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羽化殻落とし@アカスジキンカメムシ



葉の上に新成虫が目につくようになったアカスジキンカメムシ。しかし終齢幼虫の姿もまだそこかしこに見られる。ということは、羽化後の《抜け殻落とし》を観察するチャンスはまだあるということだ。
さて、以前記した《抜け殻落とし》関連の記事にいただいたコメントの中に「羽化殻」という言葉があった。なるほどこれは「羽化後の抜け殻」をわかりやすく示す便利な言葉だと感心。僕も使わせてもらうことにした。
ということで、《羽化殻落とし》──これが見られる今の時期に見ておかねば……と、つい、アカスジキンカメムシを探してしまう。その瞬間をキレイに撮るのは僕には難しそうだが……とりあえず観察例を増やしておきたい。

頭上で行われた《羽化殻落とし》



ムクゲのやや高い葉の裏で羽化中のアカスジキンカメムシを見つけた。撮影するにはちょっと遠い……しかし《羽化殻落とし》の確認をしておこうと観察を始めた。いちおう経緯は記録程度に撮影。画面すみの数字は撮影時刻(時:分:秒)。


①羽化中のアカスジキンカメムシ(羽化の詳しいようすは→【アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース】)。②離脱した新成虫が向きを変える。③羽化殻と頭をつき合わせるような形。この時点で羽化殻の脚は葉から外れかけていた。④しばらくじっとしていた新成虫が動き出す。⑤頭で羽化殻を押しながら前進。⑥葉の根元付近まで前進して羽化殻を寄り切るように羽化殻を落とす(この直後に羽化殻は落下)。⑦羽化殻落としを終えたアカスジキンカメムシ新成虫。
これまで観察してきた《抜け殻落とし》(《羽化殻落とし》や《脱皮殻落とし》)では、新成虫・新幼虫が頭突きで抜け殻を浮かせ、その下にもぐり込むように前進をすることで抜け殻を引き剥がして落とすような動作が見られた。

《羽化殻落とし》の新たなワザ!?



こちらは、やけに小さな葉の裏で羽化したアカスジキンカメムシ。見つけたとき、成虫は足場がないので羽化殻にしがみついていた。これまで見てきた《抜け殻落とし》では、新成虫・新幼虫は、ちゃんと足場を確保し、ふんばることで抜け殻を押し出すことができていたように思われるが……この状況で新成虫は《羽化殻落とし》をするための足場をきちんと確保できるのだろうか?


①新成虫は羽化殻につかまっていたが……。②葉のふちにもつかまる。


③この時点では、羽化殻の右前脚はちゃんと葉の縁をとらえている。しかし……④羽化殻の右前脚が葉から離れ、左前脚と左中脚も宙に浮いているのがわかる。


⑤この時、羽化殻は右中脚1本だけで葉につかまっていた。ぶら下がった羽化殻の開いた前胸背からカラッポになった内部がのぞいている。この中によくこの新成虫が収まっていたものだ。


⑥この画像を見ると、羽化殻は右中脚の──それもツメの1つだけでぶら下がっていることがわかる。⑦そして、ついに羽化殻が葉から剥がれる。⑧羽化殻を支えているのは新成虫の脚だけ。この直後に羽化殻は落下。


⑨今回は頭を使うことなく(頭突きや頭で押すことをせずに)羽化殻を落とした新成虫。いや、むしろ頭を使って脚で落とした?(というのはジョーク)
今回の行動が、意図的?(積極的)に羽化殻を落とすワザだったのか、それとも新成虫の足場が無くてたまたま羽化殻を踏みつけることで起こった落下なのか……このあたりは、ちょっと判然としない。しかし、無事に(?)羽化殻は落下し、新成虫は満足げに見えなくもない(?)。


⑩体色がだいぶ濃くなってきたが、「赤筋」模様はまだ白いまま。


新たな脚ワザ(?)で落とされた抜け殻(羽化殻)がコレ↑。幼虫時代に白かった部分は半透明になっている。背面の画像では羽化の際に裂けた前胸背の穴から前胸腹面が見える。前脚を引き抜いた跡や半透明になった前胸腹面ごしに長い口吻が透けて見える。

《羽化殻落とし》を視認



クサギの幼木の葉の裏で羽化を終えたアカスジキンカメムシ。模様が判る程度に体色は濃くなりつつあるが、羽化殻はまだ残っている。この葉は風でずっと揺れていたが、それが羽化殻落としの開始を遅らせていたのだろうか?
羽化や脱皮はいったん始まれば、近づいて接写しても継続されていく(中断できない?)が、抜け殻落としは不用意に近づくと止めてしまったり始まらなかったりする。それで今回は警戒させないように離れたところからようすを見守った。


①新成虫は孵化殻から少し離れたところに移動していて体色もだいぶ濃くなってきている(時間も経過している)。もう《羽化殻落とし》はしないのだろうか……という懸念もあったが……。②は羽化殻落とし直後の画像(1秒前にはフレーム内に羽化殻があった)。目の前で《羽化殻落とし》を確認していながら、その瞬間は撮り逃してしまった。
その時の状況は……少し離れた場所で新成虫が羽化殻に接近して行くのに気がつき、《羽化殻落とし》を確信したが、ここであわてて近づくと動作をやめてしまうかもしれない。ゆっくりと慎重に近づくと、新成虫は抜け殻を頭で押し始めた。《羽化殻落とし》とわかるシーンにカメラを向けるが……風で葉が揺れてピントが合わない……。多少のピンぼけやブレは覚悟でシャッターを切らないと、また撮り逃すことになる──とりあえず撮っておこうと決断した瞬間──羽化殻は落下……。ほんの0.何秒かのタッチの差で撮れたのがこれ。1秒前にシャッターを切っていればそのシーンが撮れていたはず……どうせピンぼけかブレていただろうが……やはりちょっと悔しい。
とりあえず、通常の(?)「頭を使っての《羽化殻落とし》」を確認したので記しておく。


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コメント

No title
にっくきは・・・風!

肝心な時(瞬間)に吹く風の、何と憎たらしいことか!

それでも、これだけの証拠写真を御捕らえになってらっしゃるところが・・・星谷さんの凄さ、素晴らしいところだと想います!

こういった・・・
「アカスジキンカメムシを撮りました!」に終わらない・・・
生態を探る姿勢を見習いたいと想います!
私が、図鑑で知りたいのは、名前も!ですが、記事にある様な(羽化殻落としで身を守ります)的な虫の生態です!
縦しんば、図鑑に記されないのであれば、貴重な考察をこうしてブログで知ることもできる・・・
そこが、ブログの良さなのではないかと想います!

貴重な資料を拝見させて頂きました・・・☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

葉にとまった虫を撮ろうとするとき、「風」はやっかいですね。
昔から写真撮影には苦手意識があって、「写真」的にはお見苦しい画像も少なからず投稿していて、お恥ずかしい限りなのですが……虫の面白い部分を伝える素材(証拠資料?)ということで。

僕も昆虫についての興味は「名前が何か?」ということよりも「虫そのもの(自然物としての昆虫)」にあります(名前は自然物ではなくヒトがつけた記号=人工物ですから)。
やはり昆虫の生態に魅かれることが多いですね。デザインや行動など──「これには何か意味があるのだろうか?」「あるとすれば、どんなことだろう?」と想像せずにはいられないというか。

図鑑には載っていないような、個々の昆虫の観察・考察に触れることができるのがブログの良さだと僕も感じています。また、自分のブログもそうありたいと思っています。
No title
すごいですね!
頭突きで落とすバージョンもしっかり撮れ
さらに足蹴にするバージョン?も撮れて
貴重な資料なのではないでしょうか。
頭突きで落とす瞬間は、いつも一瞬なんですよね。
40分間待って、その瞬間を逃さないのは
相当の集中力だと思います。
それにしても、やっぱり羽化殻は落としておきたいんですね~。
羽化したてだということを天敵に知られたくないのでしょうね。
No title
> のりさん

本当はもう少し鮮明な画像でその瞬間を撮っておきたいところなのですが……。
待ち時間が長くなってくると──葉めくりと一緒で(?)、ずっとめくり続けているのにハズレ続きだとアタリがでるまで止められなくなる……みたいな感じというか。
ず~っと待っていたのに、その瞬間を見逃したら、これまでの待ち時間が無駄になってしまう……このまま終わるわけにはいかない感が貯まってきます(笑)。

羽化殻落としは基本的にはやるのだろうと考えているのですが、決定的瞬間をキレイに撮ろうと思って近くで粘ると、結局羽化殻を残したまま逃げてしまうこともあったりします。抜け殻が残されている例もあるし、確実に行われるわけではないので、難しいところです……。

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