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クヌギカメムシ幼虫の色~クリベニトゲアシガ

クヌギカメムシ幼虫のカラフル・バージョン!?



雑木林の縁のヤマブキの若葉の上に赤・黒・白のキレイなカメムシの幼虫がとまっていた。クヌギカメムシ(類)の幼虫──よく見かけるカメムシだが、これまであまり関心が無くスルーしがちだった。しかし、こうして見ると意外に美しい。


クヌギカメムシは雑木林でよく見かけるカメムシのひとつ。卵で越冬し、早春に孵化した幼虫はホストの若葉が展開されるまでの間、卵とともに産みつけられたゼリー状の養分を食して成長するという──生態的には面白いところのある昆虫だが、ルックス的には今ひとつ感があってカメラを向けることはほとんどなかった。印象的には緑っぽいカメムシ……晩秋には紅葉・黄葉にあわせるかのように、赤っぽくあるいは黄色みがかってくるのが、ちょっと面白いと感じるくらいだった(以前10月に撮った成虫↓)。


クヌギカメムシの幼虫についても淡い緑の印象がある──。


模様入りのカラフル・バージョンでは判りにくいが、緑バージョンの腹背面の中央に並んだ3対の黒い点が、幼虫の臭腺開口部(開孔部)だろう(成虫は後胸腹面に1対)。
クヌギカメムシ幼虫の中には赤みがかった模様が入るものがいるということは知っていたが、模様入りのカラフル・バージョンはなかなか美しく見応えがある。模様の入り方は個体によって差が見られた──これは単に個体差なのか、あるいは脱皮前後の時期による変化なのだろうか? 冒頭の画像より白い部分が多い個体↓。








若葉の緑の葉の上で、赤・黒・白の配色が映える。クヌギカメムシに関しては、これまで「緑」の隠蔽色(保護色)イメージがあったので、意外な感じ……成虫や幼虫の一部(緑バージョン)は隠蔽系(保護色で目立たない)なのに、どうして、こんなに目立つ(警告色系?)カラフル・バージョンが存在するのだろう?──撮っているうちに、そんな疑問が浮かんできた。
隠蔽系か警告系か──体色が進化の中での生存に有利な選択であったとするなら、どちらかに分かれそうなものだ。成虫の保護色がこの昆虫にとって生存に有利なのだとすれば、幼虫時代も緑バージョン(保護色)だけでよさそうな気がするし、幼虫の目立つカラフル・バージョン(目立つ警告系)が有利なものであったなら、成虫になっても目立つ配色であってよさそうな気がする。
緑バージョンとカラフル・バージョンが混在するのは、生存率を高める選択次元の話ではなく、単に形成上の問題なのだろろうか──。
アカスジキンカメムシの幼虫が赤みをおびることや、脱皮・羽化直後のヨコヅナサシガメが赤いことが思い浮かび、カメムシの赤は、成長(形成)と関係があるのかもしれないとふと考えた。
──ということで、最近見かけるアカスジキンカメムシの終齢幼虫↓。




アカスジキンカメムシ幼虫は、ふつう黒白模様だが、黒っぽい部分は成長がとまった硬い組織で、白っぽい部分が成長にともなって拡張してい組織のようだ。羽化間近の肥えた終齢幼虫では白い部分が広がっている↓。


この白い部分が赤みを帯びている個体がしばしば見られるが、これがクヌギカメムシのカラフル・バージョンに相当するのかもしれない?


アカスジキンカメムシの白い部分は、脱皮後の抜け殻をみると半透明の膜であり、(古い皮の下の)新しい体の色(赤)が透けて見えているのではないかと思う。アカスジキンカメムシの脱皮直後の体も赤みをおびている↓。


カメムシの脱皮や羽化では抜け殻より大きな体が出現するのに驚くが、体を膨らませることで古い殻を押し破って出てくる《脱出圧》のような働きもあるのかもしれない。体が膨らむ──拡張する(硬化していない)組織であることが「赤い」ことと関係があるのではないか?
脱皮後・羽化後の抜け殻を見ると、白い模様だった部分は半透明の膜であることがわかる↓。


今の時期、桜の幹でヨコヅナサシガメの集団羽化が見られるが、ヨコヅナサシガメも羽化中~羽化直後は赤い。


本来は黒い体色のヨコヅナサシガメだが、羽化中~羽化直後は鮮やかな赤。


ヨコヅナサシガメも終齢幼虫や抜け殻に比べると成虫は格段に大きい。赤いのは拡張段階の色──硬化していない拡張組織だからではないか……。
クヌギカメムシのカラフル・バージョンの赤い模様も、成長域と考えると、そのデザインの入り方はそれっぽく納得できそうな気もする……。
《カメムシの赤は硬化していない成長組織の色》なのではないか……という着想が当っているかどうかはわからない。鮮やかなクヌギカメムシを見ていて、ふとそんな解釈が思い浮かんだ……という話。

若葉に鮮やかな赤と黒:クリベニトゲアシガ



若葉の緑に映える赤──つながりということで。葉の上に赤い小さな甲虫がとまっている──パッと見そう思った。細長い体型はカミキリっぽいが、脚を持上げているポーズはマメコガネを連想させる。近づいてユニークな姿を確認して昆虫ブログで見覚えのある蛾であることがわかった(ユニークな姿には記憶があったが名前が出てこない)。
帰宅後、検索してみると、まず「セグロベニトゲアシガ」というよく似た蛾に行き当たった。ただ、「セグロベニトゲアシガ」は名前の通り「背(が)黒(い)」──前翅の会合部がもっと黒い。僕が撮った蛾は「クリベニトゲアシガ」というらしい。幼虫はクリタマバチやクヌギエダイガタマバチの虫えいや堅果を食べるらしいという情報もあった。
蛾は草食性が圧倒的だ。良く似たセグロベニトゲアシガは幼虫が肉食性でワタアブラムシやタケノアブラムシなどを食すらしいが……クリベニトゲアシガも虫えい(虫瘤)を作る虫を食べていたりしたらおもしろいのに──なんて思わないでもない。
名前の通り、トゲ状の毛がはえた脚を持上げて止まっている姿はなんともユニークだが……蛾がどうしてこんなとまり方をするのか謎めいている。


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コメント

No title
アカスジキンカメムシは今季初めて北の丸公園でみましたが、ほかはまだ未見、でもそういう時期なんですね。ナイス!
No title
こんばんは・・・
そうでしたか!クヌギカメムシの幼虫には、ミドリ・バージョンとカラフル・バージョンがあったんですか!・・・
カラフル・バージョンは、確かに鑑賞的には実に魅惑的な模様色彩のようですね!・・・
カメムシの仲間にとっての色彩の(赤)には、何やら秘密がありそうですね・・・面白い!そういった謎が、ヒトの心をくすぐります!

カマキリの場合は、同じ親から生まれた幼虫達でも、茶色と緑色の二色に別れるそうです。それは、緑色の幼虫を食べた鳥は、茶色の幼虫を見逃してしまう傾向があるからだそうです。
・・・皆、生き残るために懸命なのですね!
・・・カメムシの(赤)・・・
この謎にお気づきに成るなんて・・・流石ですね!!!☆
No title
> 四季の風さん

そちらでもアカスジキンカメムシが活動を始めましたか。新成虫が現われるのが楽しみですね。羽化の時期は比較的目にするチャンスが増えるような気がします。
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

クヌギカメムシはこれまで雑木林沿いの擬木で見ることが多かったのですが、若葉の緑の上にいると意外に鮮やかに見えたもので……にわかに注目してしまいました。
緑バージョンとカラフル・バージョンではずいぶん印象が違うので、どういうことなのだろう……と想像が展開──例によって素人の思考シミュレーションに過ぎませんが。
No title
当方のブログで掲載した昆虫の名前を教えてくださって、ありがとうございました。ヨコズナサシガメという名前なのですね。初めて知りました。赤いのがきれいだったので、思わず撮影しました。わざわざお教えくださって、ありがとうございました。
No title
> m3jikanさん

昆虫関連の記事はよく閲覧しているのですが、たまたま知っている昆虫でしたので。
ヨコヅナサシガメの脱皮や羽化の「赤」は派手で目をひきますね。

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