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ハリサシガメ:脱皮後の《荷移し行動》

抜け殻を背負ったハリサシガメ幼虫!?



土粒コーティングで身を固め、アリやゴミを背中にデコレーションするユニークなハリサシガメの幼虫。デコレーション・コレクションは捕らえたアリの他にもさまざま(おそらくアリのゴミ捨て場で調達して対アリ用の《隠れ蓑》に使っている?)。画像下(水色枠)の個体は大きな繭だか蛹だかをくっつけている。上(黄枠)の個体は──抜け殻を背負っていた!?


自分の抜け殻をデコったハリサシガメ幼虫!?──見つけたときにはそう思った。これまで1度だけ、抜け殻を背負ったハリサシガメ幼虫を撮影していて、「こんなコトをするものだろうか?」と不思議に思っていたのだが……2度目ともなると、「やっぱりやるのか!?」と半信半疑ながら証拠を記録すべく接写。すると、この個体は後脚で背中の抜け殻をととのえ始めた(撮影時にはそう感じた)。「安定が悪いのでしっかりつけ直そうとしているのだろう」と思いながら撮り続けていると、カメラに警戒してか、抜け殻を付けなおすのを止めて放棄してしまった(と撮影時には思った)。警戒して抜け殻を捨てたのなら、僕がいなくなれば抜け殻を再び背負うかもしれない──そう考えて一時その場を離れた。少しして戻ってみると、期待に反して抜け殻は背負われておらず、石垣の上からも消えていた。抜け殻は石垣の下に落ちていたが、自然に落ちたのか、アカスジキンカメムシなどのように(幼虫による)《抜け殻落とし》があったのかはわからない。
そして改めて撮影した画像をチェックして、これが「抜け殻を付けなおそうとして途中でやめた」のではなく「抜け殻からデコ素材をはぎ取って背負う」行動だったことがわかった。

抜け殻からデコ素材を剥ぎ取るハリサシガメ幼虫



砂粒やデコ素材でわかりにくいが……幼虫は画面右側(触角がある方が頭)。その尻に抜け殻が貼り付いている。


デコ素材にくっついてきてしまった抜け殻を引き離そうとする幼虫。


後脚を駆使して抜け殻を離そうとするが……。


抜け殻はしぶとく、デコ素材から離れようとしない。


まるで、コレクションを奪い合う、幼虫vs抜け殻!?


奮闘を続け……。


ようやく……。


引き離された抜け殻とデコ素材の間に糸!? 粘着物質が糸を引いているかのようにも見えるが……脱皮のさいに抜け殻から伸びる糸のような気管(の外壁抜け殻)がデコ素材に絡んでしまってこのような形になったのだろうか? あるいは、デコ素材の中に糸系(?)のものがあったのか?


抜け殻を剥ぎ取ることに成功した幼虫は、後脚を使ってデコレーションを整えはじめた。剥ぎ取られた抜け殻の姿が……。


前回見つけた幼虫の抜け殻は触角まできれいに残っていたが、今回の抜け殻は触角が左右とも「争奪戦」で折れている。それだけ今回は、引き剥がすのに手間取ったということなのだろう。
今回の抜け殻↓。デコレーションが剥ぎ取られている。


頭から背にかけて幼虫が抜け出た(脱皮した)スリットがある。白い糸のように見えるのが気管。
前回の抜け殻(撮影時に触角が折れている)との比較↓。


サイズの違いは幼齢の違いだろう。デコ素材を剥ぎ取った幼虫は──↓。


まだ少ない土粒の間から腹の一部がのぞいている。この幼虫は腹が黒い。昨夏みた終齢幼虫の腹も黒かった。これに対し6月の初めに撮影した小さな幼虫では腹は白かった↓。


今回、争奪戦的?《荷移し(デコレーション移動)行動》をみせた幼虫↓。


格闘の際に折れたと思われる抜け殻の触角が、石垣の上に落ちていた↓。


まだ脚の土粒コーティングはほとんどなされていない。


触角は露出しているものだが、この個体はつけねに近い部分にプチ飾りがついている。《荷移し行動》のさいに付着したものだろう。この特徴をふまえた上で、翌日同じ場所にいたハリサシガメ幼虫↓。


触角つけ根付近のプチ飾りや、デコレーション・トップの素材などから同じ個体と思われる。1日のあいだに土粒コーティングもしっかりされていた。

脱皮後の幼虫が抜け殻のデコ素材を再利用する《荷移し行動》

ハリサシガメの脱皮殻】ではハリサシガメ幼虫の脱皮後の抜け殻からデコ素材が消えており、脱皮の際に落ちたか落としたかしたのか、あるいは脱皮後の幼虫のデコ素材として再利用されたのか……そんな可能性も想像していたが、やはり新幼虫が再利用していたことが確認できた。今回のケースでは抜け殻のデコ素材を移し替える過程で、(デコ素材にくっついてきた)抜け殻も一緒に背負ってしまい、不要な抜け殻を引きはがすという形で作業が完了している。
これを見て、以前撮影した抜け殻を背負っていた個体は同じようなプロセスで最後の抜け殻を剥がす作業がうまくいかなかったのではないかという考えに至った。
そもそもハリサシガメ幼虫がデコレーションするのは、アリの廃棄物(アリがスルーする)や捕食したアリの死骸──これをまとい、体の表面(アリが触れる部分)を土粒でおおい隠すことで、接触して相手を確かめるアリを欺く(警戒心を解除する)ためではないかと僕は想像しているのだが……わざわざ体の表面を土粒コートで隠しているのに自分の抜け殻をデコるのは妙な気がしていた。今回、脱皮した幼虫が《荷移し行動(デコ素材の再利用)》をすること、抜け殻を執拗に引き離そうとする行動を見て、やはり基本的には「デコ素材は再利用するが、抜け殻はデコらない」のだろうと今は考えている。
(※《荷移し行動》は便宜的に僕がつけた仮称)
※今回の《荷移し行動》の前過程→謎めいたハリサシガメの脱皮


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コメント

No title
こんばんは・・・
そう言うことでしたか!
素晴らしい観察記録に、合点がいきました!

脱皮殻のデコ素材が消えてるわけ・・・成る程・・・
にしても、このタイミングの観察!いつもながら、素晴らしいですね・・・
糸?なのでしょうか?非常に興味をそそる粘着素材ですね・・・

と言う事は、羽化時の脱皮殻には、デコ素材がくっついている・・・のかな?
不思議を背負うハリサシガメに!!!☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

脱皮殻からデコ素材が消えた謎──真相が気になっていたのですが、ちょうど《荷移し行動》をしている場面に遭遇したので、脱皮後の幼虫が抜け殻から奪って行くことが確認できました。
本当はもう少し前──脱皮のあたりから観察したかったのですが、とりあえず謎の一部は解決。

昨年、羽化後の抜け殻にはデコ素材が残っていたので、幼虫の脱皮時もデコ素材は抜け殻についたままだろうと考えています。

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