身一体型で残っており、その頭部が裂けていたこと。

チョウやガの幼虫は脱皮が近くなると硬い頭部(の殻)から頭を抜いておく(そうしないと脱皮時に頭が頭部殻から抜けなくなってしまう?)──そのため脱皮直前の幼虫は頭の後ろに大きなコブ(実は新幼虫の頭)ができているように見える──そういった認識が僕にはあった。つまり脱皮後の頭部抜け殻(いわゆる「お面」)は硬くて無傷で残されるものだと思っていた。ところが、巣の中に残されていた終齢幼虫(前蛹?)の抜け殻を見ると、頭部は割れていて、その裂け目が背につながっていた。ここから蛹が出たのだろうが……硬いはずの(?)頭部が割れていたことに「へえ!?」と思った。終齢幼虫(前蛹?)から蛹になるときは特別で通常の脱皮とは異なるのか、あるいは脱皮のさいに古い頭部が割れるのがビロードハマキの通常スタイルなのか……僕にはよくわからない。他の蛾やチョウではどうなのだろう? 実際に昆虫を見ると「知らないことだらけ」といことに気づかされる。


虹色宝石アカガネサルハムシ&ビロードハマキ ※5月に見つけたビロードハマキ

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コメント

No title
ミナミトゲヘリカメムシの幼虫を教えていただきましてありがとうございました。

ビロードハマキは2010年に一度見たきりですが、摩訶不思議なデザインのこの蛾は思っていたより意外と大きかった事と、見ているとだんだん目がおかしくなりそうだった事を覚えています。
終齢幼虫の抜殻が面白いですね!

最近はあまり外に出られませんので、わが家のまわりに来てほしいです!
No title
> 夏風さん

ビロードハマキはハマキガ科の中で最大種だそうですね。僕もネットで画像は見て知っていましたが、実際に見たのは比較的最近です。見かけるようになると、時々目にするようになって、都内での発生量が増加しているというハナシも納得できる気がしています。
No title
こんにちは・・・
いつものことながら、気付きと閃きが凄いですねっ!
観察対象の背景をも踏まえた観察に、ただただ感嘆のため息です!また、痛感させられたのは・・・
「ビロウドハマキが蛹化の際、頭部の脱皮殻のお面が割れる・・・のははて?他種についてはどうか?」の疑問に即答できない自分のあまりに粗雑な飼育観察の姿勢です。ですから・・・
「・・・確か~~~・・・と、あやふやな答えしか出せませんが、私が飼育観察した限りでは、チョウ目は、蛹化の際、大抵お面が割れてたように想います。」
・・・考えながら飼育観察しなければ意味がありませんねっ!私は、蛹化の際の抜け殻(お面)は割れるものだと決めつけてたところがあります・・・盲点でした。
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

にわか観察すると、わからないことばかりで……あれこれ想像はめぐるのですが、決着がつかないコトが多いです。
チョウ目では蛹化の際、お面が割れることが多い感じですか。脱皮の際にお面がキレイに残るというのは知っていたので、蛹化の際も同じだろうという思い込みがありました。
昆虫を実際に見ていると、意識していなかった「思い込み」が発覚して、認識を改めることもしばしばです。
No title
※覚書

【kinnrinnのブログ】さんの記事↓
https://blogs.yahoo.co.jp/kinnrinn203/72617360.html?vitality
にクロコノマチョウの蛹の画像があり、そこには蛹化したさいの終齢幼虫の抜け殻も写っており、頭部の殻(おめん)には裂け目がないように見えます。
チョウ目でも蛹化殻で「お面」が割れないものもいるのですね。

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