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ハリサシガメの脱皮殻



毎度お馴染みの(?)ハリサシガメ幼虫。土粒コーティングで体をおおい隠し、アリの死骸やゴミ(アリのゴミ捨て場で調達したもの?)を背中に積み上げるというユニークな特徴を持っている。デコレーションの素材やレイアウトは個体によって違う──これが《作品》のようでおもしろい。


土の上にいると土粒コーティングの部分は背景に溶け込んでデコレーションがゴミの塊のように見える。この個体↑は画面左下に頭部がある(よく見ると触角があるのがわかる)。
5月の終わりに見つけた時は小さな個体ばかりだったが、だいぶ育ってきたようだ。一方時間差で孵化したと思われる小さな個体も加わり、6月中旬には大きさに差のある幼虫が見られるようになっている。




幼齢が違うと思われる幼虫たちを見ると、気になるのが「ふだんデコレーションに身をかためている幼虫が、脱皮のときにはどうしているのか?」ということだ。昨夏の羽化シーズンにはデコレーション付きの抜け殻を見つけて大いに驚いたが……デコレーションをしなくなる成虫がデコ素材を残していくのはわかる。しかし、ひき続きデコレーションを続ける幼虫はどうなのだろう? いさぎよく、それまでコレクションした素材は脱ぎ捨て、新たな素材探しを始めるのだろうか……それとも脱いた抜け殻にデコられていた素材をリサイクルするのだろうか?
羽化後の抜け殻が石垣に残されていたのだから、幼虫が脱皮した後の抜け殻だって見つかってよさそうなものだ──そう考えて、抜け殻がないか気をつけていたのだが……。

デコられていたハリサシガメ幼虫の抜け殻





石垣の上に大きさの異なるハリサシガメ幼虫が4匹。いずれも「幼虫」であって「抜け殻」ではない──そのことは確認していたのだが、そのうちの1匹が、なんと抜け殻をデコっていた。不覚にも現場では気がつかなかった。この時はカメラの電池が残り少なくなっていたので画像チェックをせずに4匹をざっと撮っただけだった。帰宅後、パソコンで撮影画像を見て初めて「抜け殻」に気づき、「もっとしっかり撮っておくんだった」と悔やしい思いをした。
不鮮明ながら「抜け殻」が映っていた画像を見ると、デコレーションの頂上に仰向けに貼り付いている。


この画像を見た時は驚いた。ハリサシガメ幼虫が自分の抜け殻をデコることは無いだろうと考えていたからだ。
ジンガサハムシの幼虫が抜け殻を背負っているのは見たことがある。だから、ハリサシガメ幼虫が脱皮したあとに抜け殻をデコることも、可能性としては想像したことがある。しかし、おそらくそれはないだろうと思っていた。ジンガサハムシ幼虫の抜け殻装飾はゴミっぽく見えることで(昆虫には見えないことで)天敵の目を欺く効果があるのかもしれない。これに対しハリサシガメ幼虫の偽装は対アリ用だと考えていたからだ。視覚より嗅覚に優れたアリに対して抜け殻をまとっていたのでは、土粒コーティングまでして本体を隠しているのにその隠蔽効果が台無しになってしまう……だから、それはないだろうと推測していたのだ。アカスジキンカメムシは脱皮の後にわざわざ抜け殻を捨てる(落とす)くらいだ。それを背負い込んで歩くようなことはしないだろうと想像していた。
改めて思いをめぐらせてみれば、デコった抜け殻を「おとり」にアリを狩るということも考えられないではないが……これは後付けの解釈。どうもスッキリしない。
これまで、色んなモノをデコったハリサシガメ幼虫を見ているが、抜け殻を背負っているのに気がついたのはこれが初めて。抜け殻をデコることが標準行動なのであれば、大きさが違う(幼齢が違う)幼虫が混在するこの時期、他の個体でも抜け殻を盛った姿が確認できてよさそうな気もする。
もしかすると、この幼虫は脱皮後、抜け殻に残されたコレクションをデコろうとして、(間違って?)抜け殻まで背負ってしまったのではないか……そんな可能性も思わないではないが、サダカなことは判らない。
一方もし、抜け殻を背負うことが標準行動でないのだとすれば、幼虫の抜け殻だけが見つかっていい気もする……。そんなことを悶々と思いめぐらせていたのだが……。

残されていたハリサシガメ幼虫の抜け殻





──ということで、ハリサシガメ幼虫が脱皮をしたさいの抜け殻を発見。昨夏みた羽化時の抜け殻と同じように石垣の上にあった。同じサシガメの仲間でもヨコヅナサシガメは樹皮などの鉛直面で脱皮や羽化をし、ヤニサシガメは松葉や細い枝にぶら下がる形で脱皮していた。ハリサシガメはこうしたところで脱皮や羽化をするようだ。
この抜け殻を見て、まず気づいたのが、脱皮前には背負っていたはずのデコ素材が無くなっているということだ。頭頂部から背中にかけて脱皮した痕──新幼虫(?)が出た裂け目が残されているが、脱皮の際に剥がれ落ちたか、ジャマになるので脱皮前に剥がしたのか……あるいは脱皮後、新幼虫がリサイクルでデコ素材だけ持ち去ったのか……観察を続けていると新たな疑問が次々に生まれてくる。
この抜け殻は完品だったが、抜け殻の触角はもろく、撮影のため移動すると折れてしまった。






今回見つけた抜け殻が何齢のものかはわからないが、終齢幼虫よりもずっと小さい(羽化ではく脱皮)。


この抜け殻を見て気づいたことが、もう1つ。「幼虫の抜け殻も土粒が付着している」ということだ。先に見つけた幼虫の背にデコられていた抜け殻は腹面だけしか確認できないが、その腹は透明できれいだった──ほとんど土粒はついていない。これは、どういうことだろう? ハリサシガメ幼虫でも、若齢幼虫は装飾行動をしないのだろうか?
観察すればするほど謎が深まるハリサシガメなのであった……。

※昨夏の羽化後の抜け殻↓




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コメント

No title
不思議でもあり、面白い現象でもありますね~・・・

アリの死骸(など)をまとうわけには、アリの臭いを利用しアリの警戒心をやわらげる?と、サシガメとしての姿を隠す技?など、多様な意味(意義)があるのかもしれませんね・・・?
では、何故、サシガメの抜け殻にはアリの死骸などの姿(など)が付いてない(場合が多い)のか?・・・?
はて?・・・
何故?・・・
もしかすると、サシガメは、まとうための糸?なり、粘着質?の様なものを常に出し続けている?・・・???
だから、サシガメの姿が無くなった途端に、のりがはげた状態に成る?・・・
ジイ「ヒメの戯言!妄想ですぞ~~~!」
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

観察していて解ける謎もあるし、新たに湧いてくる疑問もある……自然の奥の深さを感じますね。
今回デコレーション部分が無くなっている抜け殻を見つけたことで、どうしてそうなるのか気になっています。

去年羽化後の抜け殻を調べたとき、付着物がなかなかきれいに剥がれず、素材同士が抜け殻から離れた後もくっついていたのいで、デコレーションには接着剤のような粘着物質が使われているのだろうと考えています。
No title
今日は、いや~星谷さん正確な虫の名前有難う御座います博士だね感心します野鳥、昆虫等散歩しながら観察してます又間違って居ましたら宜しくね有難う。
No title
> ダーディハリー7さん

詳しいわけではないのですが、僕もキマダラカメムシは何度かネタにして知っていたので。
ニオイを出す部分を確認しようとして、指にシミがついてしまったなんてコトもありました……↓。

●キマダラカメムシの臭腺開口部
http://blogs.yahoo.co.jp/ho4ta214/36229864.html

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