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オオモンキカスミカメ幼虫?

世界最大級のカスミカメムシ幼虫?

見慣れない昆虫が擬木の上に出ていた。翅の形や口吻などからカメムシの幼虫だろうということは見当がつくが……すぐには成虫の姿が思い描けない。とりあえず撮っておいて帰宅後、調べてみることにした。
擬木上の昆虫は見つけやすいが(本来いるべき場所ではないためか落ち着きがなく)動き始めると撮影が厄介になりがちだ。止まっている個体を動き始める前に撮ってしまうのが好ましい。と、いうことで、擬木支柱の縁でじっとしているカメムシ幼虫に、そーっと近づきカメラを向けたのだが──シャッターを切ろうとしたそのとき、被写体の背後からフレームインしてくるものが……。


突然現われた毛虫に轢かれかけ、被写体のカメムシ幼虫はあわてて走り回るしまつ。かろうじて撮れたのは動き出す直前の1枚だけ。被写体が擬木支柱の鉛直面で立ち止まったところを再び撮ろうとするが……なんとまた毛虫がフレームイン──。




毛虫の乱入で被写体がパニク・モード(?)におちいってしまったので追加ショットをあきらめた。


なんとか撮れた最初の1枚↑(1枚目をトリミング)を帰宅後じっくり見てみると……アカスジキンカメムシ幼虫やキマダラカメムシ幼虫などでは確認できた臭腺開口部(開孔部)──カメムシ臭を発する孔(幼虫では背面に開口している)──がこの画像ではどこにあるのかわからない……。『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』(野澤雅美・著/農山漁村文化協会・刊/2016年)によると、カメムシ幼虫の腹背面にある臭腺開口部は科によってその位置や数が違うそうで、ツチカメムシ科・カメムシ科・キンカメムシ科・ツノカメムシ科などでは3対(6個)あるが、カスミカメムシ科では1個だけだという。今回撮影した虫もカスミカメムシの幼虫っぽい感じがするが、腹背面にあるスリット状のすきまが臭腺開口部(開孔部)および蒸発域なのだろうか?
最近撮ったクヌギカメムシ幼虫の臭腺開口部(開孔部)と比べてみると……↓。


白矢印で記した部分が臭腺開口部だろうか? クヌギカメムシ類幼虫の方は3対(6個)あるように見える。左右の孔の間にある凹みがニオイ物質を気化する蒸発域にあたるのではないかと想像するが、カスミカメムシ幼虫と思しき虫の背中にあるスリットは開孔部と蒸発域が一体化したものなのかもしれない(素人解釈なので間違っているかもしれない)。
今回みつけた虫は容姿からするとカスミカメムシの幼虫のような気がするが……だとすると、僕には思い当たる種があった。《世界最大級》とされるオオモンキカスミカメだ。この成虫なら同じ場所(狭山丘陵)で何度か見たことがある。


《世界最大級》などというと大層な感じがするが、あくまでもカスミカメムシの中でのこと。カスミカメムシはほとんどが5mm以下・2~3mmもザラだという。オオモンキカスミカメでも体長は9~12mm(ネット情報)程度。色彩変異が多いらしいが、前翅革質部の先端にある紋が黄色~赤なので「モンキ(紋黄)」なのだろう。


今回みつけた幼虫がオオモンキカスミカメの終齢幼虫だとすれば大きさ的にも合点がいく。過去のオオモンキカスミカメ成虫画像をチェックしてみると、撮影していたのは5月中旬から下旬にかけて──今回見かけた幼虫がこれから羽化する終齢幼虫と考えると時期的にも合致している。
今回見つけた幼虫とオオモンキカスミカメ成虫の画像を比べてみると……脚の白黒模様なども似ている。


これはもう、オオモンキカスミカメで決まりだろう……そう思ってオオモンキカスミカメ幼虫の姿をネット検索で確認して片をつけようとしてみたのだが……成虫の画像はそこそこヒットするものの、幼虫の画像が見つからない……。
そこで図書館へ行って『日本原色カメムシ図鑑』(安永智秀ほか/全国農村教育協会/1993年12月)を調べてみたが……こちらも成虫の写真だけで幼虫の写真は掲載されていなかった。
ちなみに、『日本原色カメムシ図鑑』では【オオモンキカスミカメ】は【オオモンキメクラガメ】として記載されていた。《体長9mmを超え、アカスジオオメクラガメと並んで、世界最大級のメクラカメムシである。ヤナギやハンノキなどの樹にすみ、ヤナギハムシなどの幼虫を捕食する。人体を刺すことがあり激痛を与える。また種内捕食も観察されている》──とのこと。
現在「カスミカメムシ」と呼ばれているグループは、ほとんどが単眼を持たないことから、かつては「メクラカメムシ」と呼ばれていたそうだ(『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』情報)。『日本原色カメムシ図鑑』の著者でもある安永智秀博士らが2000年に「カスミカメムシ」を提唱し、改称されたらしい。『日本原色カメムシ図鑑』(第1巻)発行時(1993年)には、まだ「メクラカメムシ」が使われていたということのようだ。
そんなわけで、ネット上でも『日本原色カメムシ図鑑』(第1巻)でもオオモンキカスミカメの幼虫の姿を確認することできなかったので現時点では確定できていないが……今回みつけた虫がオオモンキカスミカメだとすると、そろそろ羽化する時期かもしれない。幼虫が撮れる時に追加ショットを撮ってかねば……と思い立って……↓。


この個体は欄干の上を歩いていた。カスミカメムシとしてはかなり大きいということがわかる画像が欲しかったのだが、じっとする気配がないので恒例の1円硬貨との比較ショットは無理。指に乗せて爪や指先を通過する瞬間を狙っての撮影──NGを量産した。


このあと、擬木で別の個体をみつけるが、これも歩き回っていて、しばらく追い続けるがうまく撮れない。ためしに近くの植物の葉に移動させてみたところ動きがにぶったのでシャッターを切った↓。


このあと幼虫は葉の裏へ移動。そのまま動かなくなったので、そっと葉をめくってみると──、


このまま動かないでいたのでシャッターを切り続けるが、よく見ると口吻を葉脈に突き立てている!?


じっとしていたのは吸汁を開始したためだったようだ。擬木遭難していて飢餓状態だったのだろうか? しかしオオモンキカスミカメについては《ヤナギハムシなどの幼虫を捕食する》《種内捕食も観察されている》という情報から捕食性が強いイメージを思い描いていたので、このシーンには驚いた。
カスミカメムシの中には植物の汁を吸いながら捕食もする種類もいるらしいので、オオモンキカスミカメも両刀使いなのかもしれない。それともこれは植物食の別のカメムシ幼虫なのだろうか?



*【アリを護衛に雇うカイガラムシ】 ※2015年05月のオオモンキカスミカメ

フレームインしてくるオジャマ虫

オオモンキカスミカメと思しき幼虫の撮影時には毛虫の乱入で参ったが……臭腺開口部(開孔部)の比較で使ったクヌギカメムシ類の幼虫を撮影している時にも、およびでない虫(クモ)の乱入があった。




良いモデルをつとめていたクヌギカメムシ幼虫だったのに、このあと当然パニクって撮影は中止……。
撮影しようとしているときにフレームインしてきて「台無し」にしてしまう虫を「オジャマ虫」と僕は呼んでいる。擬木上の虫が増えるこの時期には多い。オジャマ虫のクモには赤いダニがついていた──いらない虫が画面に入り込むオジャマ虫のオジャマ虫といったところか。
擬木の上で何度も翅をたたみ直している小さめのトウキョウトラカミキリがいたので撮り始めると、アリや毛虫がフレームインしてきた。




このトウキョウトラカミキリは翅が故障していてるらしく飛び立てなかったが、オジャマ虫の乱入で飛び去ってしまう被写体も少なからず。オジャマ虫には迷惑することが多いが……まれに嬉しい乱入もある。去年の5月には期待したヨコヤマトラカミキリが見つからないので、かわりに(?)イモムシを撮っていたところ、なんとヨコヤマトラカミキリがフレームインしてきて驚いた──なんてこともあった(※【ピンク&イエローの猫耳幼虫ほか】)。
ところで、このトウキョウトラカミキリの撮影中に乱入してきた毛虫は冒頭のカメムシ幼虫の撮影度に2度も乱入・妨害した毛虫と同じ──キアシドクガの幼虫だ。ミズキで集団発生するが、今の時期は蛹化場所を探して徘徊する終齢幼虫が多い──オジャマ虫になりがちな種類だ。


余談だが、キアシドクガが羽化した後の蛹(抜け殻)と思しきものは人気漫画『とりぱん』(とりのなん子/講談社ワイドKCモーニング)に「天然超ミニツタンカーメン」「極小ツタンカーメン」として登場したことがある(※【極小ツタンカーメンの季節!?】)。
キアシドクガのホストでもあるミズキは、今シーズンは開花が遅く、そのぶん長持ちしているようだ。5月中旬入ってもまだ蕾を持つ木があった。


花にはコアオハナムグリやクロハナムグリ、アシナガコガネなどがあちこちに見られた。カミキリが来ていないか探してみたが、確認できたのはエグリトラカミキリ1匹(枠内の別ショット)だけだった。

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コメント

No title
先日初めてカメムシに会いましたが、こんな珍しいのは見た事がないです。東京と言っても郊外なんでしょうね。それにしてもお邪魔虫いますね。特に蜘蛛が多いです。
私はハエトリ蜘蛛が好きなんです。顔がなんとも可愛い。ナイス!!
No title
こんばんは・・・
オオモンキカスミカメと言う種に出会ったこともない私ですから、幼虫も・・・?なんですけど・・・
とにかく驚くのが、星谷さんが撮影された虫の種数の多さです!
余程の努力が必要なのでは?と想像し感嘆のため息が漏れます。

近年、生物の種名に使用されてる(メクラ)とか(チビ)とか(ゴミ)と言った言葉は、差別用語に成るのでは?との懸念から変更される傾向にあるらしいですね!(?)
そこに差別意識があるのか?ないのか?が一番の問題なのでは?と想うのですが・・・
記事内に記されてます様に、メクラカメムシ科もカスミカメムシ科に変更されたそうですね!
極小のイメージが強いカスミカメムシ科でありながら、10mm前後の大きさとは!驚かされます。
図鑑もね!もう少しは多様な姿を載せてもらえたらな!との想いは常に抱いています!
どれもこれも同じものを載せるより、他の様子を載せた図鑑を望みます!
幼虫の種名が判明するといいのですが・・・☆
No title
> 四季の風さん

オオモンキカスミカメは山地性のカメムシのようですね。
僕の虫見コースは東京と埼玉の境にある緑地で、木が茂った丘のようなところなのですが山地性といわれる種類の昆虫もけっこういたりするようです。

ハエトリグモの仲間もよく見かけます。アリそっくりのアリグモにはいつも感心させられます。
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

生物の名称や分類の変更は戸惑いますね。いつのまにか変わっていたりするので、知ってビックリ──ということが時々あって一瞬、浦島太郎になったような気になります。
差別語がらみの問題は──差別の問題は「意識」にあるので、言葉狩りに神経質になりすぎる風潮には違和感を覚えることがあります。

図鑑は専門的なものは高価なので、虫屋ではない僕にはちょっとハードルが高い……調べ物の基本となる図鑑は各図書館で揃えておいて欲しいものですが、市内の図書館では『日本原色カメムシ図鑑』の2巻・3巻を置いてあるところはなく、第1巻しか見ることができませんでした。

ネットで検索するとかなり色々な種類の画像を確かめることができますが、見つからないものも時々あって情報に偏りを感じます。オオモンキカスミカメも確定情報の幼虫画像をみつけることはできませんでした。

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