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アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース

アカスジキンカメムシ羽化シーズン



前回の記事【アカスジキンカメムシ新成虫と抜け殻】に引き続いて──アカスジキンカメムシの新成虫。このところ羽化してまだあまり経っていないと思われる体色が整っていない個体が葉の上で見つかる。この個体↑は緑がきれいに出ているが赤い模様がまだ薄い。
こちちら↓は背中(小楯板)の中央部が青っぽくまだ色ムラがある。複眼も赤い。


複眼の赤いアカスジキンカメムシ新成虫は何度か見ているが、羽化時にすでに黒い(複眼は黒く単眼が赤い)個体も見ている。体色が整うまでの間に一時期赤くなるのか個体差なのか──そのあたりはわからない。
さらに色ムラがあって赤がでていない新成虫↓──こちらは複眼が黒い。


体色がまだ薄くムラがあるのは羽化してあまり時間が経っていないためだろう。ということは、この近くで羽化したはずだ。とまっていたのはこんなところ↓。


模様が笑っている人の顔に見えてしまう──という空目ネタはさておき、この新成虫がとまっていた周辺の葉の裏をチェックするが抜け殻はみつからない。やはり羽化後の《抜け殻落とし》をしたのだろうとこの葉の下を探してみると、予想通り見つけることができた。


さらに別の場所で見つけた色の薄いアカスジキンカメムシ新成虫↓。


これもとまっていた葉および周辺の葉の裏を探すが抜け殻は見つからず。やはり直下の地表に落ちていた↓。


他にも新成虫の下で抜け殻が見つかっている。今シーズンはこれまで20匹近くアカスジキンカメムシの新成虫を見ているが、羽化後の抜け殻が葉の裏に残されていたのは(《抜け殻落とし》をしていないと確認できたものは)、前回記した例と、後に紹介する例の合わせて2例だけ。新成虫の直下で抜け殻が見つかることは度々あって、《抜け殻落とし》は常態的に行なわれているのではないかと思われる。とはいっても状況証拠だけでは説得力がないので、やはり現行犯で──《抜け殻落とし》の現場を押さえ、観察例を増やして行きたいところ。
今は新成虫とともに羽化を控えた終齢(5齢)幼虫の姿も見られる。


終齢(5齢)幼虫が見られるということは羽化が観察できるチャンスはまだあるということだ。雨でもないのに葉の裏にとまってじっとしている終齢幼虫がいたら、羽化体勢に入っている可能性が高い──近くで待っていれば羽化および《抜け殻落とし》を観察できるかもしれない──そう考えて該当幼虫を探していると──。


葉の裏にとまったイイ感じの終齢幼虫を発見。羽化が始まるのを待ちながら、この周辺に他にも「候補」がいないか探す。結果から言うと、期待をかけたこの終齢幼虫は、この日羽化をしなかった……のだが。

アカスジキンカメムシの羽化:《抜け殻落とし》をしなかったケース

前述の羽化待ちをしている最中に、葉の裏にとまっていた2匹目の終齢幼虫を見つけた。


よく見ると前胸と中胸の間が開き、白い成虫の背中がのぞき始めている↑──羽化が始まったばかり! 急きょこちらを観察することにした。


前胸と中胸の間が開き、胸の背面が楯に割れて、十字に亀裂が入ったように見える。そこから白い成虫の背がのぞく。幼虫の前胸の両側には白い模様があるが、この先端部内部では既に離脱が始まり、ミが抜けた部分が半透明になっている。
※画像左下の数字は撮影時刻(時:分:秒)。


裂け目が広がり、白い新成虫の背中がせり出してくる。


葉につかまり体を支えている脚の形は変わらないが、触角は引き抜きやすい角度に変化。この個体はこの時点ですでに複眼は黒い(単眼は赤)。


触角・脚・翅がゆっくりと引き出されていく。


ようやく脚と触角が抜ける↑。


しばらく逆さの宙づり状態でいたが、初めて新成虫の脚で葉をつかむ↑。


新成虫の体は白っぽい。抜け殻を見ると、幼虫時代に白かった部分はミが抜けて半透明の膜になっている。幼虫の白い部分は、やがては新成虫になる白い体が透けていたということのようだ。


ほぼ脱皮を終えたアカスジキンカメムシ。このあと抜け殻から離脱。


腹端を抜いた時点では、腹が少し寸詰まりのように見えたが……やがてアカスジキンカメムシらしいラインになっていった。


この後、しばらくして(体が固まるのを待って?)《抜け殻落とし》が観察できるだろうと期待していたのだが……。
待機中に、小型テントウムシが飛来し、静止する新成虫の体にとまった。そのとたん、新成虫はパニクって抜け殻を残して逃走!(テントウムシも驚いて飛び去り、僕もあわててカメラを向ける) 新成虫は羽化直後とは思えない素早さで枝を伝って葉の奥に隠れてしまった。


「なんだお前、羽化したてで、そんなに速く動けたのかよ!」とあきれるほどの逃げ足で、最後はピントを合わせる余裕もなかった。
テントウムシの乱入で、あっけない観察の幕切れとなってしまったが……こうした状況で《抜け殻落とし》が行なわれずに抜け殻が残る(ことがある)という例を確認することができた。

《抜け殻落とし》は前記事【アカスジキンカメムシ新成虫と抜け殻】でも記した通り、寄生蜂や寄生蠅あるいはアリなどに見つかるリスクを減らし《種の安全》を高める役割りを果たしているのではないか──と僕は想像している。
《種の安全》のためには、抜け殻落としをした方が生存率を高められる──そんな自然の選択が新成虫に《抜け殻落とし》をさせるのではないか──しかしこの本能プログラムでは《抜け殻落とし》はデフォルトのようなもので、個の危険が迫ったときなどは《個の安全》が優先されるのかもしれない。身の危険が生じたとき、《個の安全》が保たれなければ《抜け殻落とし》だって実行できなくなり《種の安全》もはかれなくなってしまう──これでは元も子もないので、危険を察知した時は、とりあえず《個の安全》を確保することが優先される──危険を回避して逃げ延びることができれは繁殖活動に携わることで《種の生存率を高める》ことに貢献できる可能性が残せる。そう考えると《抜け殻落とし》をせずに逃げたり隠れたりするケースがあることも理解できる。
今回は期待した《抜け殻落とし》を観察することができなかったが、《抜け殻落とし》をしないケース──いってみれば《抜け殻残し》の1例を見て、そんなことを考えたしだい……。






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コメント

No title
こんばんは・・・
アカスジキンカメムシと出会った経験の無い私にとって、羽化の瞬間の場面までもが観れたことに「大感激です!」
凄い・・・凄い・・・「セミそっくり!」
セミでしょ!これセミ!セミ!・・・
気門から通じる気管の白い糸が残ってるし・・・
さすがカメムシ目同士の事はありますね!

最後の殻を落として身を守るのではなく、急いで立ち去ることで身を守った記事内の個体が・・・これまた愛らしい!

もしかして、撮影に警戒してた?(羽化した瞬間一早く逃げよう!)とおもっていたとか?・・・???☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

普段はセミとカメムシは別物という感じがしますが、羽化のシーンを見ると同じ「目」だというのが納得できる気がしますね。アカスジキンカメムシは体に厚みがあるので、よりセミっぽい感じがします。

撮影に警戒して……というのはあると思います。
これまで脱皮や羽化を最初から撮ろうとしてスタンバっていると、警戒して始めないのではないかと感じたことがありました。脱皮や羽化が始まってしまえば撮影しても「続けるしか無い」感がありますが、《抜け殻おとし》は警戒してなかなか始めない感もあるので、あまりキアイを入れて近づきすぎるのも良くない……そのあたりは、神経を使いますね。
今回はテントウムシの乱入が抜け殻放棄のきっかけになったのは確かなので(そのあわてぶりにはビックリ)、アクシデントで抜け殻が残されることはあるのだろうと考えているところです。

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