FC2ブログ

ハリサシガメ幼虫と脱皮殻

今シーズン初のハリサシガメ幼虫





今シーズン初のハリサシガメ幼虫を5月19日に確認した。初めてハリサシガメに出会ったのは一昨年の7月下旬。その時は成虫と終齢幼虫が混在していた。キレイなデザインの成虫と土粒をまとい虫の死骸等を背負ったユニークな幼虫が同じ種類の昆虫とは現場では気づかなかった。帰宅後調べて「ハリカメムシ」を知り、がぜんこの虫に興味がわいのだが……とてもおもしろい昆虫のわりにこのカメムシに関する情報は少ない。いつ頃から活動するものなのかもわからず、昨年は気をつけて発生場所をチェックしていたたところ、5月31日に初個体(幼虫)をいくつか確認。今年はさらに気をつけていて、5月19日に2匹を確認することができたしだい。すでに土粒とアリなどのデコレーションをしており、いつ頃から活動を開始していたのかは今年もよくわからなかった。
とりあえず、この段階では小さいながらあるていど育っている(2齢以降?)。記録程度にと思って数枚撮っておいたのだが……帰宅後、画像をチェックしてみると、このうちの1匹が背負っていたデコレーションの中に自身の若齢脱皮殻と思われるものがあることに気がついた。




こうなると↑、一見どっちを向いているのかもわからない!? 「く」の字型の触角がある方が頭部なのだが、ボデイラインはおおい隠され、背中のデコレーションからつきだした虫の脚がまぎらわしい……。この触角とまぎらわしい虫の脚が、ハリサシガメの脱皮殻の後脚だった──と、気づいたのは帰宅後、パソコン画面で画像をチェックしていたとき。
この画像を見て、去年も1度同じような光景を見ていたことを思い出した。
自分の脱皮殻を背負う昆虫はいる。セモンジンガサハムシなどもそうだが、多くは視覚的擬装としてのカムフラージュではないかと思う。ハリサシガメの場合は、獲物であるアリに対するもの──嗅覚的な擬装の意味あいが大きいのではないかと僕は考えている。アリに近づいても(アリが接触してきても)ニオイでバレないように土粒で体をコーティングし、アリが廃棄したゴミ(昆虫の死骸)をデコっているのだろうという解釈。だとすれば、自分のニオイのついた脱皮殻をかついでいたのでは都合が悪いのではないか……という気がする。
ハリサシガメは狩ったアリなども背中にデコるが、抜け殻に関しては積極的に背負うわけではない。僕の観察ではハリサシガメは脱皮する際に(脱皮しながら)古い殻が背負っていたデコ素材を引き継いで行く。その過程で、デコ素材とつながっている脱皮殻がいっしょにくっついてきてしまうのだ。脱皮後、それを引き剥がす行動も観察したことがあったので、自分の脱皮殻は排除する習性があるのではないかと考えていた。去年見た《自分の脱皮殻を背負ったハリサシガメ》は、たまたまその離脱が上手く行かなかったケースなのだろうか……などと想像していたのだが、よくあることなのだろうか?
脱皮殻を背負った個体をもっと観察しておけばよかったと悔やみ、近く確かめに行かなければ……と思った。

アリをデコったハリサシガメ



ということで、2日後に発生場所に行ってみると、まず石垣の上に1匹ハリサシガメ幼虫が出ていた。先日見た2匹とはおそらく別個体。


アリの死骸をデコっている。ちょっとわかりづらいがこの幼虫は画面左手前を向いている。まだ小さく、直径20ミリの1円玉と比較すると、こんな感じ↓。


自分の脱皮殻を背負ったハリサシガメ

さて、問題の自分の脱皮殻を背負ったハリサシガメ幼虫がいたポイントを探すと……若齢幼虫の抜け殻をデコっている個体を発見!


先日見た個体よりもデコレーションが増え、その配置もじゃっかん変化しているが、同じ個体ではなかろうか!? 帰宅後、画像を比較してみると、デコレーションの中に共通する素材(水色矢印)があり、脱皮殻に付着した土粒の位置等も符合することから、やはり同じ個体のようだった。


現場では、他の個体がいないか石垣を一通り見て戻ってくると(その間約10分)……先日2匹を見たのと同じ石垣の隙間に2匹がかたまっていた。1匹はデコレーションから先日見たもう1匹の方であるとわかった。先日見た2匹だろうと思ったのだが……よく見ると、もう一方に脱皮殻がついていない!?──と、思いきや、近くに落ちていた!?


画面右のハリサシガメ幼虫が先日・そして先ほども確認した脱皮殻を背負っていた個体だと思ったのだが……そのデコレーションに脱皮殻はなく、手前に落ちている!? これは今しがた、引き剥がしたということなのだろうか? 画像を確認すると、先ほど脱皮殻を背負っていた個体と同じ素材(黄色矢印)を背負っているので、やはり同一個体のようだ。2日間背負っていた脱皮殻を、この10分の間に脱ぎ捨てたということなのだろうか? なんともフシギな気がするが……やはり自分の脱皮殻は排除したいのかもしれない。
とりあえず、脱皮殻を回収。


これまで見たハリサシガメの抜け殻の中で一番小さい。カメムシにしては短めの口吻がハリサシガメっぽさをかもしている。脚やその基部は黒く硬い組織だが、腹は透明な部分が多かった(終齢に近い抜け殻では腹は黒っぽかった)。




去年回収した脱皮殻の画像と比較してみると──、


一番大きい脱皮殻(画面右端)は羽化時のものではないので、おそらく脱皮後が終齢幼虫だったのではないかと思う。終齢幼虫が5齢であるとすれば、この(画面右端の)脱皮殻は4齢のもの、画面中央が3齢で、それより小さい今回の脱皮殻は2齢幼虫のもの(3齢に脱皮したさいの抜け殻)ではないか……と想像する。
今回みつけた脱皮殻と羽化殻から付着物を取り除いた画像を並べてみると──↓、


腹の色が違う(若齢脱皮殻では透明/羽化殻では黒)。
ハリサシガメについては色々なシーンを見て、あれこれ考えることも多いが、ぷちまとめの記事を作ってある。


スポンサーサイト



コメント

No title
こんばんは・・・
アリの中には、多種のアリを襲い、そのアリの体液や体表のワックス(成分)を身に付け巣に潜り込むタイプのアリが存在するそうですね・・・
多くのアリは視覚が悪いので、頼りは(臭覚)とか(仲間同士の合図:音)とか(体液)とか(体表のワックス:成分)・・・などになるのでしょう!
・・・にも関わらず、わざわざ己の(臭い)をくっつけアリを狙うのは・・・流石に合点がいきませんね!
となると、記事に記されているように、予想外にくっついてしまった余計な脱皮殻を何とか離し落とした・・・「やれやれ」と言ったところだったのではないかと想います!

それにしても、いつもながらの細やかな観察には頭が下がります。(いやぁ~凄い!)と、学ばせて頂いてます・・・☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

ハリサシガメについては色々知りたいことはあるのに情報が少なくて……とりあえず観察しながら、あれこれ想像をめぐらせています。
しかし、知りたいことが判る前に、色々新たな疑問がわいてくるような……。それもまた、楽しからずや──なのですが。

管理者のみに表示

トラックバック