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セミヤドリガ幼虫の繭づくり・A

セミヤドリガ幼虫の繭づくり・その1

うるささや 脳みそにしみいる 蝉の声……ということで「蝉しぐれ」ならぬ「蝉豪雨」ともいうべき蝉の鳴き声が暑苦しく響く今日この頃。今年もセミヤドリガの幼虫に寄生されたミンミンゼミを見かけるようになった↓。


昨夏は、セミから離脱(繭を作るため)したてのセミヤドリガ幼虫にでくわし、羽化繭と蛹を観察することができ、あれこれと好奇心を刺激されたが(*)……セミヤドリガは変わっている。ふつう蛾やチョウというと、幼虫は植物食のイメージがあるが、セミヤドリガの幼虫はセミの成虫に寄生する。《昆虫に寄生する蛾》というだけでもユニークなのに、その宿主(寄主)がセミだというのだからあきれてしまう。セミは成虫になってからの生存期間が短いということで知られているが(実際は1ヶ月ほど生きるそうだが)、その蝉(成虫)の短い活動期間中にセミヤドリガはセミに取りつき、蝉の余命期間の間に一生分のエネルギーをまかなわなくてはならないことになる(セミヤドリガは成虫になると餌をとらない)。昆虫に寄生するにしても、どうしてよりによって蝉なんだよ……と思わないでもない。
今年もミンミンゼミについたセミヤドリガ幼虫をみつけたので撮っていると……ふと、目の前に蜘蛛の糸のようなものが下がっているのに気がついた。これは繭作りを始めるためにセミヤドリガ幼虫がセミから離れるさいの降下用の糸ではないか!? 糸をたどって先端を見るが……何もついていない。ということは、すでに降りてしまったのか?──と糸の下の地面に目を向けると、なんなくセミヤドリガ幼虫が見つかった。




セミヤドリガ幼虫が降りた地面にはアリも徘徊していたので、近くの植込みに移して繭作りのようすを観察することにした。昨年みつけた幼虫は回収した容器の中ですぐに繭作りを開始したので、セミから離れた幼虫はすぐに繭作りを開始するだろうと思った。
植込みの葉に移すと、足場が気に入らないのか40分近く周辺を物色していたが……その途上で通過した1枚の葉に戻ってその裏で繭作りを開始した。場所を決めるのに時間がかかったのは、幼虫を移した葉が小さかかった(繭の足場としては面積不足だった?)からかもしれない。


おそらく細い糸(このときは視認できず)を吐いているのだろう──頭を左右・前後斜めに動かしながら葉の裏面やふちにタッチ(糸付け?)をくり返す。そして向きを変えては同じ仕草をくり返す──こんなことをしばらく続けていた。画像右下の数字は撮影時刻(時:分:秒)。










幼虫は葉の裏からふちにかけて、タッチをくり返していたが、やがてその動作の間に背中の綿毛コートの内側に頭を潜らせる仕草をおりまぜるようになった。葉と綿毛コートの根元との間に糸を張る仕草にも見えるが、綿毛コートの根元をくわえて引き抜き、葉に植え付けているような動作にも見える。葉には「抜かれた綿毛の束」が少しずつたまりはじめていった。








この時点↑では葉の裏でセミヤドリガ幼虫が向きを変えると、背中にしょった綿毛コートも向きを変えるのでわかっていたが、周囲の「抜かれた綿毛の束」が増えてくると、幼虫の動きがわかりにくくなっていった↓。






ここまでくると、外観はほぼ完成。ただ、まだもこもこ動いているので内装作業(?)は続けられているようだ。ここでデジカメの電池切れ。翌日、完成した(もう動いていない)繭を撮影↓。


5齢(終齢)幼虫時代の綿毛コートをバラした綿毛でおおわれたセミヤドリガの繭↑。向きが不揃いな毛束でおおわれたいびつな形は、カムフラージュ的な意味合いがあるのかも知れない(鳥糞に見えがち*)。あるいは繭に寄生するような寄生蜂など(がいたとすると?)に対する防壁効果もあるのだろうか?
表面の綿毛部分はとれやすいが、糸で固められた繭自体はかなりしっかりしている(*)。
カイコの繭の場合、羽化の際に成虫が穴をあけて出てくるが(タンパク質分解酵素を吐いて繭糸を固めている糊を溶かし糸の間を押し広げて出てくるので、繭に穴はあくが繭糸自体は切れているわけではないらしい)……セミヤドリガの繭は脱出用のスリットがついているので繭を壊さずに脱出できる(*)。脱出用スリット構造という点で、セミヤドリガの繭はウスタビガの繭に似ている。

この最後の画像──完成した繭を撮りに出かけたところ、またまたセミから離脱したばかりと思わせるセミヤドリガ幼虫と遭遇。せっかくなので再び観察。同じような内容になるが、記事を分けて、それはあらためて【セミヤドリガ幼虫の繭づくり・B】で……。


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コメント

No title
うわ~~、始めてみました\(◎о◎)/
No title
> ピンキーさん

昆虫は色々かわったのがいて、おもしろいですね。
No title
こんにちは・・・

セミヤドリガの幼虫が作繭するシーンを初めて目にし、感動しました!
虫が羽化する瞬間も感動的ですが、こういった巧妙な作業を目にすると高揚感で体の奥がゾクゾクとして来ます!

1時間以上にも及ぶ、綿密で珍しい観察記録は、非常に貴重なものなのでは?と・・・見入ってしまいました!!!☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

去年、初めてセミヤドリガ幼虫を回収して羽化を観察した時は、繭作りのプロセスをきんちと見ていなかったので、その過程を観察できるチャンス到来ということでテンションが上がりました(笑)。
こういうシーンは出会った時でないとなかなかチャンスはないだろうと思っての観察でしたが、翌日同じ場所でまた離脱幼虫に遭遇してビックリ。出会うときには立て続けに出会うものですね。
No title
珍しいものを見せていただきました。こんなふわふわしたものを見たような気がしますが、何か分からずじまいでした。丁度お昼時でしたでしょうに、忍耐強く観察されたおかげで、貴重なシーンが撮れてよかったですね。
No title
> S-Birdさん

こういうシーンは、撮ろうと思って探すのは大変そうなので、出会った時に観察しておかねば──と思って記録しました。日陰だったので暑さはさほどこたえませんでしたが、同じ姿勢でしゃがんでいて足がしびれました(笑)。

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