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スズメバチ対策の記事に疑問


スズメバチ対策の記事に疑問

スズメバチ被害を伝えるニュースは度々目にする。スズメバチに限ったことではないが、いわゆる危険生物を扱った報道は視聴率やアクセス数をかせごうとしてなのだろうか……必要以上に危険性を強調したり危機感をあおるような演出がされていることが多い気がする。こうしたニュースに求められるのは、「ではどうすれば被害を避けることができるか」という情報だろう。いたずらに視聴者・読者の危機感・不安を煽るのではなく、安心に繋がる対策情報を周知するべきではないかと疑問に思うことも少なくない。

スズメバチはよく見かける昆虫の1つ。状況によってはかなり近づいて接写することもあるが、スズメバチに刺されたことは一度も無い。スズメバチの攻撃は基本的には避けられるものだと僕は考えている。報道されているスズメバチ事故の多くも、予備知識があれば──適切な対応をとっていれば避けられた・もしくは被害を少なく抑えられたのではないかと思っている。そういった意味で「正しい対策」の周知が大切だと常々思っているのだが……昨日ニュースに上がっていた《プロに聞く正しい対策》の記事を読んで首を傾げてしまった。


■スズメバチは「黒だけ攻撃する」は誤解 プロに聞く正しい対策〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171027-00000019-sasahi-life

「この記事を信じて実践する人がいたら危険ではないか……」と感じたので、あくまでも個人的な意見としてだが、僕が疑問に感じたところを記しておくことにした。
記事を読んで疑問に感じたことを順に記していくと──(《》内は記事の引用)、


《愛媛県大洲市で車いすに乗った87歳の女性がスズメバチの大群に50分間刺され続け、多臓器不全で死亡してしまった事実が判明したのが10月初旬。》

この悲惨なニュースは僕も読んでいた。知ったのは10月6日の報道でだったが、車いすの女性がスズメバチに刺されたのは9月11日。被害にあった時期ではなく報道された時期を示す意図がよくわからない……生態の情報として被害にあった時期を示すのが適切な気がする。

《スズメバチ駆除の専門家・小川世紀さんは、秋以降こそ危険で、注意が必要だと訴える。
「この時期のスズメバチは生存競争に勝ち残った生命力の強いものだからです。中には、寒くなっても活動を続ける場合もある」》


秋以降のスズメバチを危険だとする理由が《生存競争に勝ち残った生命力の強いものだから》というのがよくわからない。
夏の終わり~秋にはスズメバチの巣は大きくなり、扶養家族(?)が増える。相対的にエサとなる獲物が少なくなるので攻撃性が高まるのだと僕は認識していた。種類によっては他のスズメバチやミツバチの巣を襲撃することもあるそうで、防衛のための警戒が強化される時期でもある。そのために巣に近づく人が攻撃(防衛行動)される機会も増える──僕はそう解釈している。


《「もしもスズメバチに遭遇してしまったら、下手に逃げたりせず、ゆっくりしゃがんで、石のように動かずにハチが通り過ぎるのを待つしかありません。ただし、それで100%防御できるという保証はありません」(小川さん)》

スズメバチに遭遇するのは巣の近くや、餌場(樹液が出ている木など)の周辺であることが多い。スズメバチの姿を見かけたらすみやかに離れるのが無難だと僕は考えている。もし、近くにスズメバチの巣があるのに《下手に逃げたりせず、ゆっくりしゃがんで、石のように動かずにハチが通り過ぎるのを待つ》ことをしてたら、攻撃の集中砲火の的にもなりかねない。前述の「車いすに乗った高齢女性がスズメバチの総攻撃を受け亡くなる」という事故も、近くにスズメバチの巣があるのにその場を動かず(動けず)にいたことが被害を深刻にした。スズメバチが威嚇してきたり攻撃してきたら、とにかく急いでその場から離れることが最優先だと僕は考えている。スズメバチが人を攻撃するのは巣や餌場を守る防衛行動であることが多い。威嚇や攻撃があった場合、スズメバチの警戒域の外へ出ること──これをしない限り攻撃は続きエスカレートする危険が高い。

《小川さんによると、最も気を付けてほしいのは土中にできた巣。「これは地雷のようなもので、うっかり踏んでしまったら、数百匹に襲われてしまう。一度刺されると、“警報フェロモン”によって仲間に警報が伝わるので、一斉に攻撃してくる。こうなったら、なすすべはありません」(同)》

《なすすべはありません》といわれても……これが「プロに聞く正しい対策」なのだろうか? オオスズメバチの巣を踏んでしまったら、そのまま死ぬまで刺され続けるしかないというのだろうか?
こんな状況でその場にぐすぐすしていたら、スズメバチの総攻撃を浴び続けることになる。とにかくスズメバチの巣からいち早く離れること──それが被害を少なくすることにつながるはずたと考えている。


《スズメバチは人を襲撃する前に「カチカチ」という警告音を鳴らすので、音が聞こえたら慌てずにゆっくりと後ずさりしてその場を離れろといわれるが、これは正しくない。スズメバチの警告音の多くは、耳を澄まさないと聞こえないほどの小さい音。警告音が聞こえないからと安心して身動きしたら、その瞬間に襲われてしまうこともある。》

まるで「スズメバチの警告に気づくのは無理」「下手に身動きすれば襲われる」とでも説いているようにも読めるが……たとえ「カチカチ音」が聞こえなかったとしても、まとわりついて「威嚇」してくれば、それが警告行動であることは判るはずだ。「警告」の段階ですみやかにその場(おそらく近くに巣がある)を離れ、スズメメバチたちの警戒域の外へ出てしまえば「攻撃」は回避できる。
「警告」を無視してその場にとどまればハチの緊張は高まり「攻撃」段階に突入する──ひとたび攻撃のスイッチが入れば、増員部隊を招集しての総攻撃につながりかねない。《身動きしたら、その瞬間に襲われてしまうこともある》からと「警告」を受けているにもかかわらず、その場(警戒域内)に留まるのはきわめて危険な行為だと思う。この状況で記事に記されているように《下手に逃げたりせず、ゆっくりしゃがんで、石のように動かずにハチが通り過ぎるのを待つ》ことを実践した人がいたら、深刻な被害を受けることになりはしないかと、そんな心配をしてしまう。

また、気になったのが──、


《ハチは白黒で物を見るので、濃い色はハチにとって黒と同じで、攻撃してくる》

──という部分。
昆虫の多くは色視物質を持っているという話は聞いたことがある。ハチにも色覚があるという認識でいたが……《ハチは白黒で物を見る》というのは、何を根拠にしてのことだろう?
この「プロ」の話には、疑問に感じることが多い……。

ちなみに僕は、ススメバチの攻撃を受けやすいといわれている黒い服を着て緑地を歩くことも多い。攻撃が始まれば黒いものが狙われやすいという認識はあるが、黒い色が攻撃を誘発するとは考えていない。黒い服でスズメバチに近づくこともあるが刺されたことは無い。危機感を煽る報道で、「動くと襲われる」「黒を着てると攻撃される」と思っている人もいるかもしれないが、僕は状況を見極めていればスズメバチはさほど怖い虫ではないと考えている。

スズメバチというと危険性ばかりが強調されがちだが、彼等だって闇雲に人を襲うわけではない。スズメバチにも生活があって、生き物としての生存戦略上、無用な闘いを望むはずが無い。スズメバチがヒトを攻撃するのは、巣や餌場を守ろうとしてのこと──「警戒域に侵入した脅威を排除するため」の防衛行動だと僕は理解している。多くの場合、威嚇の段階で警戒域の外へ逃れることで危険は回避できるはずだ。

ただ、人の往来が頻繁な場所に巣が作られていた場合、前に通った人の刺激で警戒態勢にあったスズメバチの警戒域に次の人が通りかかったことで(その人にとっては)いきなり攻撃を受ける──ということは起こる得ると思う。なので市街地ではスズメバチの巣を撤去するのは妥当な措置だと思う。

スズメバチ被害のニュースが報じられると、「そんな危険なものは絶滅すべし」という意見が出てくるが……市街地の巣の撤去はやむないとしても、緑地の巣まで排除すべきだとは思わない。
スズメバチも生態系の一部。ヒトとの関わりで言えば、害虫を退治する益虫としての面もある。生態系の中でそれなりの役割りを果たしているはずの生き物を短絡的に「絶滅すべし」と考える人が多いのは、危険ばかりが強調されて報道され、その行動(人を攻撃することがある)の意味するところ──生態的な理解がきちんと伝えられていないからではないだろうか?
ズズメバチはどこにでも普通に見られる昆虫の1つだ。「絶滅」というのは現実的ではないし、できたとしてもするべきではない。それよりも被害を避ける・あるいは最小限にとどめる情報を周知するのが現実的であり効果も期待できる適切な方法だと思う。
だからこそ「正しい対策」の報道には期待しているが……今回の《正しい対策》記事には疑問があったので、個人の感想として思うところを記してみたしだい。


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コメント

No title
「カチカチ」という警告音、けっこう聴こえますよね。羽音も大きいですし。
10年くらい前、庭で地面に巣が出来ていてこの警告音を聞き、
そろそろと後ずさりして逃げました。スズメバチだったのでしょうかね。
庭では蜜を求めてオオスズメバチが来ますが、刺されずになんとか折り合いをつけてます。
市街地では駆除も仕方がないですけど、人が出入りしない場所―山林など―の巣はそっと見守っても良いと思います。
No title
> あめふらしさん

そうそう、あの重量感のある羽音はふつう聞こえますよね。スズメバチが威嚇してきたら、その場を離れることで危険は回避できると僕は考えています。
スズメバチには注意する必要がありますが、適切な距離を保っていればさほど危険な存在ではないと思います。
緑地などではスズメバチの巣や餌場に「ススズメバチに注意してください」という立札を設置すれば、危険はおおむね回避できるはずだと考えています。
No title
こんばんは・・・
偏った報道に不信感を抱くことって結構あります。
例の(ヒアリの件)もしかり!「これで、一斉に?公園で遊ぶ子供たちが居なくなった(かどうかは不明ですけれど・・・)」
生物多様性を訴えながらも、ヒトの都合で(排除!?って言う政党もありましたっけ?)全滅を目指す。のは如何なものか?と私も想います。
考えてみれば、ヒトの勝手な社会の都合で、ヒトにとっての危険生物が身近に増えた面もあるのではないでしょうか?
・・・先ずは、危険と思える生き物の生態を詳しく知り(特に教師!虫が気持ち悪いと口にする教師!)、如何に上手く付き合っていくか(危険を避けるか)を考えていかなければならないのではないでしょうかね?・・・???
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

今はテレビを離脱していますが、以前は「危険生物」の特集で呆れることがよくありました。危険性を強調する方が関心が高まる(視聴率を稼げる)からなのだろうかと疑いたくもなってしまいます。
スズメバチに限らず……やみくもに怖れ、「排除」することで不安を解消しようというのは健全な考え方ではないと思います。
やはり不安の対象を「よく知る」ことが適切な対応の基本となるはずですよね。
No title
スズメバチだって闇雲に人を襲うわけではない。ナイス!です。(^_-)-☆
No title
> 浜名湖畔 礫島便りさん

「危険の芽は徹底的に排除」で安心を得ようと言う風潮は気になるところです。「危険を察知し避ける」ことこそがが大事なのだと考えています。

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