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捕食したアリをデコるハリサシガメ幼虫

捕食したアリを後脚でデコるハリサシガメ幼虫



土粒をまとって体をおおい隠し、狩ったアリの死骸などを背負うユニークな捕食性カメムシ──ハリサシガメの幼虫。5月末に確認したときには小さかった幼虫もだいぶ大きくなってきた(まだ小さな個体も混在)。当初は幼虫が背負っていたアリは小さいものが多く、大きめのアリのパーツは、おそらくアリの巣から廃棄された残骸(体のごく一部)だった。それがこのところ、大きめのアリの全身骨格をデコレーションした幼虫が見られるようになってきた。これは大きめのサイズのアリも捕食できるほどに成長したということなのだろう。
しかし大きくなったということは、(全身を完全偽装しているとはいっても)それだけ目立ちやすくなったともいえる。同じ石垣で昆虫を狩る姿がしばしば見られるヒガシニホントカゲにバレやしないか心配になったりもするが……。


こんな感じ↑でハリサシガメ幼虫とヒガシニホントカゲのニアミスはしょっちゅう。ところがトカゲはハリサシガメ幼虫に全く無反応。気がつかないのか、エサ(昆虫)として認識していないのか──いずれにしてもハリサシガメ幼虫を完全スルー。


石垣の隙間でみつけたハリサシガメを観察していた時も──↓。


ヒガシニホントカゲ♂がフレームイン↑。わかりにくいが画面右奥で、ハリサシガメ幼虫が大きめのアリをかかえ食事中。ズームアップすると↓。


土粒コーティングの隠蔽効果で輪郭がわかりにくいが……右を向いたハリサシガメ幼虫が前脚でアリをかかえ、その腹に口吻を刺している。
じつはこのハリサシガメ幼虫を見つけた時は、背中のデコレーションが貧相なので脱皮後の抜け殻かと思ってしまった(幼虫は脱皮すると抜け殻からデコレーション素材を剥ぎ取って再利用するので、抜け殻にデコ素材は残らない)。抜け殻と誤認して回収すべく細い棒でかき出そうとしたところ動いたので生きた幼虫だと気づいた。体のかげにかくれていたアリがのぞいて食事中だったことを知った。幼虫は1度アリから離れてしまったのだが、見守っていると食事を再開──そこへヒガシニホントカゲ♂がフレームインしてきたというしだい。トガゲはハリサシガメ幼虫に気づくことなくエサ探しに(?)出かけて行った。


食事中のハリサシガメ幼虫がいたのは、こんなところ↑──石垣の隙間の奥で、やや暗い。撮影アングルは限られ、接写しようと近づくとカメラが石垣の隙間にフタをする形となり日光がさえぎられてますます暗くなってしまう……撮影条件はイマイチだったのだが、この個体に注目。捕らえたアリが大きかったので、食後のデコレーション行動が確認しやすいのではないかと考えたためだ。
ハリサシガメ幼虫が捕食したアリをデコるようすは、これまで何度か目にしているが、いずれも獲物は小さなアリばかりだった。アリが小さいとどこにデコられたのか確認しにくい。しかし、このサイズのアリなら見失うことはない──ということで、この大きめのアリがデコられる様子を観察することにした。


ハリサシガメは針のような口吻を刺して獲物の体液を吸う。おそらく消化酵素のようなものを注入して溶かしながら吸っているのだろうが……時々前脚と中脚で獲物を動かし口吻を刺す位置を変えながら食事を続ける。


小さなアリを捕食していたケースに比べると食事にかける時間がずいぶん長く感じられた。この個体は見つけたときすでに食事中だったわけだが、観察を始めてから、食事を終えデコレーション行動に移るまでに要した「デコ待ち」時間は2時間20分ほど。ようやく食事を終えると、アリの死骸を腹の下へくぐらせた。


この姿勢↑で後脚をしきりに動かす動作が見られた。新素材(捕食後のアリ)を貼り付ける準備なのだろうか? 背中(腹の背面)に貼り付けるスペースを作っているのか、あるいはアリに粘着性のある分泌物でも塗り付けているのか……そのあたりは確認できず。腹の下に置かれたアリはまもなく後脚でつかまれて腹端から背中へずりあげるように抱えられた。




これまで見てきたデコレーション行動から察するに……新素材は旧素材の上に盛りつけられるのではなく、腹端側から旧素材と腹部背面の間に押し込まれる形になるようだ。


新素材のアリを後脚でおぶるように抱え、旧素材を押し上げるような動作がくり返された。うまく接着せずに傾いたり落ちたりするシーンもあったが、後脚を使って押しつける行動をくり返す。途中、周囲の土粒をかき集めるような動作も見られたが、これは接着するアリを安定させるために隙間を埋める(アリが傾かないように可動スペースに詰める)ための処理だったのかもしれない。
デコったアリを後脚で調整するような仕草もくり返されたが、接着ぐあいを確かめたり、安定するまでの仮押さえ(?)の意味もあったのかもしれない。


デコった後も後脚でアリを押さえる仕草をくり返すハリサシガメ幼虫↑。ということで、とりあえず今回は新素材がどの位置にデコられるのかは確認できた。
輪郭がわかりづらい背景での画像が続いたので、石垣の上に出ていた別個体↓。


この個体は、小さなアリを捕らえていた。獲物が小さいと、土粒にまみれた脚の陰にかくれてしまい、わかりづらい……。この石垣では大きさの違うアリが何種類も見られるが、若齢幼虫~成虫それぞれの餌として対応する大きさのアリがいる環境というのもハリサシガメが生息できる条件の1つなのかもしれない。

ハリサシガメ幼虫の抜け殻



石垣のすきまに脱皮(羽化ではない)後の抜け殻が残されていた。例によって抜け殻の触角はもろくて、撮影のため回収すると、やはり折れてしまった↓。




抜け殻の背中には、デコられていたはずの素材がない──脱皮後の幼虫が《荷移し行動》で持ち去ったのだろう。腹部背面の土粒がないところにアリの死骸等のデコレーション素材が貼り付けられていたと思われる。


土粒が付着しているのは分泌物による接着効果によるものではないかという気がするのだが……接着物質の分泌がどのような形で行なわれるのかはよくわからない。
全身からしみ出すように分泌されるのか、口から吐き戻されるのか、腹端から排泄されるのか、あるいは臭腺から分泌される液に粘着力があるのか……。まだまだ謎の多い色々気になる昆虫だ……。


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