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擬態の達人コノハムシ~TV番組

擬態のスペシャリスト・コノハムシ



「《擬態》で思い浮かぶ生き物といえば?」──そんな質問をし集計をとったら、コノハムシはおそらくかなり上位にランキングされるだろう。
葉にそっくりな姿で知られるコノハムシ──実際に見たことがある人は少ないだろうが、その存在は多くの人の知るところだと思う。
以前、タイ産コノハムシ(画像)を飼育したことがあったが、その擬態っぷりには驚くばかりだった。姿が木の葉に似ているのは見ての通りだが、とまり方がまた絶妙だったりする。


コノハムシは必ず腹面を上、背面を下に向けてとまる。ポジションもうまく葉にまぎれる位置を選んでいる。


単に体の形を葉に似せているというだけではない。体を葉のように薄くすれば、ふつうならばどうしたって内蔵が(透過光で)透けて見えてしまう。いくらボディーラインを葉に似せても、内蔵の影が透けていたのでは、そこにいるのがバレバレ。ところが、コノハムシは通常のとまり方をしたときのみ内蔵の影が透けて見えないようになっている。




そして視覚的な擬態だけではなく、おそらく化学擬態もしておりニオイもホストの植物に似せている──というのは、次のようなエピソードがあったからだ。


コノハムシは食べる葉(種類)が限られている。他の葉を与えても食べなかったのだが……あるとき、なんとキッチンペーパーを食べた個体がいた。キッチンペーパーにはコノハムシの糞(ほのかにエサの葉のニオイがする)の染みがついており、この染みにそって食痕が残されていたのだ。


食草以外の葉は食べようとしなかったコノハムシがキッチンペーパーを誤食した──これは《コノハムシがエサとなる葉を「ニオイ」で識別している》ということなのだろう(だから、そのニオイが染みたキッチンペーパーをエサの葉と誤認した)。
誤食といえば……コノハムシの密度が高くなると、他の個体の体を齧ってしまうという事故が起きる。最初はケンカかとも思ったのだが、どうもそうではないようで……どうやら《仲間の体をエサの葉と誤認して食ってしまう》らしい。



①《コノハムシはエサとなる葉を「ニオイ」で識別している》
②《仲間の体をエサの葉と誤認して食ってしまうことがある》

──この2つのことから、《コノハムシの体はエサの葉と同じニオイがする》ということが推察できる。コノハムシは容姿をホストの葉に似せているだけでなく、ニオイも似せてアリなどを欺いているのではないか──僕はそう考えるようになった。

コノハムシの木の葉への擬態の完成度には感心するが、さらには……自らを木の葉に似せているばかりか、周囲の木の葉を自分に似せて加工している可能性すらある。
ふつうに考えると、葉を食べる虫は食痕をあまり残し(広げ)たがらないのではないか? 食痕は天敵が獲物を見つけるさいの手がかりになるだろうから、食い散らかしてあちこちに食痕を拡大させるより、食い始めた葉はキチンと食べて(処理して)次の葉に移った方が手がかり(食痕)を少なく抑えられる。チョウやガの幼虫には寝床(?)と食事の葉を分けているものもいるようだが、これも食痕の近くにいると寄生蜂などの天敵に見つかりやすくなるため、その危険回避の行動という気がする。
ところが、飼育していたコノハムシは食痕を残したまま他の葉を食い始めたりしていた。最初は食べ散らかして行儀が悪い虫だと思ったのだが……コノハムシが葉を齧ったあとのカーブはコノハムシの脇のカーブに似ている。つまり、コノハムシは《コノハムシの食痕のある葉》のように見えるわけだ。


(※【コノハムシ~卵から成虫まで~】より再掲載↑)
《コノハムシの食痕のある(コノハムシに似た)葉》が散在することで、コノハムシ本体がそれにまぎれて、どこにいるのか見つけにくくなる効果があることに気がついた。これは《周囲の葉を自分に似せて加工する事で自らのカムフラージュ効果を高めている》とも言えるわけで──自らの体を葉に似せる一方、周囲の葉を自らに似せているとすれば、これぞ《擬態》の奥義という気がする。


コノハムシがテレビ番組で取り上げられる!?

こんなユニークな昆虫・コノハムシの記事を過去にいくつか投稿しているが、最近(先月初旬)、テレビ番組の制作スタッフの方からコノハムシの画像を使わせて欲しいという連絡があった。許諾していくつか画像をお送りしたので、番組内で1枚か2枚、使われるかもしれない。
その番組とはテレビ東京のリトルトーキョーライフ(毎週水曜日24:12~25:00)というバラエティ番組。来週の「へんないきもの」というテーマの回でコノハムシの画像が使われるらしい。
番組ホームページの「次回予告」には──、

2018年9月26日(水) 24時12分~
食事中に餓死!?「へんないきもの」について質問!!

▽負けたら性転換!!性別をかけた交尾とは!?
▽食事中に餓死する生き物とは!?
▽ゾウは耳と○○○で音を聴く!?
▽擬態がヘタクソすぎる生き物とは!?ほか

出演者
【MC】
 Hey!Say!JUMP
 川島明(麒麟)
【アシスタント】
 繁田美貴(テレビ東京アナウンサー)
【師範】
 早川いくを

番組概要
「質問道場」とは…知っていそうで、意外と知らない世の中の事。その道に詳しい師範(専門家)を招き、Hey!Say!JUMPとジャニーズWESTが質問攻め!「良い角度の質問」をするセンスを競い合う!はたして、どんな質問が飛び出すのか…!?


──とある。
果たしてコノハムシの話題がどれだけ取り上げられるものか……僕はテレビを離脱しているので、放送内容を確かめることはできないが、コノハムシのアッパレな魅力が紹介されることを期待している。
そんなことがあったので、あらためてコノハムシのことを記してみた。


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コメント

No title
おはようございます・・・
小学生の頃、教科書で目にしたのがコノハチョウではなくコノハムシであったなら、私の擬態好き虫好きのきっかけと成った虫は間違いなく記事内のコノハムシとなったでしょう!
・・・姿形だけではなく、行動や発する匂い(?:でも確かに!納得!)などを生き残り作戦に取り入れた絶妙な生き方に心惹かれます。
対象者が鳥であった場合、匂いまで似せる・・・その必要性がわかりませんでしたが、アリなどへの対処にはうってつけかもしれませんね!その点にも気づかされ、目から鱗の想いが致しました。
この辺りでは、(特別な番組以外の)テレビ東京が流れないのが残念ではありますが、あるいは、ためになる番組として私達でも目にできる機会があるやもしれません・・・
面白く興味深い番組に興味津々です。是非、広島でも流して頂きたいです・・・よろしくお願い致します!
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

子どもの頃に見ていた昆虫図鑑にコノハムシが載っていたのを覚えています。日本に生息していないのに知られている昆虫のひとつでしょう。

今回の番組はバラエティらしく、他にも色々な生き物が取り上げられるみたいなので、果たしてコノハムシについてどれだけ触れられるのか判りませんが……どのみち、現行放送を受信できるテレビが無いので、僕には見ることができません。
「あまり触れられないのではないかな……」という気もするので、とりあえずブログで、あらためてコノハムシのおもしろさを記してみたしだいです。

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