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ハチ擬態の蛾コスカシバ

ハチ擬態!?コスカシバ



桜の葉にとまっていた一見ハチっぽい昆虫は……コスカシバという蛾。幼虫はサクラやウメ・リンゴ・モモなどの樹皮下に穿入して形成層を食害するという。たまにサクラの樹の周辺を飛んでいる成虫を見ることがあるが、飛び方も蛾というより蜂っぽい。


コスカシバを見てイメージするのは「黒いボディに黄色い帯のあるハチ」──ドロバチの仲間だ。こうしたカラーリングのハチは色々いる。そして、同じような配色の──ハチ擬態と思われる昆虫も少なくからず存在する。


擬態のモデルと思しきドロバチの仲間↑と、これとよく似たデザインのアブ(*)↑。
そしてよく似た蛾のコスカシバ↓。


蛾なのに翅が透けている──ということで「透かし羽」なのだろう。




この個体は右の前翅がわずかに歪んでいるようだった。羽化の際に完全に伸びきることができなかったのだろうか?


この蛾は「コスカシバ」(小透羽蛾)という和名だが、「オオスカシバ」(大透羽蛾)という蛾もいる。ただ、「コスカシバ」がスカシバガ科であるのに対し、「オオスカシバ」はスズメガ科。翅が透けている点は似ているが、ちょっと雰囲気が違っている。


※【ハチドリ虫か空飛ぶザリガニか!?】より再掲載↑。

《擬態》はモデルを真似ているのか?

ハチは(♀が)毒針を持っている──危険な存在ということで、避けられがちな昆虫だ。この危険なハチに似ていることで、捕食者が敬遠することがあれば、狙われる危険が減り、生き残り戦略に有利に働く──これがハチ擬態の効果だろう。
蛾でありながらドロバチ類に似ているコスカシバも、アブでありながらドロバチ類に似ているハチモドキハナアブも、そうしたハチ擬態と考えるのが自然な気がする。

ただ、ドロバチ類のような黒地のボディで腹節の一部に黄色い帯模様が入るというシンプルなデザインは(擬態抜きで)基本的に発生しやすいのではないかという気もする。コスカシバの仲間にも腹節の一部に黄色い帯模様を持つものがいくつもいるし、僕にはあまりハチに似ているとは思えない蛾──カノコガやトンボエダシャクなどでも黒い腹節の一部が黄色という模様を持つものがいたりする。

擬態というと、まずモデル──ハチ擬態の場合はハチがいて、他の虫がそれを真似て変化したというイメージを抱きがちだ。虫が「都合良くモデルを真似て変化(進化)」すると考えると不思議な気もするが、デザイン誕生の順序は(ひょっとして?)そうした因果関係(?)とは逆であってもおかしくはない(……はずだ)。
昆虫は種類が多いから、発生しやすいデザイン・パターン(模様や配色)がグループが異なる昆虫の中から多発的に出ることもあるだろう。黒地に黄色のシンプルなデザインを持つ昆虫がハチ以前にも発生していたとしても、そう不思議ではないだろう。その後、同様のデザインを持つハチが登場したことで、その特徴が警告パターンとして捕食者たちに認識され、似たデザインの昆虫の生存率が高まった……ということも考えられないではない。実際の昆虫の歴史は(僕には)わからないが、理屈(システム)としては、擬態効果はモデルが後から登場しても成立しうるはずだ。
「デザインの全く違う昆虫が、生存に有利な虫を真似て都合良く変化した」と考えるより、「偶然に発生した共通デザインを持つものの中から、生存に有利なモデルが登場したことで得をしたものがいた→その特徴を受け継いだ子孫たちが世代を重ねる中で生存に有利な特徴の完成度を高めて行った」と考える方が納得しやすい。

他の昆虫への擬態というのは、たまたま偶然似てしまった「他人のそら似」に始まるのではないか。それが単なる「他人のそら似」なのか、生存に有利な「擬態」なのか(似ていることで実際に御利益があるのか)……擬態効果のほどはよくわからないものも多そうな気がする。

コスカシバの場合は、とまっている姿がドロバチっぽいだけでなく、飛んでいる姿を見ても「ハチっぽい飛び方」が選択されていることから「ハチ擬態」なのだろうと思っているが……これも「もともとハチに似た飛び方をしていた」という、行動の「他人のそら似」である可能性もないではないのかも知れない。
擬態する側とされる側──出現しやすそうなシンプルなデザインは、どちらが先に採用(?)したのかは、わからない(のではないか)……コスカシバを見て、そんなコトを考えた。


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コメント

No title
まさに!
↑の考え方に、目からうろこ・・・です。
●:警告を発する虫(捕食者が苦手とする虫)をモデルに、他種が変化し進化してる!
これまでは、そう言った考え方に凝り固まっていました。
ですが、星谷さんがおっしゃる様に、逆転の発想も考えられなくもありませんね!う~~~ん、確かに!確かに!
面白いです!
いまだに解明しきれていない部分が多いだけに、虫って面白いナ!と想います。☆
No title
昆虫の世界は不思議世界。私は昆虫と言うのは擬態しているのが多いと思います。ナイス!
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

擬態という現象はとても興味深いですね。どうして、こんな不思議なことが起こるのだろう……と色々想像してしまいます。
実際のところ、どうなのかは僕には解らないし、僕の考えが正しいのかどうかはわかりませんが、とりあえず、自分で納得できる「解釈」を探してしまいます。
No title
> 四季の風さん

昆虫は産む数も多いし世代交代も早い……そして我々より長い歴史を持っているので、進化の度合いはすごいですね。
種類も多いから、擬態という現象も数多く実現できたのでしょう。

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