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フユシャク3種~12月中旬の昆虫

翅が消失したチャバネフユエダシャク♀

まずはこのユニークな(異様な?)姿をご覧あれ。多くの昆虫が姿を消す冬になると出現する。初めてこの虫を目にした時は何の仲間なのかも想像ができず《謎の生命体》だった。




初めて見た時は翅がないから何かの幼虫なのだろうかと疑った。節のある体はイモムシっぽく見えなくもないが……イモムシにしてはずいぶん立派な脚がはえている。その脚は6本あるから、きっと昆虫なのだろう……そう考えて翅がない昆虫を思い浮かべたりもしたが、例えばカマドウマなどともずいぶん違う……。
この正体不明のホルスタインちっくな虫の画像を、今はなきニフティの昆虫フォーラムに投稿し、【フユシャク】の仲間だと教えていただいたのは10年余り前になるだろうか。これが蛾の成虫♀だと知って大いに驚いた。
ちなみに、幼虫時代のチャバネフユエダシャクや成虫♂の姿は、ごく普通の蛾↓。


【フユシャク(冬尺蛾)】は年1回、冬に(成虫が)発生するシャクガ科の蛾で、メスは翅が退化して飛べないという性的二型(オスとメスの特徴が異なる)が顕著なグループの総称(冬に見られる蛾の全てがフユシャクというわけではない)。エダシャク亜科・ナミシャク亜科・フユシャク亜科の3つの亜科にまたがって、国内に30種類以上いるらしい。メスの翅の退化の度合いは種類によってかなり違いがあって、チャバネフユエダシャクではきれいに消失している。
こんなチャバネフユエダシャク♀を初めて見た時はその容姿にも驚いたが、昆虫なのに冬に活動すること・蛾なのに♀は翅を退化させ飛べないということを知って、さらに意外に感じ興味を覚えた。
【フユシャク】の存在を知ってからは、冬になるとこのユニークな昆虫に注目してしまう……。

小さな翅をもつクロスジフユエダシャク♀





このクロスジフユエダシャクもフユシャクのひとつ。チャバネフユエダシャクと同じエダシャク亜科だが、クロスジフユエダシャクの♀には小さいながら翅が残っている。この翅ではとても飛ぶことができないだろうことは一見して想像がつく──フユシャク♀の特徴である「退化した翅」を実感できる小さな翅は《フユシャクらしさ》の象徴のようにも感じる。
ガードパイプの支柱にとまっていた別個体♀↓。


クロスジフユエダシャク♀の大きさは、こんな感じ↓。


夜行性が多いフユシャクの中にあって、クロスジフユエダシャクは昼夜性。昼間に繁殖活動を行なうので観察するのによい素材だと個人的には思っている。♂が婚礼ダンス(羽ばたき歩行)によって、隠れた♀の居場所をつきとめるようすは興味深い(*)。
今シーズンは、クロスジフユエダシャクの発生が遅かった印象があるが……これまでの感じでは、発生数自体が少なめだったのではないかという気もしてきている。

冬尺蛾としては大きめの翅をもつクロオビフユナミシャク♀



擬木の上にいたクロオビフユナミシャクのメス↑。支柱上部の縁にとまっていることが多い。同個体を別角度から撮ったもの↓。


フユシャク♀の中では大きめの翅をもつ種類。


フユシャク♀としては大きめの翅に陽があたると鱗粉がキラキラと輝いて見える。


翅がテカッていると印象が変わるので、陽をさえぎって撮影↓。


クロオビフユナミシャク♀の大きさを1円玉と比較↓。


ちなみに飛翔能力のあるクロオビフユナミシャク♂の姿は、ふつうの蛾↓。



■今シーズンの初フユシャク
プレフユシャク~初フユシャク ※チャバネフユエダシャク
意外な翅の役割り!?クロスジフユエダシャク ※クロスジフユエダシャク
冬尺蛾と極小カミキリ他 ※クロオビフユナミシャク

12月中旬の擬木でみられた昆虫から



本来の活動時期には植物について汁を吸っているのだろうが……ムラサキナガカメムシは冬になると擬木上で見かけるようになる小さなカメムシ。翅の膜質部(この種類では透けている部分)にある「1対の黒い点」が特徴だが、これは左右の翅に1つずつある模様が翅を重ねた時に(一方が)透けることで2つ並んで見えるということのようだ。↑の個体では左の翅(黒点)が上に、↓の個体では右の翅(黒点)が上になっているのがわかる。


体長は4~5mmほど。


擬木のカメムシつながりで、モンキツノカメムシ↓。


紋がハート形のエサキモンキツノカメムシに似ているが、モンキツノカメムシの紋はやや小さめで丸みをおびた逆三角形(ただし個体によってはハート形に見える紋をもつものもいる)。前胸背が緑色(エサキモンキツノカメムシでは茶褐色)なので、エサキモンキツノカメムシより緑っぽく見える。
擬木上の緑色つながりで(?)、ハラビロカマキリ↓。


12月にもカマキリの生き残りを見ることがあるが、年を越した生体はまだ見たことが無い。このハラビロカマキリも新年を迎えることはできないだろう……。
そして、やはり緑色をしたニホントビナナフシ♀↓。


ナナフシの仲間は本来南方系の昆虫らしいが……ニホントビナナフシも意外なことに12月に入ってからも、ちょくちょく目にする昆虫だ。屋久島以南では普通に(?)両性生殖をしているが、九州以北ではおもに単為生殖すると考えられているらしい。だからこのあたり(狭山丘陵)で見られるニホントビナナフシは全て♀──と思っていたのだが、たまに♂が出現することもある。僕は(東京で)ペアを確認したことがあるが、これも12月だった(*)。僕はまだ年越し生体を見たことが無いが、たざびーさんのブログでは年を越したニホントビナナフシが紹介されている。
ニホントビナナフシもフユシャク同様、性的二型が顕著な昆虫で、オスとメスの違いは一見してわかる。体の半分がオスで半分がメスという雌雄モザイク個体を見つけて驚いたこともあったが……ニホントビナナフシも不思議な昆虫だ。


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コメント

No title
こんばんは・・・
まさに、フユシャク蛾は、姿・形からしても、その生態からしても観察対象として心揺さぶられる仲間ですね!

チャバネフユエダシャクの幼虫は、近所の公園のツツジ類でも桜の葉でもコナラの葉でも、比較的容易に目にすることができるのですが、成虫となると・・・これが、そうも行かない!
夜行性?だからでしょうか?
クロオビフユナミシャク♀をまだ目にした事がなく、これまた(是非、見付けてみたい種です:こればっかり(涙))
一口に、「フユシャク蛾の♀は翅が退化してる!」と言いましても、こうやって種によって、全て退化したものやそうでないものが存在することなど、観察どころも多いフユシャク蛾!
星谷さんの記事に触発されて、又、山側公園に向かってみたく成りました!!!☆・・・
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

チャバネフユエダシャク──幼虫はよく見かけますね。成虫♀は擬木や柵などの人工物にとまっていると見つけやすいのですが、サクラの木でも見かけます。
クロオビフユナミシャク♀は擬木や塀など人工物にとまっているところしか見たことがないのですが……近くにツツジ類の植込みがあることが多いような。人工物だと、上り詰めた角の近くにとまっていることが多いので、そんな所に注意していると見つかるかも?
フユシャクと一口に言っても、発生時期やルックスにはずいぶん違いがあって面白いですね。
No title
冬エダシャクは、枯葉のうえを飛んでいて、とても写真撮れる状態ではありませんでした。星谷さんはすごいと思います。結構冬でもカメムシは生きてるんですね。ナイス!
No title
> 四季の風さん

日中、枯葉の上を飛んでいたのはきっと昼夜性のクロスジフユエダシャクの♂ですね。低い位置を降りそうで降りずに飛び続けているのは♀の放つフェロモン(ニオイ物質)を探しているのだろうと思います。移動をつづけていれば、フェロモンをキャッチできずいるのでしょう。同じ場所を飛んでいる♂がいたら、その周辺に♀がいると察知したのかもしれません。降りてなお羽ばたき続けていれば、いよいよ♀はすぐ近く──と判断して良いと思います。
ただ、いつ羽ばたき歩行を始めるかは判らないんですよね……。

カメムシは成虫で越冬するものが多く、この時期もよく見かけます。
No title
あちこち探しているのですが…今期は未だにフユシャクを一頭も見つけることが出来ません。
No title
> カメレオンーアームスさん

クロスジフユエダシャクに関しては、最初は発生が遅れていると思ったのですが……その後も飛んでいる♂が少なく、今年は少なかった気がしています。他の地域でもそうなのかどうかは判りませんが……。

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