FC2ブログ

ハリサシガメの腹

オスとメスで形が違うハリサシガメの腹



暑い盛りには石垣では見かけることが少なくなっていたハリサシガメだが、涼しくなって戻ってきつつあるような。オスは長翅型・メスは短翅型であることが多いようだが、個体によって中間的なものもいたりする。ハリサシガメの成虫はオスとメスで腹の形に違いがあるようだ。


オスの腹は側方から見ると中央がくぼむ形で湾曲している。


オスの腹端は(メスにくらべ)膨らんでボリュームがある。


石垣すきまから出てきた短翅型のハリサシガメ成虫♀↓。




オスの腹がゆるい凹状なのに対してメスの腹は凸状。腹面を船底にしたボートのような形をしている。


メスの腹端はすぼまっていて、オスのようなボリュームはない。


中間型の翅をもったメス↓。


別の短翅型♀↓。やはり腹はボート型。


メスの腹の形は他のサシガメ・カメムシなどと比べて特に変わった感じはしないが、オスの腹の形はちょっとユニークな気がする。
8月下旬に拾ったハリサシガメ成虫♂の死骸で、オスの腹を再確認↓。




オスの腹が湾曲しているわけ?

ハリサシガメ♂の腹が湾曲しているのは、交尾の姿勢と関係あるのかもしれない。ハリサシガメの交尾はオスがメスを側面から抱えるようにして行なわれる。そのさい、メスの膨らんだ腹に沿うような形になっているようにも見える。


横になって背中をみせている長翅型の個体がオス↑。その向こうに伏臥(ふくが)姿勢のメスがいる。
別のハリサシガメ・ペア↓。


メスの膨らんだ腹を回り込むようにして腹端を接合するにはオスの腹は凹んでいた方が都合は良いはずだ。同ペアを角度を変えて──↓。


オスの腹の湾曲がメスの腹の膨らみに対応しているようにも見える。
ところで、このメスには翅が無い!?──一見、無翅型に見えるが、両翅は根元付近で欠けている(羽化後の欠損)。腹の縁にも外傷があって、草刈り機で傷つけられたのではないかと思っているのだが──このメスは何度か見たことがあった。


このメスを初めて見たのは8月中旬。8月下旬には交尾しているところを確認(【ハリサシガメのレガース】)。その後、石垣で単独でいるところも見ている。つまり少なくともこれが2度目の交尾ということになる。ハリサシガメ♀は交尾を繰り返し行なう(ことがある)ということがわかった。
ハリサシガメを見かける頻度を「成虫単独:交尾中」で考えてみると他のサシガメやカメムシなどと比べると、交尾中の頻度が高いように感じる。オスとメスが比較的狭いエリアに集中しているということもあるのだろうが、交尾している時間が長いことで、そのシーンを目にする機会も多いのではないかと思っている。
石垣で確認したペアが翌日も同じ場所で交尾していたこともあった。これも交尾が長時間続いていたのかもしれない。
ハリサシガメが他のサシガメよりも交尾時間長かったり交尾頻度が多かったりするのであれば、オスの腹の湾曲は交尾体勢を維持しやすいように適応した形──といえそうな気がする。
よく見かけるカメムシの交尾はオスとメスが反対方向を向いていることが多いが、それではサシガメの仲間ではどうなのか……と過去に撮った画像を確認してみた。オオトビサシガメ・ヤニサシガメ・シマサシガメはハリサシガメ同様、オスがメスの側面から抱きつくような体勢で交尾が行なわれるようだ。


オオトビサシガメ・ヤニサシガメ・シマサシガメなどではオスがメスの背中に(オンブバッタのように)乗っているところは時々目にしていた。しかしその体勢では交接はなくオスが他のオスからメスをガードするメイトガード的なものなのかもしれない。交尾そのものを見る機会はハリサシガメに比べて格段に少ない。オオトビサシガメやヤニサシガメの交尾を見ると↑、いささか不安定な体勢のようにも見える──この姿勢では長く続かず、それで安定するメイトガード・ポジションがとられるのではないかという気がしないでもない。こうしたサシガメ類のちょっとしんどそうな(?)交尾体勢を長く続けるにはハリサシガメ♂の腹の湾曲は適した形ではないかと思えてくる。
ハリサシガメ・ペアと1円玉↓(大きさ比較)。


少なくなったハリサシガメ幼虫



このところ目にする機会が減っていた幼虫。9月に入ってから見たのは(今のところ)この1匹だけ。




スポンサーサイト



コメント

No title
こんばんは・・・
逆に言うと、(オスの腹部を湾曲にしてでも?時間をかけて)・・・ちょっと難しい体勢で交尾するサシガメ類には、それだけの!・・・なんだかの!?・・・訳があるということになるのでしょうかね?

・・・にしても、特にチョウ目などの腹部をオス・メスで比べてみると、メスはふっくら系!で、オスは引き締まり系?であるような?・・・
まさか、ハリサシガメの腹部にも、そのきらいがるとは・・・

虫の姿形をじっくり観察しないと気付けないことがあるという事を、又、改めて教えて頂きました・・・☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

昆虫ブログでは、その虫を見た(撮った)というだけでなく、その虫を見て何を感じどう考えたかという所感も大事だろうと個人的には思っているので、思ったところを記してみました。これが正しい解釈なのかどうかはわかりませんが……所感ということで。

ハリサシガメは局所的で数が少ないようですが、何かの理由で他のサシガメより繁殖成功率が低くて……長時間の交尾を行なうペアで繁殖成功率が高まるようなことがあったとすれば、それに適応した個体がその特徴を受け継ぎ進化させてきたのではないか……なんていう可能性も想像してみたり……例によって頭の体操にすぎませんが。
No title
おもしろい模様のハリサシガメですね!
私はまだ見たことがありません。

いたとしても信じられないような被り物をしたユニークすぎる姿の幼虫には絶対気が付かないと思います(^^)!
デココレ素材の記事も面白いですね♪
No title
> 夏風さん

僕もこんなユニークなサシガメいるとは昨夏、出会うまで知りませんでした。
わからないことも多いので、何か面白いシーンでも見られないかと集中的に見に行ってます。

トゲサシガメは夏風さんのブログで初めて知りましたが、これもなかなかユニークですね。カメムシの仲間も奥が深いです。

管理者のみに表示

トラックバック