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羽化したセミヤドリガ

雨の止み間に羽化していたセミヤドリガ



9月の初めに観察することができたセミヤドリガの羽化──その瞬間を見逃すまいと頻繁に繭チェックを続けていたわけだが、その際に他にもセミヤドリガの繭をいくつか見つけており、あわよくばそれらの羽化シーンもおさえられれば……などと虫の良いことを考えていた。これまで2度、羽化シーンを観察しているが(*)、白い綿毛に包まれた繭から蛹がせりだし始めてから羽化終了までは短い。そのわずかなタイミングを押さえるのは難しそうだが……いくつかの繭をチェックしていれば、1つくらいヒットすることがあるかも知れない……くらいの気持ちでチェックを続けていた。
しかし、草刈りなどで撤去されてしまったり、剥がされていたり(人が剥がしたのか鳥などに食われたのか不明)、2週間以上経っているのに変化がないものがあったり(寄生されたりして死んでしまったのか?)……空振りが続いていた。
そんな中、トチノキの幹に作られていた繭で、羽化して間もないと思われるセミヤドリガを見ることができた。羽化シーンを見逃したのは残念だが、繭に止まった新品(?)の成虫をみることができたので、テンションが上がる。
実はこの日は雨が降ったり止んだりをくり返し、羽化にはあまりふさわしくない天気のように思われた。昼前にはしっかり降っていたのでチェックに行くのをあきらめようかとも思っていたのだが……昼過ぎに雨が上がったので、とりあえず確かめに出かけてみると、繭に羽化して間もないと思われる成虫が止まっていたのだった。


これ↑が1週間前に見つけたときのセミヤドリガの繭。このときすでに繭をおおう綿毛が雨に濡れた後のようだったので、作られてから数日が経過していると思われた。そしてこの1週間後、雨の止み間に見に行ったときの光景↓。


まだ繭にとまっているということは羽化してさほど経っていないのだろう。雨が上がるのを見計らって羽化したのだろうか。セミヤドリガ成虫は遠目には黒い蛾に見えるが、よく見るとビロードのような翅にはラメをほどこしたような模様があって、光の当りぐあいであわいブルーに輝く。






撮影を始めると蛹便(ようべん:チョウや蛾などが羽化後に排泄する液)をした。以前羽化を観察した時は、成虫の体全体が蛹から抜けてから30分弱経った頃に蛹便をしている。
その後、成虫は突然羽ばたき始め、羽ばたき歩行で幹を数十センチほど登ると、あっという間に飛び去っていった。


セミヤドリガの鱗粉は落ちやすいので、激しく羽ばたき飛翔した後、ラメ入りビロードのようなきれいな翅がどうなのか、ちょっと気になる……。
成虫が飛び去ってしまったので、残された繭を撮ってみた。羽化前日の画像との比較↓。


羽化は繭を壊して行われるのではなく、繭の(今回は?)上部にあるガマグチ状のスリットを蛹が押し広げて出てくるところから始まる。せり出した蛹の首や背が割れて成虫がでてくる(*)。そして成虫が飛び去った後には、スリットに腹を挟まれた形で蛹(抜け殻)が残る。




上から撮った蛹↑。見えているのは上半身の腹面。この繭はトチノキの幹の鉛直面に作られていたが、細いコナラの枝に作られていたものもあった↓。


こんな細い場所でも繭をつくり、ちゃんと羽化できるようだ。
ついでに、9月の初めに羽化を観察した繭のその後↓




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コメント

No title
蛾が繭を作るイメージが無かったので、じっくり拝見しました。
地味な羽根にブルーがキラリだなんてお洒落ですね。
No title
> ☆彡Maria☆彡さん

蛾は種類が多いですが、その繭の形状もいろいろバリエーションが豊富で感心します。
セミヤドリガの繭作りのようすは↓に記しています。

●セミヤドリガ幼虫の繭づくり・B
http://blogs.yahoo.co.jp/ho4ta214/37411007.html

セミヤドリガの成虫は「黒っぽくて地味な蛾」というイメージがあったのですが、じっさいに見た時は「意外にきれいじゃないか」と感じ、認識を改めました。
No title
先日はムネアカハラビロカマキリ、有難うございます。津久井湖城山公園ではまだ報告が無かったそうです。セミにくっついているセミヤドリガの幼虫や成虫は撮ったことがありますが、羽化は見た事がありません。羽化後は流石に綺麗ですね。ナイス
No title
> 『ちゃわんむし』さん

ムネアカハラビロカマキリは僕もネット上でしか見たことがなかったのですが、ちゃわんむしさんのブログでその特徴をキレイにとらえた画像を拝見し、興味深く鑑賞させていただきました。
津久井湖城山公園ではちゃわんむしさんの報告が最初でしたか。昆虫観察を続けられていたから発見ができたのでしょうね。さすがです。

セミヤドリガは、実際に見る前は黒っぽい地味な蛾だという認識だったのですが、羽化後、飛び立つ前のピッカピカの姿を見て印象が変わりました。
No title
こんにちは・・・
セミヤドリガの羽化後間の無い個体の美しさに、しばし見とれてしまいました・・・
角度によって模様が浮き出るがごとく・・・の奥深さも実に魅力的ですね!!!・・・
何と言いましても、自然の姿のままでの経過観察に敬服致します。
私は、小学生時代、捕らえたセミに付いてた気持ち悪い白い物体に恐怖して以来、セミヤドリガの繭には出会えてません。そのことを想うと、目を凝らし辛抱強く観察すれば、様々な発見にきづけるものだと・・・己の観察不足を恥じるばかりです。

セミヤドリガ・・・その姿も、生態も実に魅力的である事が、今回の記事でも良く理解出来ました!!!☆・・・
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

身近な昆虫でも、知らないコトは多いですね。
「セミヤドリガ」という言葉を知ってからも僕はしばらく関心がなかったのですが……去年ふと関心を向けてみると色々興味深い虫であることがわかってきて、個人的注目度が一気に上がりました。
気に留めていないと何もわからないままですが、観察してみると色々おもしろみがわかってくるのが昆虫の世界ですね。
No title
さすがは星谷さん、細かな観察で、敬服です。
とても勉強になります。
まぁオイラの場合、トンボや蝉の羽化でさえ、偶然に見つけなきゃ観察する機会がなくて、今年はまさに偶然に目の前にオオムラサキの雌がノンビリ止まっていただけで大興奮でした。
最近は腰痛に脚が痛いのも重なり、ほぼ野草専門のお出かけになってますね。
No title
> カメレオンアームスさん

今年は最初、繭作りのために降りてきたセミヤドリガの幼虫を偶然見つけて、繭作りの観察をし、繭がそこにあることが判ったので、羽化までの期間を確かめるためにチェックを始め……そのチェックの間に他の繭も見つけて繭チェックを続けるようになりました。セミヤドリガを観察できるのはこの時期だけだろうと思うと……やっぱり繭が気になってしまって。
屋外で「!」というシーンに出会うと、テンションが上がりますね。
No title
こんにちは
ご訪問コメントありがとうございます。
昆虫には詳しいのですね。
ナイス!
No title
> ドリームさん

詳しいというわけでもないのですが……昆虫は色々おもしろいので注意して見るようになりました。
まだまだ知らないコトが多いです。

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