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アカスジキンカメムシ幼虫の臭腺開口部

越冬前のアカスジキンカメムシ



トウカエデの林の幹上にアカスジキンカメムシの終齢(5齢)幼虫を見るようになった。すっかりおなじみの昆虫になったアカスジキンカメムシだが、初めてこの虫を見たのは虫見を始める前──この場所でだった。ここは当時飼っていたフェレットの散歩コースの一部で、時期もやはり今くらいだったように思う──フェレットの散歩中にトウカエデの幹を歩く黒と白の風変わりな終齢幼虫を見つけ、丸みのある体つきから「テントウムシの仲間だろうか?」などと思った記憶がある(後にカメムシの幼虫だと知る)。
黄葉・落葉の時期になると吸汁がままならなくなるとか足場(葉)が失われるため枝先を離れるのだろうか? あるいは葉と一緒に落ちてきた個体が木に戻るためか、はたまた越冬準備のために降りてくるのか……いずれにしても、この時期になると、幹の根元付近でこの虫を目にする機会が増える。


トウカエデの林の中にあるアメリカスズカケノキの幹にもアカスジキンカメムシの終齢(5齢)幼虫の姿が。「カメムシ」と言えばまず思い浮かぶのが「悪臭(カメムシ臭)」。子どもの頃に読んだ本には「カメムシは臭いニオイを胸(腹面)からだす」というようなことが記されていて、僕はずっとそう思っていた。ところが、散歩中のフェレットが地面に降りていたアカスジキンカメムシ幼虫の「背中」を2度踏みつけて足の裏がカメムシ臭くなるというアクシデントが発生。調べてみると「カメムシ臭を胸(腹面)から出すのは成虫で、カメムシの幼虫は背中(腹の背面)から出す」らしい。それならば幼虫の「背中」を踏んで足が臭くなったのも説明がつく。このエピソードは【フェレット漫画:最後っ屁対決!?】にも記した。


トウカエデの幹にとまっていたアカスジキンカメムシ4齢幼虫↑──背中のもようが終齢(5齢)幼虫とは少し違う。この個体は白い部分が狭いのでまだ4齢になってあまり時間が経っていないのだろう(白い部分は成長とともに広がる)。越冬前にあと1回脱皮するのだろうか。
アカスジキンカメムシは終齢(5齢)幼虫で越冬するとされているが、冬に4齢以前の幼虫や成虫を見ることもある。終齢(5齢)幼虫以外は皆冬を越せずに死んでしまうのか、あるいはその一部は冬を乗り切ることができるのか……興味のあるところ。
ちなみに、成虫は地味な幼虫と違って鮮やか。今年5月に撮影した画像↓。


アカスジキンカメムシは成虫も幼虫も、背中の模様が顔に見えておもしろい。


アカスジキンカメムシの臭腺開口部(開孔部)

『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』(野澤雅美・著/農山漁村文化協会・刊/2016年)によると──カメムシの臭腺は成虫では胸の腹面に開口しているため「後胸腺」とも呼ばれ、幼虫は背面に開口しているので「背板腺」とも呼ばれるそうな。「背板腺」の開口部の位置や数は科によって違いがあるそうで、キンカメムシ科では第4・5・6番目の体節の背中に各一対あわせて6個開口しているという。
「カメムシは悪臭を放つ」ということは子どもの頃から知っていたが、じっさいにどの部分から発するのかは確認したことが無かった……ということで、アカスジキンカメムシの臭腺開口部(開孔部)をチェックしてみたときの画像がこれ↓。


アカスジキンカメムシの臭腺開口部】より再掲載。成虫の開口部はすぐに判ったが、幼虫ではちょっと判りにくかった……。


アカスジキンカメムシの幼虫では該当部分周辺が黒っぽく、点刻が散らばっているので、開孔部の位置がわかりづらい。
ちなみに、この個体↑(終齢幼虫)は白い模様部分が広いので羽化間近と思われる。幼虫の黒っぽい模様部分は脱皮後ほとんど成長しないようだが、白い部分は成長にともなって広がる──だから脱皮直後は白い模様が狭く、脱皮(もしくは羽化)直前の幼虫では広いということになる。
この画像↑を撮って以降、アカスジキンカメムシ幼虫の臭腺開口部(開孔部)は撮りづらいとあきらめていたのだが……先日ふと羽化後の抜け殻で確かめられないかと思い立った。


これ↑は5月に《抜け殻落とし》を観察したさいに、羽化後の成虫によって落とされた抜け殻。拾って保管(放置)していたものだが、回収時とほとんど変わっていなかった。この抜け殻で臭腺開口部(開孔部)を確かめてみることに。


幼虫の黒っぽい部分は鈍い金属光沢を放っている──この組織は硬く、脱皮後ほとんど成長しない。幼虫時代に白かった部分は抜け殻では半透明の膜であることがわかる。羽化直前には広がっていたのに羽化後は縮んで狭くなっている──黒く硬い部分と違って伸縮性のある組織のようだ。
さて、問題の臭腺開口部(開孔部)だが……やはり周辺がテカって判りづらい……。そこで──、


──ということで、下からの光をあてて表面のテカリを抑えて撮影したものが↓。


矢印の部分がアカスジキンカメムシ幼虫の臭腺(背板腺)開口部(開孔部)と思われる。


画像は腹部背面の右側を写したものだが、これが左側にもあって3対で計6つ開口していることになる。

11月に入って見かけた昆虫から



アカスジキンカメムシ幼虫がいたトウカエデの林でみかけたハロビロカマキリ。緑色の個体が多いが、黄褐色のハラビロカマキリもいる。


ハラビロカマキリというと「緑色」というイメージがあったので、初めて黄褐色の個体を見た時は珍しく感じたが、狭山丘陵ではしばしば目にする。


ニホントビナナフシの成虫♀↑。この虫も「緑色」の印象が強いが、まれに黄色いトビナナフシが見つかることもある。


欄干の上にいたキボシカミキリは、左中脚が途中で欠けていた。このカミキリは意外に遅くまで活動しているようで、狭山丘陵では12月に入ってもたまに見かける。年を越して1月にも2度ほど確認したことがあり、僕が見た一番遅かった記録は1月17日だった。
意外に遅くまで見られる大型甲虫類といえば──↓。


狭山丘陵周辺では1月から12月まで全ての月で成虫を確認している。ウバタマムシ日本のレッドデータ検索システムで見ると、東京都では「絶滅危惧Ⅰ類」・埼玉県では「準絶滅危惧種」ということになっているが、目にする頻度はさほど少なくはないし、出会うポイントもあちこち……限定的というわけでもない。個人的にはむしろ増えてきているのではないか……という気がしないでもない。
オールシーズン(?)のウバタマムシに対して、旬の昆虫──晩秋の蛾・ケンモンミドリキリガ↓。


美しい蛾で、擬木にとまっていると目立つが、適切なところ(?)にとまっていたら地衣類に紛れてボディラインが隠蔽されそうなデザインにも見える。



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コメント

No title
こんばんは・・・
フェレット漫画を楽しく読ませて頂きました!
フェレットが、アカスジキンカメムシの幼虫を踏みつける瞬間のドアップ画像が、とっても可愛かったです!

保管されていた(保管されてたこと自体が素晴らしいですね!)アカスジキンカメムシの幼虫の抜け殻からの臭腺開口部の詳細なお写真に見入りました・・・「こうなってるんだ・・・凄い!」

自分自身が納得いくまで、観察し考察し結果を求める過程が貴重なのでしょうね!・・・☆
No title
このキンカメムシは卵の時から観察しています。今半分へんないろになりかけています。ナイス!
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

僕が虫見を始めたきっかけは、フェレットの散歩でした。散歩中に出会う虫や小動物が(好奇心おう盛なフェレットにとって)危険でないかを確かめるために調べ始めたのが虫見の始まりでした。
昆虫を調べるの過程で昆虫フォーラムに出入りするようになり、昆虫の面白さにはまったしだいです。

アンスジキンカメムシ幼虫の臭腺開口部はわかりにくいので、僕には撮影は難しいとあきらめていたのですが……ふと、抜け殻で確認できないかと思い立って試してみました。
No title
> 四季の風さん

アカスジキンカメムシは比較的大きめですし、見映え的にも観察に適した昆虫かも知れませんね。

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