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フユシャクの産卵&コーティング

オスの翅に隠れたメス:ウスバフユシャク



擬木にとまっていたウスバフユシャク♂。フユシャク(冬尺蛾)のオスが頭を下にとまっているときは交尾していることが多い気がする。そう思ってよく見ると……オスの翅の下からメスの脚がのぞいていた。
角度を変えてのぞきこむと……。


ウスバフユシャクは12月半ばにもペアをみている(【フユシャク色々】)。フユシャクの1つで、オスには翅があるが、メスには翅がない。

産卵前のフユシャク亜科のフユシャク♀



年が明けてからはフユシャク亜科のフユシャクを見かけることが多くなった(他にエダシャク亜科・ナミシャク亜科のフユシャクがいる)。このメスは翅が消失していて、単独でいると種類を見分けるのが難しい(翅のあるオスとペアでいるとわかりやすい)。


あわいブルーの小さな翅が魅力のイチモジフユナミシャク♀ホルスタインちっくなチャバネフユエダシャク♀などに比べると、ルックス的には地味な印象が否めないフユシャク亜科のフユシャク♀だが……特典(?)をあげるとすれば、腹端の化粧筆(フェイスブラシ)のような毛束だろう。この毛束は産卵のさいに卵塊をおおうコーティング素材として使われる。


やはり木製の手摺の上にいたフユシャク亜科のフユシャク♀↓。




基本的には夜行性なのだろうが、しばしば日中も交尾や産卵している姿を目にすることがある。ということで──↓。

産卵中のフユシャク亜科のフユシャク♀



欄干(らんかん)の金属製手すりの上で産卵を始めたフユシャク亜科のフユシャク♀。まだ腹は大きく、腹端の化粧筆(フェイスブラシ)のような毛束もたっぷり残っているが、手摺にはすでに抜けた毛が貼り付けられている。この下に卵が産みつけられている。この25分後↓(画面左下の数字は撮影時刻──時:分:秒)。


卵を全て産み終えてから毛でおおうのではなく、卵を産みながら毛をカバーして産卵領域を拡張していく。


クロバネフユシャクかシロオビフユシャクあたりか……よくわからないが、この種類はかなり念入りに毛のコーティングを行う。卵を産みつけながら毛をはりつけていく一層目は特に時間がかかるようだ。


こうしてわざわざ手間をかけて卵を毛でおおっていくのは、労力に見合うだけの意味があるからだろう。卵に霜がつかないような防寒対策・乾燥を防ぐため・卵に寄生する蜂などから卵を守るため──そんな可能性を想像している。




このような卵塊を作るフユシャクを以前も観察したことがあるが(*)、卵を産み終わった後も、毛の上塗りを何度も繰り返していた。
ということで、翌日、現場に戻ってみると──↓。

産卵後のフユシャク亜科のフユシャク♀



すでに産卵&コーティング作業は終了し、そばには大仕事を終えて、やつれたメスの姿があった。




産卵前と同じ昆虫とは思えないほどのプロポーションの変わりよう……。
そして、「大仕事」の結果は──↓。


前日の「産卵しながらの一層目」作成時は、もっと毛羽立った感じのコーティングだったが、その後何度も「上塗り」をくり返して「みっちりしまった感じ」に仕上がっている。
別の場所(木製の手すりの上)でも、産卵&コーティングを終えた、同種と思われるフユシャク♀の姿をみつけた。




毛のコーティングは、やがて膜のようになり、その膜に孔をあけて幼虫が孵化するようだ(*)。
フユシャク亜科でも種類によって卵塊の形状やコーティングの精度には違いがる。雑なコーティングをする種類では毛の薄いところで卵が覗いていたりする(*)。


フユシャクの産卵とその後 ※産卵&腹端の毛によるコーティングのようす
フユシャクの産卵:列状卵塊ほか
フユシャクの天敵!?

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コメント

No title
しかし、いつ拝見してもよく撮れています。こちらには全くいないです。ナイス!!
No title
> 四季の風さん

発生場所と発生時期が判れば、見つけるのは難しくないと思うのですが。
フユシャクでもオスは飛べるので、街灯や公園のトイレなどをチェックすると発生しているかどうかわかるかもしれません。オスがいれば、周辺でメスもいるはず……。
No title
生き物の姿形には、訳がある・・・
と、頭に置きながら、このフユシャク亜科のメスの姿を観ると・・・
腹端のブラシが、とても意味深いものに観えてきます。
産卵+コーティング後のメスの窶れ具合を観ると・・・
それがたとえ本能(?)からくるものであっても(母の愛)なんて・・・非科学的なことを想ってしまいます・・・

フユシャク蛾の、先ずは交尾シーンを・・・
続いて産卵シーンを・・・
と、是非、一度は目にしてみたいものです。☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

パッと見、地味なフユシャク亜科の♀ですが、腹端の化粧ブラシはユニークですね。使っている所(産卵シーン)を見ると、がぜん興味がわいてきます。
産卵前と後とでスタイルが一変してしまうのも、当初はビックリでした。
No title
驚きの連発ですね。@@;
コーティングしたのを見つけたいです。
卵も沢山産みそうですね。昆虫のデザインは不思議。
No title
> まあささん

コーティングした卵塊は壁や手すりなどで時々みかけます。ちょっとガムか何かが貼り付いた感じにも見えますが(にしては小さいですが)……このフユシャクの産卵シーンを見てから「あれは卵だったのか」と気づきました。
産卵の後も腹端の毛を塗りつけ続ける母蛾は働き者だと感心します。
No title
産卵してしまってから覆うのではなく、産みながら覆っていくのですね。
以前の記事でも拝見していたかもしれませんが… 新鮮な気持ちでまた読ませていただきました(^ ^;
べたーっと毛で覆われたかんじとか、きちっと並んだ卵塊が
地味にぞわぞわっときます。
「気張ってる感あふれる」とか、「産卵やつれ」とか
ところどころの言い回しが言い得ている…と思い、ふふふっと笑ってしまいました。
No title
> noriさん

毛に覆われた卵を産むフユシャクがいると知ったとき、どういう手順(?)でそういう形になっているのだろう?──と疑問に思っていました。
まず産卵をして、それから毛を貼り付けていくのか、産みながら毛も貼り付けていくのか、はたまた毛でベッド(?)を作ってから、その中に産みつけるのか……。
実際に産卵の場面に出くわして、産みながら毛で覆っていくことを確認できたのですが、そのときは産卵後も何度も毛の上塗りを繰り返していたのが意外でした。
夜行性のフユシャクは日中じっとしていることが多いですが、たまにこうして一生懸命活動(産卵&コーティング作業)をしている姿を見つけると、つい見入ってしまいます。

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