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セミヤドリガの羽化



前の記事でも触れたが、【セミヤドリガ幼虫の繭づくり・B】で観察した繭からセミヤドリガ成虫が羽化する様子を記録することができた。セミを離脱し繭を作った日から15日後のことだった(ちなみに去年観察した個体は14日後だった)。今回は野外での観察だったが、羽化のシーンに立ち会うことができるか心配だった。去年持ち帰って観察した例(【セミヤドリガの羽化/幼虫~繭~成虫】)では、繭から蛹がせり出し始めて成虫が蛹殻を離脱するまで、わずか10分程度──羽化の時間の短さに驚かされていたからだ。そのタイミングをうまく押さえるのは難しそうだ。チョウなどでは、羽化が近づくと蛹の色が変わるという「兆候」が現れるものもあるようだが、セミヤドリガの場合、蛹は羽化直前まで繭の中にあるので、羽化時期の見極めが難しい。そのタイミングで観察できたら儲け物──というくらいつもりでチェックを続けていたが、運良く羽化シーンを確認できた。
今回は蛹の背中が裂け始めて成虫が離脱するまでわずか1分十数秒。この前には蛹が繭からせり出す時間、この後には翅が伸びるまでの時間がかかるわけだが、カメムシの脱皮や羽化に比べて離脱時間が短いのにはやはり驚かされる。

セミヤドリガの羽化@野外記録



繭を作った日から14日後まで、繭に変化はなかったが……15日後の午前8時18分に繭の端から、わずかに黒い蛹の頭がのぞいているのを確認。


セミヤドリガの繭には脱出用のガマグチ状スリットがあって、これを押し広げて蛹がせりだしてくる。そして蛹の背中をやぶって成虫(蛾)が出てくる。画像右下の数字は撮影時:分:秒。






この後、せり出した蛹の頭~前胸背面が裂けて、成虫の前胸背面が出てくる。


蛹の頭と前胸の間・前胸背面に裂け目ができて成虫の前胸背面がのぞき始めた↑。ここからの展開は早い。




蛹の触角が抜けた部分は褐色になっていく。










この↑わずか6秒後↓。






立てていた翅が伸びきると、翅を広げる通常姿勢に戻る。


通常姿勢に戻ったセミヤドリガの成虫。


セミヤドリガ成虫は一見黒っぽく地味な蛾だが、光のかげんで淡いブルーに輝くスパンコールのような模様があって、よく見ると美しい。


成虫が入っていたときは黒かった蛹が褐色になっている。蛹の腹端は繭のスリットにはさまれるかたちで繭の中に残っている。
(繭の構造と抜け殻については→【セミヤドリガの繭と蛹】)

15日後 羽化に失敗した個体



これ↑は【セミヤドリガ幼虫の繭づくり・A】で繭作りを観察した個体。やはり繭作りから15日後に繭の端に蛹の頭がのぞいたので、羽化の展開を記録しようとカメラを向けるが……いっこうに進まない。脱出用スリットが狭かったのか、ここで力つきたのか、けっきょくこのままで羽化することはなかった。


かいがいしく繭を作るようすをつぶさに観察し、見守っていた個体だったわけだが……ようやくここまで育って、いよいよ羽化──というところでつまずいてしまうとは……。自然界では人知れずこのような事故も多いのだろう。



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コメント

No title
これは繭から羽化するのですね、サナギではないのが不思議です。蝶、蛾の世界は奥が深いです。ナイス!
No title
> 四季の風さん

セミヤドリガは繭の中で蛹になるんです。その蛹が羽化直前に繭からせり出してきて羽化するわけです。
No title
こんばんは・・・
前回も羽化の瞬間を拝見させて頂きましたが・・・
今回の「貴重な蛹せり出しシーン」に興奮してます!

記事を読み進めながら「是非、繭から蛹がせり出す瞬間が観てみたい!」と願ってたら・・・ジャ~~~ン!

繭から蛹がせり出してる~~~!!!☆

パコッと開いた繭から、蛹がせり出して来る・・・
感動の一瞬です!羽化にともなった動きなのでしょうけど、こういった瞬間を目にできると、心が高ぶりますね!

短時間の記録写真が鮮明にまとめてあり、素晴らしい!と見入ってしまいました!!!・・・
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

繭から蛹がせりだしてくるシーンではテンションが上がりました(笑)。
実は去年観察した時は、繭の端に黒い点のようなものが現れ、しみだしたタールのしずくが大きくなっていくようなシーンを見ていたのですが、あわてて撮影準備をするあいだにけっこうせり出しが進んでしまっていたので(せり出し始めたシーンは撮り逃していたので)、今回は蛹がせり出してくるところを最初から記録しておきたい──と思っていました。
希望がかなってホッとしているところです(笑)。

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