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アリをデコったハリサシガメ幼虫

アリをデコレーションしてカムフラージュするハリサシガメ幼虫



石垣の上に昆虫の残骸っぽい感じのゴミが落ちている!?──「これは、もしや!?」と思ってのぞき込み、見覚えのある脚と触角を確認。獲物の死骸やゴミを身にまとってカムフラージュするユニークなカメムシ・ハリサシガメの幼虫だった。この場所で昨夏はじめてその姿を目にするまで、こんなおもしろい昆虫がいるとは知らなかった。昨年7月に初めて見つけたときは既に終齢幼虫と成虫ばかりだったが、今回みつけた幼虫はぐっと小さい。ちなみに成虫はゴミを背負わず、黒い背中に逆「ハ」の字模様が入った美しくカッコ良いサシガメだ(*)。
面白い昆虫なので、卵はいつどんなところに産みつけられるのかとか、越冬の形態は卵なのか幼虫なのか成虫なのかとか、弱齢幼虫が現われるのはいつ頃なのだろうかなど気になって調べてみたのだが判らなかった。それで時々発生場所をチェックしていたのだが、見つけることができないでいた……それが、5月の最後にようやく確認することができた。あいかわらず虫の死骸やゴミ、土粒などをまとっているため本来のボディラインがわからない。一見「どっちが頭?」と思ってしまうが、デコレーションの塊から突き出した触角や脚の位置を見ると想像できる。


身にまとったアリの残骸はサイズがバラバラ。この個体は大きなアリの腹を飾っていた。すでに壊れかけているところを見ると、このハリサシガメ幼虫が捕食したというより、古い死骸を拾ってデコレーションしたのだろう。ハリサシガメは捕らえた獲物に針のような口吻を刺して体液を吸うので、破損していない死骸がこの幼虫の捕食したものだろうと思われる。デコレーションしたコレクションにまぎれてわかりづらいので、葉の先でつつき向きを変えさせ、顔の見えるポジションから撮ったのが↓。


デコレーションしたアリのパーツが入り乱れてわかりにくいが、左に突き出した触角の根元にハリサシガメ幼虫の頭部がのぞいている。短めの口吻は成虫とよく似ている。


こうして↑体を浮かせていると気づきやすいが、伏せているとゴミにしか見えない。今回見つけたハリサシガメ幼虫は1円硬貨と比べるとこれくらい↓。


ちなみに昨夏撮影した終齢幼虫と1円硬貨との比較画像↓(※【珍虫ハリサシガメ】より)。


昨夏みた終齢幼虫に比べると今回見つけた個体はずいぶん小さいが、これに気づくとは我ながらアッパレ──などと一瞬うぬぼれたが、考えてみたらこれまで「いても気づけなかった」だけなのかも知れない……。目が慣れてくると近くに2匹目が見つかった↓。


この個体は頭部にも土粒をまとっていて、顔が見えない……。
そして、さらに3匹目↓。




触角の付け根にかすかにハリサシガメ幼虫の眼がみえるが……目をひくのはその後ろにある巨大なアリの顔。


アリの頭部がとてもでかく見える……。この巨大なアリのしゃれこうべは破損の度合い(触角が脱落し体から分離していることなど)から、このハリサシガメ幼虫が捕食したものではなく、拾ってデコレーション・コレクションに加えたものだろう。


よく見ると巨大アリ頭部の上には中型のアリ頭部もある。その上の全身そろっているのが捕食した獲物だろう。ベージュの膜状のものは、アリの繭だろうか? もしかするとハリサシガメ幼虫は、死骸や繭などが捨てられる「アリのゴミ捨て場」のようなところに出没しているのかもしれない?

久しぶりに確認できたハリサシガメ幼虫3匹は、いずれも獲物と思しきアリの死骸もたくさんしょいこんでいる。幼虫が何齢かはわからないが、昨日今日発生したのではなく以前から活動していた証拠だ。これまで何度も探したのに見つけることができなかったわけだが……若齢幼虫のうちは石垣を離れて生活していて(落ち葉の下などにいたらとてもわからない)、この時期になって石垣上に現われるようになったのか……あるいは単に僕が見落としていただけなのか……。
とりあえず「5月の終わりに幼虫が石垣に出ていた」ということは確認できた。
このハリサシガメの発生場所は雑木林の縁にある石垣で、ヒガシニホントカゲの多発地帯でもある。ここではヒカシニホントカゲが昆虫を捕食するシーンも見られるが、虫の死骸やゴミ・土粒を身にまとったハリサシガメ幼虫はトカゲたちがターゲットとする獲物としては認識されにくいのだろう。どうして異物を身にまとうデコレーション・コレクション(?)の習性を獲得することになったのかはわからないが……カムフラージュの効果はあるような気がする。


葉裏のリンゴカミキリ

5月中旬からアカスジキンカメムシの新成虫を見かけるようになったベニカナメモチ類(?)の生け垣。新成虫の羽化後の行動《抜け殻落とし》を観察するために何度も訪れている場所だが、羽化中あるいは羽化直後の個体がいやしないかと葉の裏を探していると……キレイなカミキリの姿が↓。




この生け垣は、ルリカミキリの発生場所でもある。ルリカミキリも前胸や腹面がオレンジ色のきれいなカミキリで最近も葉の裏にとまっている姿を何度も目にしているが、それよりぐっと大きい。パッと見の印象はスイカズラの葉の裏によくとまっているシラハタリンゴカミキリ──じつはこの周辺にもスイカズラがあちこち咲くのだが、これまで(この周辺では)シラハタリンゴカミキリやその痕跡(食痕)は見たことがない。スイカズラが咲く頃になると「これだけたくさんのスイカズラが咲いているというのに、シラハタリンゴカミキリが全くいないとは……何ともったいないことであろうか」とクリープを入れないコーヒーを前にしたかのように落胆していた。なので、「おおっ! ついにこの辺りにもシラハタリンゴカミキリが進出してきたか!」と早合点しかけたが……よく見たらリンゴカミキリだった。
シラハタリンゴカミキリよりもスリムな体型を撮ろうとしたのだが、落下&飛翔してしまい、うまく撮れなかった。






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コメント

No title
こんばんは・・・
サイズの異なるアリがデコられている写真に特に興味をそそられました・・・
(その意味っていったい何だろう?)
アリが、同じ種なのか?或いは異なる種なのか?
先ず、気に成るのはそこです。同じ種でも、女王アリや兵隊アリに働きアリでは頭部の大きさも異なりますね・・・
もし、背負ってるアリの死骸が全て同じ種であったなら・・・
「ハリサシガメの幼虫は、アリの巣を襲ってる!?」可能性がある!・・・???
通りすがりのアリを手当たり次第食しているものだとばかり思って居ましたが、もしや巣ごと襲ってるのでしょうか?

アリは、眼がさほど良い方では無いそうです。
匂い(或いは音)で、仲間との交信をしているのでは?との説があります。アリをまとう意義には、そのアリの種の匂いをまとう意味もあるのでは?との説もあるそうです。
いずれにしても、まとうアリの頭部の大きさに・・・断然興味津々です!!!☆・・・
No title
カゲロウの幼虫はゴミをかぶりますが、これもすごいです。面白いものを拝見できました。昆虫の世界の豊かさを知りました。ナイス!!
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

ハリサシガメ幼虫のデコレーション・コレクションは色々想像力を刺激してくれますね。
破損の激しい死骸は拾ったものだと思うのですが、アリの繭っぽいものもあったりして、アリの生活圏に紛れ込んでいたのではないか(若齢幼虫がこれまで見られなかったのはそのためかも?)……なんて可能性も想像してみたり……。アリの近くでアリの攻撃を抑制するためアリを背負っている(化学擬態代わり)とすれば理屈的にはつじつまは合う気もしたり?
No title
> 四季の風さん

昆虫の中にはテのこんだコトをするのがいて面白いですね。クサカゲロウの幼虫が獲物の死骸を背負ったり、ジンガサハムシの幼虫が抜け殻を背負うのは知っていましたが、カメムシの仲間でこんなコトをする種類がいたというのは驚きでした。

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