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「9.0」で減点は《厳密な指導》ではなく《間違った指導》


「9.0」正しい回答なのに減点!?

小学3年生の算数テストで「3.9+5.1」に「9.0」と回答したところ『.0』を記したことで減点されたという話題を目にした。正解は「9」でなくてはいけないということらしい。

■3.9+5.1=9.0は減点対象……理由を文科省に聞いた 「減点は教員・学校の裁量次第」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161129-00000081-it_nlab-sci

「3.9+5.1=9.0」は数学的に正しい。それなのになぜ減点されるのか理解できない。もちろん「9」でも間違いではないが、設問が小数点以下1桁で記されているのだから桁を揃えた方が美しい(親切?)という気がしないでもない。小数点をもつ数字では小数点以下の数字がたまたま「0」であっても意味を持つこともある。
例えば、ある歩道には基点からの距離が100メートルごとにkmの数字で記されているが、9km地点の表示は「9.0」になっている(冒頭の画像)。「3.9km」地点から「5.1km」進めば「9.0km」地点ということになる。式にすれば「3.9+5.1=9.0」。
昆虫の体長を示す場合も「3.0~5.1mm」など、『.0』がついているのはよく目にする。
純粋に数学的に言えば「9.0」と「9」、「3.0」と「3」は同じ。しかし実際に使われる数字としては、小数点以下の数として『.0』が意味を持つ場合もある。「9.0km付近」と「9km付近」、「3.0mm前後」と「3mm前後」では「付近」や「前後」の許容誤差範囲(?)が大きく違ってくる(精度が1桁違ってくる)。
話題になった設問の「式」では小数点以下1桁の数字をあつかっているのだから、「答」の数字を小数点以下1桁でそろえても、ちっともおかしくはない。

数学的には(算数としては)「『.0』は省略してもかまわない」というのが正しい理解で、「『.0』は省略しなくてはいけない」という指導は間違っている。

リンクした記事によると、この問題について文科省は「基本的には『9』と『9.0』は同じと考えている」「『.0』を付けてはいけないというルールは学習指導要領にはなく、文科省が指示しているものではない」と説明してるそうだ。しかし、記事には次のようにも記されている。


文科省によると、「(9.0の場合)小数点を書き忘れて90になってしまう」「小数点が必要ない計算でも『.0』を書いてしまう」という子どももいるとのこと。そういった子どもに厳密な指導をする目的で「『.0』を書いたら減点します」と教員がアナウンスすることもあるそうです。

小数点を書き忘れたり、不要な『.0』をつけた回答には「×(不正解)」や「減点」の評価をすれば良いだけの話で、そうしたミス(未然の過ち)を防ぐために(?)正しい答を減点して良いという理屈は成り立たない。「『.0』を書いたら減点します」というのは《厳密な指導》ではなく《間違った指導》だ。

この問題では、「減点」という間違った採点にあきれたが、SNSでは「減点」を擁護する意見が意外に多いらしく、これにも驚いた。
文科省によると、『.0』を斜線で消すというルールが「教科書にはそうするように書かれている」そうだ(しかし「『.0』を書いた場合減点するよう指導しているわけではない」とのこと)。「教科書にはそうするように書かれている」ことをもって、それに従わないのだから減点は当然だというような考え方をする人もいるらしい。

教科書の指導や教師が期待する答と違うからといって、明らかに正しい答が減点される──それがまかり通る教育現場に不信感を覚える。学校は学問を学ぶ場ではないのか。「正しいか否か」よりも「教えた通りに答えるか否か」が優先されて良いわけがない。
小学校の算数とはいえ「出題者の意図を汲んだ答のみが正解」と考え、数学的正しさをゆがめてかまわないという認識で教壇に立っている教師がいるとすれば問題だ。
出題者の意図がどうであれ、正しい回答を減点するのは間違っている。

また、同じ答を書いたのに、あるクラスでは減点され他のクラスで減点されないといったことが──ことに算数のテストで起こりうるということも問題だ。数学的な正しさは「教員の裁量」の範疇のものではない。
文科省は「正しい指導」を徹底し、《間違った指導》が行なわれないように、それこそ正しい指導をすべきだろう。


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コメント

No title
私も昨夜、このニュースを聞いて違和感を覚えました。
そして、以前、学習教材のセールスと話したことを思い出しました。
セールスに算数の質問をされたので答えると「ハイ、お父さん間違いです。今の算数はこう考えてこう答えるのが正解なんですよ」と言ってきました。単に並んでいる動物を数えるだけだったような記憶がありますが定かではありません。
つまりセールスは考え方が違うから親には子供の勉強は教えられない。だから教材を買えというセールストークのようでした。
下らない、と思ったので「考え方は色々あったほうがいいんじゃないか?一つの考え方しかできない人間はつまらんだろ!」といったところ、売れないと察知したのか「間違って教えて後悔すればいい」と、トンデモない捨て台詞を残して帰っていきました。

長くなりましたが、「9.0」を「9」と答えなければならないなんてのはそんなことに利用される程度のくだらない教え方じゃないかと思います。
しかも、中学になればまた考え方が変わるとか・・・
混乱をきたすだけで全く意味がありません。
No title
> ジョブ6さん

その学習教材のセールスはヒドイですね。「今の算数はこう考えてこう答えるのが正解なんですよ」という説明もかなり胡散臭いような。
算数はその時々の指導要綱みたいなもので「正解」が変わって良いものではないはずです。教える側の都合や意図で、数学的には正しい答を減点するというのは──しかも、それが「減点は教員・学校の裁量次第」というのも解せないですね。
「正しい答えなのに(教員・学校の裁量で)減点する」なんてことをするから混乱をきたすのだと僕も思います。
No title
「原点の行為(指導)は、間違ってると想います!」

明らかに答えは合ってますので〇でOKなのでは?
原点は、行き過ぎてると想います。
斜線を記するよう指導されてるのであれば、〇した後、注:斜線を忘れない様に!と記する程度でいいのでは?

気に成るのは、算数の(この手の)「転ばぬ先の杖てき指導」です。
9,0を90と間違えて記したなら、答えが間違ってるので×とすればイイだけの事!
そういった間違いを招かぬよう手かせ足かせの丁寧な斜線の習慣が・・・かえって邪魔なような気も致します。
と言うのは言い過ぎとしても・・・
「正しい答えを減点するカチンコチンの頭で子供達を指導して大丈夫なの?」と、小学校の教育界に不安を・・・不満を感じる次第です・・・☆
「その程度で減点するギリギリの心では、生徒間のいじめは見抜けませんぞ!」・・・
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

「正しい答えなのに減点はおかしい」──そう感じるのが普通だと思うのですが、こうした批判に「出題者の意図を理解していない(減点は妥当)」と考える人もいるようなので驚きました。

数学は(算数も)、設問に対して回答が正しいか否か──それが採点基準であるべきです。出題者の意図は主題者の都合であって、それは数学的正しさに勝るものではありません。
「出題者の意図」を理由に「3.9+5.1=9.0」を減点するのは、思い上がりも甚だしいと思います。
No title
技術者としては9.0しか答えは無いです。
設計の際の許容誤差を考えると、
9は四捨五入をすると仮定した場合には、8.6~9.4の間のエリアを差します。
しかし、9.0と書いた場合には、8.96~9.04を差すのであって、上の範囲とは全く違ってきます。
設問が小数点を含んでいる場合は、答えも小数点を使って表現するべきなのが、技術者の観点としては正解になります。
ものを作る立場で数字を扱うと、この公差の概念が非常に重要になってきます。
しかし、大人になってもそういう基本的な観点で物事を議論できる人が少なくなってしまいました。
嘆かわしいことです。
No title
> まーしーてんしんさん

設問の数字が小数点以下1桁なので、答も小数点以下1桁まで記すのは自然(当然)とも言えますよね。実際の数字を扱う場合は誤差を考えると「.0」をつけるかつけないかで意味が変わってきますし。
数学的に言えば「9.0」と「9」は同じだから「.0」を省いて記すこともできる──というのが小3算数での正しい理解だと思います。
なのに「9」が正解で「9.0」では減点という採点をする教師がおり、文科省も「減点は教員・学校の裁量次第」と放置しているのが理解できません。
また、「そりゃ、おかしいだろう」と感じる大人が大半かと思いきや……減点を容認する人が少なくないらしいので、それにも驚いています。
No title
驚きました…
9と9.0は全然同じではないですよね~。
9は、8.6~9.4を示すわけですし(ってすみません、他の方と同じことを書いてしまいました)。。。
というか、仕事で、9と9.0と9.00をごっちゃにする人がいて
実際に困った経験があるんです…。
小3算数では、そこは別にいいですよ、というなら
減点ではなく、どちらも正解にすべきですよね。
というか、星谷さんの言うように、減点を容認する人が多いというのに驚きます。
No title
> noriさん

実際に数字を扱う現場では「9」と「9.0」「9.00」は一緒くたにでないケースも多いのでしょうね。「9.0」が正解で「9」が減点というのであれば、まだ意図はわからないでもないのですが……「9」が正解で「9.0」が減点というのは理解できません。
そして驚いたのは減点容認派の人が意外にいるらしいこと。
「教えた通りにしてない」「採点者(減点した教師)の出題意図を理解してない」「電卓で《3.9+5.1》を計算すると(9.0ではなく)《9》と表示される」みたいなことが理由らしいですが……「3.9+5.1=9.0」が正しいことは明白なわけで、どうして単純明快な答を正解として認められないのか不思議でなりません。

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