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ハリサシガメ:幼虫・抜け殻・成虫

この夏、初めて知ったユニークな昆虫ハリサシガメ。見られる時期に見ておこうと、その後も何度か雑木林ふちの石垣に出かけていたが、ハリサシガメの姿は見られず、密度が高かったヒガシニホントカゲの姿もまばら……という状態が続いていた。トカゲが少ないのと同様、暑さを避けて石垣の上に出ていないだけなのか……あるいはハリサシガメの発生時期はもう過ぎてしまったのだろうか?
なかばあきらめつつ、雨上がりで気温が低めの日にハリサシガメ・ポイントをのぞきに行ってみると、石垣のあちこちにヒガシニホントカゲの姿が。これは期待できるかも……と思って探すと、やはりハリサシガメも出ていた。

ゴミをまとってカムフラージュするハリサシガメ幼虫



ハリサシガメの幼虫は、体中に顆粒状の土粒をまとい、捕食したアリの死骸や虫の残骸その他もろもろの物を背負ってカムフラージュする。カメムシは色々見てきたが、こんなユニークなものがいるとは想像もしていなかったので初めて見た時は驚いた。デコレーションした虫の残骸は、鳥のフン(消化されずにかためて排泄された虫の一部)のようにも見える。


完璧な偽装で体をおおいつくしているのでコ、一見どっちを向いているのかわからなかったりする。触角が出ているところが頭。






ハリサシガメは幼虫も成虫もアリを捕らえて体液を吸う。そのためコレクションにはアリの死骸も多い。この幼虫はエゴヒゲナガゾウムシの胴体も背負っていた。

一見ぬけがらには見えないハリサシガメの抜け殻



ワラジムシやアリをまとったハリサシガメの《幼虫》──と思って撮り始めたが……実はこれ、羽化後の《抜け殻》だった。


撮った画像を拡大して、触角が不自然に曲がっていることに気づいた。よく見ると、頭部の背面に白い糸がのぞいている……これは羽化や脱皮のさいに抜け殻に残る古い気管の壁面に違いない。【ハリサシガメの抜け殻】で初めてハリサシガメの抜け殻を見た時は、てっきり幼虫の死骸だと思い込んでしまった。今回は現場で《抜け殻》だと気がついたが、前に調べていなければ、これが抜け殻だとはとても見抜けなかっただろう。
撮影用に動かしたところ、触角が欠けてしまった。抜け殻の触角や脚はもろいようだ。


折れてしまった触角の付け根──半透明の眼の上をよく見ると、わずかに隙間があいている。成虫はここを押し広げて脱出したのだろう。


抜け殻の背面。首のあたりに、わずかに気管が抜けたあと(白い糸)がのぞいているが、羽化したときの裂け目はわからない。中身はもぬけのカラだが……外側をきれいに残したまま中身がこつ然と消失してしまうなんて、まるでイリュージョンだ。

翅の長さに個体差があるハリサシガメ成虫



で、完璧な抜け殻を残してこつ然と消えた中身(成虫)がこれ↑。幼虫時代は手のこんだカムフラージュで地味だったが、成虫になると、なかなか美しい。背中の逆《ハ》の字もようが印象的。


この成虫は翅が短め。翅先と腹端の間がずいぶんあいている。以前みたペアでは、オスが長翅型・メスが短翅型だった。ただ、翅の長さは個体によってまちまちなところがあるようだ。


逆《ハ》の字模様も印象的だが、背中に突き出したトゲ状の突起もカッコ良い。


翅がやや短かった個体↑に対して、翅が長い別個体の成虫↓。




この個体は翅の先端が腹端に届く長さ。


さらに別個体のハリサシガメ成虫↓。




この個体は、翅は長めだが、その先端は腹端まで届いていない。ハリサシガメ成虫の翅の長さは個体によってばらつきが多いように感じる。


なかなか精悍なハリサシガメ成虫。針のような口吻を獲物に刺して体液を吸う捕食性カメムシ。



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コメント

No title
昆虫の死骸まで着ているんですね。すごい、これでは発見するのは困難です。ナイス!
No title
> 四季の風さん

幼虫のコレクションはおもしろいですね。捕食したと思われるアリの他にも、拾ったと思われる昆虫のパーツや植物片らしきもの……どういう基準で選んでいるのかよくわかりませんが。
No title
コレはまた、、、、、何とユニークな( ゚д゚)⁉
No title
> cha*ele*n_a*ms_*l*eさん

今年の夏は、この虫にハマってしまいました(笑)。
No title
暑い夏もこれほどまでにはまってしまった虫がいてよかったですね。個体差や抜け殻の面白さなど、観察すればするほと面白いサシガメです。口吻が意外と短いですが、サシガメはこんなものなのでしょうか。
No title
こんなユニークなサシガメがいるとは思ってもみなかったので、この夏はこの虫に興味津々でした。
確かに口吻は短めな感じがしますね。(主に?)アリ用には、このくらいの方がブスッと刺しやすいのかも?
No title
こんにちは・・・
(雨上がりで、気温が低め・・・)の気象条件に着眼された辺り・・・「う~~~ん、流石だ~~~!」と頷いてしまいました。
アリの結婚飛行も、ある一定の気象条件の元で行われるとか・・・?
そう言う意味では、生物の行動と気象条件は密接な関係があると言えるかもしれないな~~~と想いました。
デコレーションした虫の残骸が、鳥の虫の未消化の糞の塊に似てるところ・・・(これでは、鳥も見向きもしない事請け合いですね!

ハリサシガメの成虫の翅の長さについては(短翅型)とハッキリ記されてる図鑑もあるようです。星谷さんの御撮りに成った(長翅型)の個体写真記録は、非常に貴重なものでは!と想います・・・☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

この夏は、にわかにハリサシガメがマイブームでした(笑)。
ハリサシガメを知らずに初めて見たとき、特徴があるのでネットでカメムシ方面のサイトを閲覧すればすぐ種類が判るだろうと思ったのですが、意外に情報が少なくて、ちょっと手こずりました。
名前が判るとそれなりにヒットするようですが……ユニークな割に、情報が少なめな昆虫かもしれませんね。

初めてペアを見たときは長翅型♂と短翅型♀できっちり翅の長さが分かれるのかとも思ったのですが、撮った成虫を見比べると翅の長さにけっこうバラツキがあるようで……なんともフシギなサシガメです。

卵や若齢幼虫なども見てみたいと思っているのですが……どんなところに産卵するのか、いつ頃孵化するのかなど判らないので、とりあえず時々、石垣チェックに出かけてみようと思っています。

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