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立派なエゴヒゲナガゾウムシ♂

エゴヒゲナガゾウムシ:大型♂はハクウンボク育ち?



葉の上にたたずむ、ちょっと怪しげな後ろ姿!?──今シーズン初のエゴヒゲナガゾウムシ(ウシヅラヒゲナガゾウムシ)♂だった。大きなオスだな──というのが第一印象。頭から突き出した異様な突起──これはオス特有のものでこの先端に眼があるのだが、この張り出しぐあいもかなり立派。昨シーズンであった初オス(後述)は小型で眼の張り出しも小さかった……。
立派なオスのご尊顔を拝まんとするが、なかなか正面を向いてくれない。ダメ元で葉から指先に誘導すると、意外にも移動してくれた(よく飛ぶ昆虫なので、飛び去るだろうと覚悟していた)。


ブレがちで見苦しい画像になってしまったが(指に移すことは成功したが、やはり飛び去ってしまったので満足に撮ることができなかった)……これが正面から見たエゴヒゲナガゾウムシ♂の顔。まるで、白塗りののっぺらぼう!?


顔を切り取られたあとの切断面か!?──というほど顔面は平たい。
横から見ても、なかなかユニーク↓。


このオス↑は眼の張り出しが大きかったが、それがわかるように、昨年撮影した眼の張り出しが小さな♂の画像を再掲載↓。


今回見つけた大型♂と比較すると、その差は歴然。


エゴヒゲナガゾウムシ♂の眼の張り出しは、カブトムシ♂のツノのように、大型♂では大きくなり、小型♂で小さくなる傾向があるのかもしれない。
エゴヒゲナガゾウムシは、その名が示す通りエゴノキをホストとするヒゲナガゾウムシ。メスはエゴノキの実をかじって孔をあけ、種子に卵を産みつける。基本的には実(種子)1つに産みつけられる卵は1つで、幼虫は種子の中味を全て食べて成長するらしい。幼虫はそのまま種子の中で蛹となり、成虫は翌年初夏に種子に脱出口を開け出現するという。
卵が産みつけられるエゴノキの実(の種子)は大きさにバラツキがある。小さなエゴノキの実(の種子)で育つ個体は食糧も少なく小さなスペースで蛹にならなくてはならない。一方大きなエゴノキの実(の種子)で育った個体は食糧も多く大きな種子の中で大きな蛹になり得る──エゴヒゲナガゾウムシの体の大きさは、育った種子の大きさによって制限されているということのようだ。
眼の張り出しが少ない極小♂を見た時は、卵を産みつけられた種子が小さかったのか、あるいは1つの種子に2つ卵が入ってしまい、限られた資源を奪いあって欠食状態で成虫になってしまったのだろうか……などと思った(ときどき産卵痕が2つある実がある)。
ということは──今回見つけた大型の立派なオスは、幸運にも大きな実(の種子)で育ったのだろう。そこまで考えて、「このでかいオスは、(エゴノキの実よりも大きな)ハクウンボクの実(の中の種子)で育ったのではないか?」と思い至った。
周囲を見ると……予想通り近くにハクウンボクの木があって、大型♂がとまっていた葉の上に枝が伸びていた。


エゴヒゲナガゾウムシがハクウンボクの実でも産卵行動をしているのは、昨年確認している。周囲にエゴノキはなかったので、今回みつけた大型♂は、このハクウンボクの種子で育ったのだろう。枝の下に落下した種子の中で育ち、羽化してさほど経っていなかったのかもしれない(だから指に乗せようとした時すぐに飛び立たなかった?)。
ハクウンボクとエゴノキの実/種子(&脱出孔)の大きさを比較した画像を【エゴヒゲナガゾウムシ白雲木育ちは大きい!?】から再掲載↓。




大きな種子には大きな脱出孔が開いている──ということは、それだけ大きな成虫が誕生したということだろう。
ハクウンボクの実はエゴノキの実よりも大きいので産卵孔を掘るメスの負担は大きそうな気もするが、産みつけた卵から大きな成虫が育てば──オスならはメスをめぐるオス同士の闘争に有利になるだろうし、メスならば卵をたくさん産めるとか産卵孔掘りに有利になるとか……苦労しても食糧資源豊富な大きなハクウンボクでの産卵は見返りが大きそうな気がする。

そんなメスの産卵シーンを昨年の画像から(ハクウンボクではなくエゴノキの実に産卵中)↓。オス同様に顔は平たいが、眼は飛び出していない。




オス同様に顔は平たいが、メスの眼は飛び出していない。それではどうしてオスの眼は離れているのか──。
オス同士は、メスの争奪戦や縄張り争いをするとき、「離眼距離」をアピールして威嚇し合うのではないか。オス同士の闘争で体を大きく見せて相手を威圧し合う行動は動物ではよくみられる。左右の眼の離れぐあいで体格の差(優劣)を競うという行動も、あってよさそうな気がする。
「離眼距離」の大きなオスほどライバルを制して子孫を残しやすい──のであるとするなら、眼の張り出しが立派なオスの遺伝子が選択され、その特徴を進化させてきたと考えれば、オスの眼が飛び出していることの説明はつく……僕はそんなふうに考えているし、実際にエゴノキでオス同士が顔を突き合わせ、一方が飛び去るという行動も何度か見ている。




見苦しい画像↑だが、これは【エゴヒゲナガゾウムシ:オスの眼はなぜ離れてる!?】からの再掲載。顔を突き合わせて「離眼距離」を競い合うには、顔が平たい方がつごうが良い。エゴヒゲナガゾウムシのユニークな顔の平たさは、離眼距離比べに適した形ではなかろうか? ほかに顔が平たくなる理由を僕は思いつかない。

今回みつけたハクウンボク育ちと思われる立派なオスも、エゴヒゲナガゾウムシ的にはかなりのこわもてに違いない。


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