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セミヤドリガ幼虫と繭



8月中旬、セミヤドリガ幼虫の繭づくりを見ることかできた↑。繭作りの日付がわかっているものについては、羽化する日を確認すれば繭の期間を把握できる──というわけで、問題の繭のチェックを続けていた。Wikipedia情報では《蛹は1週間程度で羽化する》とあるが、去年持ちかえった幼虫を観察したときは(*)、繭作りから羽化まで14日かかっている(繭の中で蛹になるまでに1週間程かかるのだろうか?)。はたして今回はいかに!? 「まだ羽化していない」ことを確かめに行く日々が続く中、新たに見つけたセミヤドリガの幼虫&繭などから。

セミとセミヤドリガ幼虫

セミヤドリガについておさらいすると──この昆虫はセミに寄生する蛾。幼虫がセミの成虫に外部寄生する。セミヤドリガは成虫になると餌をとらないというから、幼虫時代にセミから獲た養分だけで一生分のエネルギーをまかなっていることになる。一方、寄生されたセミはそれが原因で繁殖できなくなったり死んだりすることはないらしい。じっさいにセミヤドリガ終齢幼虫をつけて元気に鳴いているミンミンゼミもいた。
セミの成虫にとりついたセミヤドリガ幼虫は成長し終齢(5齢)幼虫になると白い綿毛に包まれる。やがてセミを離れ、葉や幹などにその日のうちに繭を作る。繭の表面は終齢幼虫時代の綿毛でおおわれる。

ここではニイニイゼミ・ヒグラシ・ツクツクボウシ・クマゼミなどもいるがアブラゼミとミンミンゼミが圧倒的。全体的にはアブラゼミの方が多いが、ミンミンゼミの密度が高い場所もある↓。


セミヤドリガ幼虫は(ここでは)ミンミンゼミで見つかることが多い↓。


アブラゼミでも見られることがあるが、その機会は少ない。


ミンミンゼミに比べてアブラゼミでの確認率が低いのは、アブラゼミは翅が透けていないので寄生されていても翅に隠れて見えにくいということもあるだろう。アブラゼミの場合はセミヤドリガ幼虫をつけていても翅の外にはみでていないと気づきにくい。実際にミンミンゼミとアブラゼミで寄生率に差があるのかどうかはわからない。

繭作りのために蝉を離れ降下するセミヤドリガ幼虫



糸を吐きながら降下してきたセミヤドリガの終齢(5齢)幼虫。白い綿毛につつまれてモコモコ。腹面には綿毛がない。この個体は木の下の植込みの中へ降りていった↓。


これ↑とは別の個体↓。


糸を吐きながら降りてくるセミヤドリガ幼虫は頭を左右にふりながら体をよじらせている。




この幼虫が降りて来たのは歩道エリア。画面奥から緑地管理の作業車がやってきたので(そのままではひっかけられてしまうので)、やむなく吊り糸をつかんで近くの笹の葉へ移動。
すると、その葉の裏で繭作りをはじめた。






笹の葉に移してから約2時間後のようす↑。幼虫は自分の体をおおっている綿毛をくわえ、繭の足場周辺に植え付けるように置いて行く。引き抜かれた綿毛の束がしだいに多くなり繭をおおう形になる(*)。
移動から5時間後に見に行くと、セミヤドリガの繭は完成していた。


セミヤドリガの繭



擬木に作られていたセミヤドリガの繭。


まだ新しい繭や雨が当たりにくい場所の繭は、表面をおおう綿毛にふかふか感がある。
こちらの繭↓は少し時間が経過しているようだ。


木の下の植込みにも──、


葉の裏面に繭を作られた繭↑が多いようだが、表に作られた繭も↓。


葉の表面に作られた繭。雨を受けて綿毛がぺたんとしている。
垂直な木の幹につくられたものもあった↓。


綿毛におおわれた繭は輪郭がいびつになり、遠目には鳥の糞のようにも見える。


セミヤドリガの繭かと思いきや、鳥の糞。ということは、綿毛をまとって不規則な形にみえるセミヤドリガの繭は、鳥糞に擬態している!?

繭作りから羽化までの期間



去年、観察した時は繭を作った日から14日後の羽化だった(*)。先日繭作りを観察した2例(【セミヤドリガ幼虫の繭づくり・A】【セミヤドリガ幼虫の繭づくり・B】)については、Aは繭を作った日の15日後に羽化失敗(繭から蛹がせりだし始めた状態で停止・羽化には至らなかった)、Bは繭作りから15日後に無事羽化した。最後の画像は冒頭画像で繭作りをしているB──冒頭の画像の15日後ということになる。
羽化のようすについては画像を整理して後日投稿→【セミヤドリガの羽化


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コメント

No title
私もヤドリガ科のもう一種の方を幼虫→成虫を撮影しました。

ですが、整理がつかないのでしばらくアップはないかも(^^;)

ちゃんと野外で撮影しているのはすごいです。私は連れて帰りました。
No title
> ともっくさん

ハゴロモヤドリガでしょうか。アップされるのが楽しみですね。
チョウなどは検索すると見たい画像が色々ヒットしますが、マイナーな(?)蛾はちょっと情報が少ないようなので……自分で確認してみようと観察を続けていました。
No title
「セミヤドリガのおさらい」を付けてもらって助かります^^
セミを離れた幼虫は、最初に着陸した葉に迷いなく繭作りを始めるんですね、
これまで、場所も時期も、迷いに迷って繭作りに取りかかるイモムシばかり見てきたので、このセミヤドリガの幼虫の手際の速さは驚きです。

羽化までの期間が、標準と違うのは。。。前蛹の期間の長さに関係があるのでしょうか。。。

無事に羽化できたセミヤドリガ、銀色の紋が入ってシックできれいです、初めて目にしました。R
No title
こんばんは・・・
自然のままの成長観察記録に、頭が下がる想いです!

ミンミンゼミとの出会い率の高さに驚きます!
私が、散策不足のせいもあるのでしょうが、ミンミンゼミを最後に目にしたのは、もう数十年も前の事に成ります。

糸を伝い降りて来る幼虫の愛らしい姿に、(ストラップにしてもいいな!)と思ってしまいました。
ロウをまとう意味は様々あるのでしょうが、確かに鳥の糞に似てる!と、見入りました。
この姿を観た鳥は、自分の糞に関心を寄せる事も襲う事もないでしょうね!・・・☆
No title
> 名もない小島さん

記憶が鮮明なうちにまとめておかねば……とまとめる上で、おさらいもしてみました。
チョウや蛾の終齢幼虫が蛹化する場所を探して徘徊する姿はよく見かけますが、それに比べるとセミヤドリガの幼虫は降りて来てから繭を作るまで早いですね。
それが判っていたので観察することができました。

去年初めて持ちかえって観察しときは《蛹は1週間程度で羽化する》という記事からそれが繭の時間かと思っていたのですが、14日もかかったので、繭の中で蛹になるまでに時間がかかるのだろうか?──とあらためて思ってみたり? このあたりのことはまだちょっと謎です。

成虫の蛾は一見黒っぽいのですが、光の加減で青みをおびて淡く輝く模様が入っているので、よく見ると、けっこうキレイなんですよね。
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

とりあえず、今年も1例だけですが無事羽化を見ることができてホッとしています。去年は持ち帰った個体の他に野外観察を続けていた繭が2つあったのですが、「そろそろ羽化が見られるかも?」と思っていたときに草刈りで撤去されてガッカリ……という事があったので。

ミンミンゼミは地域によってけっこう密度に差があるみたいですね。こちらでは多いです。

セミヤドリガの繭を探していると、つい鳥糞に反応してしまうコトも(笑)。なので、鳥にも鳥糞に見えてスルーされているのではないか……という気はしますね。
セミヤドリガ幼虫のストラップはいいですね。イモコレで商品化してもいけるのではないかと思いました。
No title
そうでしたか、後のキジから拝見したのでセミという名前はセミににているのかと思ったらセミに寄生するガとは想像もできませんでした。
生き物の不思議を感じました。セミをみたらさがしてみます。ありがとうございます。ナイス!!
No title
> 四季の風さん

蛾の仲間というと幼虫は植物食というイメージがありますが、セミに寄生するものがいるなんて、ちょっと意外ですよね。
なんとも不思議な蛾です。

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