FC2ブログ

クモ擬態のオーロラハマキ!?

ハエトリグモ的オオナミモンマダラハマキ



コブシ周辺の下草の葉上にオオナミモンマダラハマキの姿が見られるようになった。小さな蛾だが、ちょっと変わっている。頭を下げ尻を上げた姿勢で後ろ向きに進みクルクルと向きを変える──この動きが、やはり葉上で見られるハエトリグモによく似ている。凝った模様もよく見るとハエトリグモっぽい。


ハエトリグモに似ていると何かいいことがあるのか?

去年の6月、葉の上にきれいなハエトリグモがいるな──と思ってよく見たら、この蛾──オオナミモンマダラハマキだったということがあった。そのとき「ハエトリグモに擬態」しているのではないかと気づいた。ただ……この小さな蛾がクモに擬態してどんなメリットがあるのか──擬態の意味が想像できなかった。
擬態といえば天敵をあざむく術という印象がある。この蛾の天敵としてまず思い浮かんだのは鳥やトカゲ、カエルなど──これらは蛾であろうとハエトリグモであろうと分け隔てなく(?)食ってしまうだろうから擬態効果は期待できない。
蛾は狩るけれどハエトリグモは避ける──そんなハンターが対象の擬態なのか? 葉の上で遭遇する捕食者といえば……カマキリの幼虫あたり?(※↓「ハラビロカマキリ若齢幼虫」の間違い)


この時期、葉の上にはカマキリの若齢幼虫をよく見かける。カマキリの幼虫なら小さな蛾は捕食対象となるはずだ。しかし、若齢幼虫はハエトリグモに捕食されてしまうこともあるだろう。葉の上にとまるオオナミモンマダラハマキがバッティングしがちなカマキリ幼虫を威嚇するためにハエトリグモ擬態を獲得したのだろうか? ただ、ハエトリグモとカマキリの力関係は、おそらくサイズや出会った時の状況でかならずしも一方的ではないだろう。カマキリがハエトリグモを捕食することもあるだろうし……ハエトリグモに擬態することがはたして生存に有利に働いているのかは疑問だ……。
昨年、オオナミモンマダラハマキのクモ擬態の可能性について記したところ、(mixiの方で)虫屋さんから、擬態のメリットについて「このような葉上には、よくディプテラが止まります。ディプテラを止まらせず、縄張りを守るため?ってどうでしょうか?」というコメントをいただいた。「ディプテラ」は馴染みの無い言葉だったがハエ目の昆虫のことらしい。言われてみれば確かに、葉の上には色々な種類のハエ目昆虫がとまっていたりする。これらが擬態の「対象」ということはあるのかもしれない。


翅裏に隠されたオーロラの輝き



ハエトリグモちっくなオオナミモンマダラハマキ──この蛾のユニークなところはそれだけではない。フラッシュ発光で撮影するとメタリックな輝きを放つのだ。


翅の付け根のあたり(頭の後ろ)には縦筋模様が走っているが、これが銀色に反射したり、角度によって青~緑に輝いて写る。


なんと翅の内側もカラフルに発色する。


波打った翅がカラフルに発色するようすはオーロラを連想させる。






葉上で後ろ向きになり翅を持ち上げるしぐさは、この翅裏のカラフルな彩りをアピールするためだったのではなかろうか? 人にはフラッシュ撮影しないとわからない彩りがオオナミモンマダラハマキ同士には見えているのかもしれない?
蛾はふつう葉の裏側に隠れてとまる。それがわざわざ目につきやすい葉の上にでて目立つ動きをするというのは……これはディスプレイ行動なのではないか? 葉上の動きをオーロラ発色を披露する求愛ダンスのようなものだと考えるとつじつまが合いそうだ。
求愛ダンスに適したステージ(葉の上)を確保するさいに、ハエトリグモに擬態していれば、虫屋さんが指摘されたように葉上でバッティングしがちなハエ目昆虫たちとの縄張り争いに有利なのかもしれない。

去年オオナミモンマダラハマキのクモ擬態に気づいたとき、僕はその効果について「天敵」対策としてその可能性を探していたが、元々は求愛もしくは同種オス同士の縄張りディスプレイとしての行動があって、それがたまたま(?)ハエトリグモの動きに似ていたことから、他の葉上利用者(ハエトリグモを怖れる小さなハエなど)に対して縄張り確保に有利に働くハエトリグモ似の模様が発達・獲得されたのではないか……今はそんなふうに考えている。



スポンサーサイト



コメント

No title
こんにちは・・・
オオナミモンマダラハマキの姿勢の不思議と翅裏の青~緑の輝き!
そして、ハエトリグモへの擬態(?)の効果!
それらの繋がりの謎を解き明かす過程が、まるで難解なミステリーを探る道筋のようで、大変興味深く読ませて頂きました!
・・・いつもながらの細やかな観察・撮影に加え、卓越した考察に脱帽致します・・・
実に、興味深く面白い記事ですね!☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

初めて葉の上でヘンな動きをするオオナミモンマダラハマキを見た時は「なんでこんな動きをするのだろう?」と漠然と感じただけでした。去年この動きがハエトリグモっぽいと気づいて注目したところ、模様もそれっぽいので、急に興味がわきました。その時は擬態の効果について天敵方面の可能性ばかり考えていたのですが、虫屋さんのコメントで葉の上のハエ目昆虫とも関係があるのかもしれないと思うようになりました。
今年、またオオナミモンマダラハマキの姿を見るようになって、改めて注目しているうちに、「こういうことなのではないか……」という解釈に至ったしだいです。
虫を見続けていると、そのときは意味がわからなくても、あとになって「!」と気づくことがありますね。

管理者のみに表示

トラックバック