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ハリサシガメ幼虫の粘着性物質は水溶性!?

ハリサシガメ幼虫のカムフラージュは水に弱い!?

少し前に雨が降って暑さはさほどでもない曇りがちの日──ハリサシガメ・ポイントの雑木林沿いの石垣に行ってみた。するとヒガシニホントカゲの姿がそこかしこに。これはハリサシガメも期待できると思って探すと予想通り複数見ることができた。
ハリサシガメの幼虫は獲物の死骸やゴミをまとってカムフラージュするというユニークな習性がある。この偽装デコレーションは素材やその配置によって造型が変わってくる──個体によって「作品」のできばえが違うので見飽きることがない。


石垣のすきまにいたハリサシガメ幼虫。異物を体にまとってカムフラージュするところはイソクズガニを連想させる。イソクズガニは甲羅に先端がフック状になった固い毛が生えていて海藻などをとりつけやすい表面構造になっているそうだが、ハリサシガメ幼虫は何らかの粘着性物質を使って異物を付着されているように思われる(体から剥がした異物同士がくっついたままでいたので接着剤のようなものが使われているのだろうと想像)。


触角がある画面左側が頭部。このハリサシガメ幼虫は、まとった顆粒状の土が通常よりいくらか暗い色をしていた。脚もとの土粒をみると、明るい色とやや暗い色をしたものがある。これは少し前の雨の影響だろう。水分を含んだものが黒っぽく見え、乾燥したものは明るい色に見える。


よく見ると、幼虫の眼のまわりと肩~体側面のふちの偽装コーティングが落ちて「地肌」がわずかにのぞいていた。
これ↓は別個体。


ハリサシガメ幼虫がいるくぼみの土は乾いて明るい色をしているが、幼虫のすぐ上の石垣の間の土は(少し前に降った雨のせいで)濡れて黒っぽくなっている。


乾いた土の上にいたハリサシガメ幼虫。乾いた土粒をまとっているので隠蔽効果は抜群。


捕食後のアリなどもデコレーションしているので、「消化しきれずに排泄された昆虫の残骸が凝縮した鳥のフン」のように見える──とても生きた虫には見えない。昆虫食の天敵も、これには目をとめないだろう。
さて、それではまた別の個体↓。


このハリサシガメ幼虫は偽装デコレーションが黒っぽい。


体にまとった顆粒状の土の大部分が水分を吸って黒っぽくなっている。湿った部分が地滑り(?)を起こして体の右側に(画面の上の方へ)ズレているようにも見える。


これ↑は同幼虫を後方からとった画像。偽装デコレーションがズレたことで、普段かくれている腹の背面がのぞいていた。


画面右下に頭を向けている同幼虫↑。まとった土粒に、乾燥している(明るい)部分と濡れた(暗い)部分があるのがわかる。乾燥した土粒でおおわれた頭部はびしっと固められているが、湿った部分で化粧崩れならぬデコレーション崩れが起こった……!?
そういえば、1匹目の個体も眼の周りの露出した部分は湿っていた……。
「消える魔球は水に弱い!!」──は漫画『巨人の星』の花形満のセリフだが(古~)、「ハリサシガメ幼虫のカムフラージュは水に弱い」というセリフが脳内に浮かぶのであった。

ハリサシガメ幼虫が使う擬装用接着剤は水溶性!?

ハリサシガメ幼虫の偽装コーティングは、濡れると落ちやすいのではないか?
異物を体に付着させておくのに使われている粘着性物質は水溶性なのかもしれない。あるいは土の粒は、それ自体水分を吸うと形が崩れやすくなる・また、水を吸うとそのぶん重くなるので剥がれやすくなる──ということもあるのかもしれない。
偽装コーティングが水で落ちやすくなるのかどうか──先日みつけた《抜け殻》で試してみることにした。乾燥した状態のまま、ピンセットやブラシを使って付着物を取り除こうとしてみたが、なかなかしぶとく、この段階であきらめていたもの↓。


この腹の背面を水を吸わせた筆で拭いてみたものが↓。


濡らした筆で拭き始めると、泥の粒がどんどん剥がれていった。ただ、濡れた土粒は黒っぽくなってしまうので、拭いている時は黒っぽい体に溶け込んで見えにくくなる。いくらか取り残しがあるのは、濡れている時には取り残しに気づかなかった部分だ。
濡らしたことで抜け殻はへこんでしまったが、カメムシらしい腹をあらわにすることとができた。
偽装コーティングは水で落としやすくなることが確かめられた。
ちなみに、成虫はこんな姿↓。


石垣のすきまに隠れて交尾していたペア。背中を見せているオスの陰にメスがいる。偽装を解除した幼虫と親子(同じ種類)だということが、なんとなくわかる。



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コメント

No title
水濡れ注意物件だったんですね~
水溶性の接着剤というと、環境に優しい天然糊のようなものなんでしょうか。。
文具のでんぷん糊が浮かびました。。。
幼虫の体は初めからその天然糊みたいな物質に覆われているんでしょうか、
それとも。。分泌口から出ているのだったら、付けては体に載せる作業。。
またまた、その姿を想像して見ました。。R
No title
> 名もない小島さん

手間のかかったカムフラージュに使われていた糊はウォータープルーフではなかったようです。

それにしても、体中にこれだけのものを付着させている接着剤がどこから出てくるのか不思議ですね。口から出すのか? 尻から出すのか? 臭腺開口部から分泌されるのか? それ用の分泌腺が体中にあるのか?
素材をはりつけていく作業(プロセス)も見てみたいですね。
謎の尽きない昆虫です……。
No title
こんにちは・・・
先日から(粘着性物質?)を身にまとうカメムシ目として、ヤニサシガメが頭の中に浮かんでました。
考えてみればヤニは水溶性ですよね(?)
暮らしぶりは異なるとは言え、粘着性物質を身にまとってる同じカメムシ目!という点で・・・
その「粘着性物質は(水溶性)である!」は、正解であると想えてきました!

星谷仁さん「ハリサシガメ君!消える姿の弱点を見破ったり~~~!」
パコ~~~ン・・・(ホームラン!)と・・・
星谷さんの洞察力で、場外まで飛ばされたハリサシガメの幼虫の姿が、私の頭の中を駆け巡りました!!!☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

ヤニサシガメも粘着性物質を身にまとっているといいますね。これまであまり注目してきませんでたが、にわかにヤニサシガメにも関心が……。
ほかのカメムシたちとはずいぶん違うこのカムフラージュ方法をどうやって獲得して来たのか、そのプロセスも不思議ですね。

消える魔球の謎とハリサシガメ幼虫の謎が、ちょっとオーバーラップしてしまいました(笑)。
No title
ハリサシガメの幼虫はこうして擬態するんですね。これではちょっとみつかりませんね。カゲロウはごみをまとうのでにた習性ですが、すぐに見つけられるのですが、これは無理ですね。触角が目印でしょうか。研究熱心にナイス!
No title
> 四季の風さん

ハリサシガメの観察ポイントの石垣は、暑く(熱く)なると閑散としてしまうので、いるであろうその周辺を探してみるのですが、なかなか見つかりません……特に幼虫は動いていなければ見つけるのが難しそうです。
石垣の上では、それらしい大きさのかたまりを探し、触角があれば「当たり」──といった感じです。
No title
サシガメを石垣ではあまり見たことがないのですが、ハリボテが剥がれるのを防ぐためにも石垣のすき間にいるのでしょうか。
ますます興味が湧いてきますね。
No title
もうすでにご覧になっているかと思いますが・・・
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52082293.html
No title
> S-Birdさん

これまであまり石垣に注目してこなかったので、どんな虫がいるのかよく判りませんが……ここでハリサシガメ・チェックをするようなってから、石垣で見たカメムシは他にオオモンシロナガカメムシだけです。

石垣の隙間はウォータープルーフ仕様でないハリサシガメ幼虫にとっては良い隠れ家になっているのでしょうね。
この石垣の周辺にはアリの巣もあって、石垣の上を歩くアリもいるので、狩り場にもなっているようです。

紹介していただいたサイトは、ハリサシガメのことを検索していて閲覧していました。デコレーションのアリ密度が高いのにビックリ!

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