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ハチに寄生するハエ!?オオズクロメバエ

ハチに寄生するハエ!?オオズクロメバエ





最近知って、おもしろいと感じた昆虫──オオズクロメバエ(大頭黒眼蠅)。その名のとおり、体に比べて頭が大きい。ちょっと独特の雰囲気を持っている……そう感じるのは僕だけであろうか?


これらの画像↑は8月に撮ったものが、この虫を初めて見たのは7月だった。草原の背の低い花の間を飛び交うハチにまじって、ちょっと変わった虫が花に降りた。ハチなら逆ハの字型に開いている触角がY字型をしている──これはムネグロメバエハチモドキハナアブで見覚えがある。「蜂擬態用のシークレットかつら的触角(短い触角をハチのように長く見せるための上げ底構造)」をもつハエかアブの仲間だろうと思った。興味を覚えてカメラを向けたのだが、すぐに飛び立ってしまいロクな画像が残せなかった。その時撮ったNG画像がこの↓左側。


黒い貧弱な体に、やけに大きな黄色い頭──ケバエが、アシナガバチの頭をかぶっているみたいに見えた。鮮明な画像で撮れなかったのが悔やまれる……。帰宅後、メバエの仲間だろうと見当をつけて検索し、「オオズクロメバエ」(のメス)に行き着いた。
ちなみに……メバエの仲間でも、ムネグロメバエは「黒」が「グロ」と連濁で濁音化しているが、「オオズクロメバエ」では「黒」は「クロ」と濁らない。胸が黒くて「胸黒=ムネグロ」と呼ばれるムネグロメバエとは違い、オオズクロメバエは頭が黒くない(「頭黒=ズグロ」ではない)。「頭」は「大」にかかっているのだから「大頭=オオズ」と「クロメバエ」を分けて(連濁せずに)呼んだ方がわかりやすい。ネット上には「オオズグロメバエ」という誤記もあったが、「オオズクロメバエ」は適切な呼び方だと思う。
このオオズクロメバエ──ネット情報を総合すると……成虫は花に集まるが、幼虫は寄生性で、ツチバチに寄生するらしい。成虫メスは飛びながらツチバチの成虫に抱きついて産卵するそうな。ピンボケ画像でも確認できるが、メスの腹部腹面には大きな突起物が突き出している──これは湾曲した腹部末端とのこと。以前記事にしたキスジセアカカギバラバチは、葉の縁にとまって葉の裏に卵を産み続けるためだろう、腹部末端が鉤のように湾曲していたが、オオズクロメバエでは、飛びながらツチバチに卵を産みつけるという高度な芸を究めるために更に湾曲が発達したのだろう。
こうしたメスの特徴はユニークなので、なんとか鮮明な画像で記録したいところ。その後、この虫を見つけた草原でオオズクロメバエを探し続けた。
この草原ではツチバチ類を含む色々な種類のハチが花から花へ飛び渡っていたが、それを追いかける虫影が現れると、それがオオズクロメバエだったりした。オスによる縄張り主張のスクランブル飛行なのか、メスの産卵行動なのかは確認できないが、ハチを追いかけ接触するシーンも見られた。
初めて見た時は大きな頭に対して「ケバエのような貧弱な体」に見えたが、飛び方はケバエよりもずっとしっかりしており、機敏だった。頭のでかさは、飛翔する産卵ターゲットを捕捉すべく動体視力を高めるために眼を大きく発達させた結果なのだろう。
オオズクロメバエの姿は度々見られたが、警戒心が強く敏捷で、なかなか撮影可能な距離まで近づかせてくれない。(腹の突起が無い)オスはなんとか撮ることができたが(冒頭の画像はその一部)、ユニークなメスの鮮明な姿を撮りたいところ……。
1度、オオズクロメバエを見つけ、近づこうとしたところ飛び立ってしまい、そこに別の虫影が飛来して衝突!?──2匹がからみあって草の中に落下したことがあった↓。


♂同士の争いかペアなのか……2匹ともオオズクロメバエだった。葉陰の被写体が見えるアングル探し&フレーミーグに手間取っている間に2匹は飛び去ってしまい、ここでもマトモな画像を撮ることができなかった。
活動中の生体は撮るのが難しい……と嘆いていたところ、歩道に弱ったオオズクロメバエを発見。拾い上げてみると、しきりに動くものの、ヨタヨタして飛ぶ気配がない。ということで、この機会に接写。


ハエの仲間(双翅目)の特徴──翅は前翅の2枚(1対)だけで後翅は無く、平均棍という器官が確認できる。


活動中は翅をハの字に開いていることが多いが、重ねて閉じることもある。


ハチの触角とは違う「Y」字型の触角──これはハエの短い触角を(ハチに似せて)長くみせるための上げ底構造(触角の付け根を伸ばした形)だろうと思っていたのだか……なんと、幹(1本)になっていると思った付け根部分が開くシーンがあった!?↓


「Y」字型ではなくセパレート構造なら、ふだんから「V」に広げていた方が(ステレオの)感覚器としても、蜂擬態(?)としても有効そうな気がするが……どうしてこのような形になっているのか……?


横から見ると腹部に大きな突起が無い──ということでオスということになる。
ユニークな腹のメスがキレイに撮れたら記事にしようと思っていたのだが……かなわないまま、観察場所に草刈りが入って、花も蜂も姿を消してしまったため、ひとまずまとめておくことにしたしだい。

観察場所だった草原でよく見られたツチバチの1つ↓。




ツチバチのメスは地中のコガネムシの幼虫に産卵するために地面に潜る。コガネムシに寄生するハチなわけだが、こうしたハチにさらに寄生するハエが存在するというのが、ちょっと意外だった。ハチといえば、「強くて怖れられている存在」というイメージがある。その威を借る蜂擬態の虫だって多い。そうした強者のハチ(しかも幼虫ではなく飛び回る成虫)に、大胆にも卵を産みつけとは……オオズクロメバエは、なんともアッパレなハエだろう。


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コメント

No title
虫は無視したいけど、なんか…… 目が見たがるような
No title
> 東風さん

進化の極み、昆虫はじつに色んなのがいて興味深いです。
昆虫そのものも面白いですが、同じ虫を見ても人によって感じ方が様々なのも興味深いところです。

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