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プレフユシャク~初フユシャク

プレフユシャクな蛾

秋から冬へと移行するこの時期──蛾の種類の移り変わりで「季節の変化」を感じる。10月下旬~11月初旬あたりからケンモンミドリキリガというキレイな蛾が見られるようになり、「ああ、今年もケンモンミドリキリガが現れる時期になったか」と実感し、続いてニトベエダシャクやチャエダシャクを目にするようになると、間もなくフユシャク(冬尺蛾)が登場する。「今年もフユシャクが見られる時期になったか」と冬の到来を実感するしだい。
フユシャクは、わざわざ(?)冬に出現し、メスは翅が退化して飛ぶことができないというユニークな特徴を持つ蛾の総称。
このフユシャクが出てくる前に出現する蛾──ケンモンミドリキリガやニトベエダシャク・チャエダシャクなどを「プレフユシャク」と僕は勝手に呼んでいる。今年はプレフユシャクの出足も遅めだった気がする。



今シーズン、ケンモンミドリキリガを見かけるようになったのは11月上旬。この日は4~5匹見かけたが、そのうちの別個体↓。


ケンモンミドリキリガから予想以上に間があいて、ニトベエダシャクが現れたのは11月下旬。


前胸背面の模様には個体差があるが、これがなんとなくオランウータン顔に見えてしまう!?


全貌は茶・ベージュ系のセンスの良いデザイン↓。(でも、マントをはおったオランウータンに見えなくもない!?)


ニトベエダシャク──略してニトベエ(と勝手に呼んでいる)がいたのは、こんなところ↓。


やはり同じような所にとまっていた別個体↓。


ニトベエことニトベエダシャクのすぐ近くにいたチャエダシャク↓。


こうして、プレフユシャクたちを見かけるようになったということは……いよいよフユシャクの出現を予感させる。

今季初のフユシャクはチャバネフユエダシャク



と、いうことで、今シーズン初のフユシャクはチャバネフユエダシャクのオスだった。
オスだけ見ると、その姿はいたって普通の蛾……どこといって変わったところは無いのだがメスの姿がふるっている。というわけで、同じ日に見つけたチャバネフユエダシャクのメス↓。


これでもちゃんとした蛾の成虫。メスは翅が退化してオスとかけ離れた姿をしているのがユニークなところ。


未明まで降っていた雨の影響か、体に泥水が乾いたような汚れが付着している。
ちなみに昨シーズンの初フユシャク確認は2015年11月16日──クロスジフユエダシャク♂(羽化不全個体)とチャバネフユエダシャク♀だった(*)。2014年は11月20日にクロスジフユエダシャク♂、2013年は11月11日にチャバネフユエダシャク♀だった。これに比べると今年は遅い。
昨年は同じ時期にすでにクロスジフユエダシャク♂が林床の上を飛び交い、♀を探して交尾するようすを撮影していた(*)が、今年はその場所でクロスジフユエダシャク♂が飛ぶ姿をまだ確認できていない。

フユシャクについて改めて簡単に記すと、年1回冬に(成虫)が発生するシャクガ科の蛾でメスは翅が退化して飛べないという特徴をもっている蛾の総称。フユシャク亜科・エダシャク亜科・ナミシャク亜科にまたがって30種類以上いるらしい(冬に見られる蛾がすべてフユシャクというわけではなく、フユシャクと同じ時期に見られるフユシャク以外の蛾も存在する)。

昆虫を含む変温(外温性)動物は、冬は休眠状態で活動しないものだと思いがちだが……わざわざ冬に出現する昆虫がいると初めて知った時は驚いた。しかも、蛾なのにメスは飛ぶことができないというのも驚きだった。オスは特に変わったところのない蛾に見えるが、メスは同じ種類とは思えないほどユニークな姿をしているのも大いに気になった。
「いったいなぜ、虫が活動に不向きな冬に繁殖活動をするのか?」と当初は不思議に感じ、「きっと天敵となる捕食性の虫や爬虫類が活動していない冬に活動することで生存率を高める戦略だろう」と考えた。「天敵がいなければメスが飛んで逃げる必要も無いから飛翔能力を捨て産卵に専念しているのだろう(身軽なオスだけ飛べれば、それで繁殖機会は確保できる)」──そう考えて納得したが、毎冬フユシャクを見ているうちに「そう単純でもないらしい」と思うようになった。
冬に天敵がいないのなら、昼行性の種類が多くてよさそうなものだが、実際は夜行性のものが多い。昼行性のクロスジフユエダシャクなどは、たいていメスは落ち葉の下に隠れていて、オスがそれを探して葉の下に潜り込んで「隠れて」交尾をする(*)。これは、冬でも鳥などの捕食圧がかかっているためだろうと考えるようになった。
チャバネフユエダシャクのメスがオスとは全く違った色や模様をもつことも、こうした鳥の捕食圧が関係しているのかもしれない。白地に斑の黒を配した姿は鳥糞に擬態しているように見えなくもない。木の幹にとまっていればボディラインが分断・かく乱されて隠蔽効果があるのかもしれない。


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コメント

No title
こんばんは・・・
「虫の移行で、季節を感じる・・・」とは、何とも趣ある言葉ですね!
プレ・フユシャクの出現が遅れ気味だったのは、9月・10月の最高気温が高めだったことも影響してるのでしょうか?・・・?

「フユシャクが何故冬を選んで出現するのか?」については、諸説ある様ですね・・・
もし、蛾が気温に影響を受けやすい生き物であるとしたら・・・
フユシャクは、寒く無ければ生きていくことができない体内構造に成ってる!(?)
では、何故、フユシャクだけその様な気温が低い期間でしか生息できない体内構造なのか?・・・???
「そんなのシロクマに聞いておくれよ・・・」と、私の脳内でジイとヒメが会話してます・・・☆
No title
日本にもこんなのがいるんですね!
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

昆虫にも色々変わったのがいますが、フユシャクは「いったいどうして?」と色々想像力を刺激する存在ですね。
「今年もフユシャクを見る時期になったか……」と実感しています。

普通に考えれば、昆虫が気温の低い冬に活動するのはデメリットがありそうな気がしますが(それでメスの飛翔能力を犠牲にした?)、それに引き換えて見合うメリットが何かあったのだろう……そんな風に想像しています。
No title
> あじちゃんさん

昆虫の多様性には驚かされます。身近なところにも風変わりな虫はいるもんですね。

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