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ハリサシガメの抜け殻

焼けた石垣に出ていたハリサシガメ幼虫は…

7月最後の日、ハリサシガメ(*)を観察した石垣に行ってみた。前回・前々回の記事で成虫・幼虫それぞれ数匹を観察できた日は曇りで気温が低めだったのに対し、31日は晴れて暑かった。雑木林の南東側に位置する石垣は日向。夏の直射日光を受けた石垣は熱そうだ……触れてみるとプールサイドの焼かれたコンクリートのよう。これでは虫もいないだろう思って見て歩くが、やはりいない……。あれほど密度が高かったヒガシシニホントカゲも木陰部分でわずかに見られたていど。
「炎天下の石垣には出ていない」ということを確認する観察に終わったかに思われたが……そんな日向の石垣に出ている奇特なハリサシガメ幼虫を発見!?


とりあえず撮り始めるが……なんだかようすがヘン!? 不自然さを感じで棒でつついてみると反応せず、ポロッと落ちた。
「おいたわしや。お亡くなりになっていたか……」
焼けた石垣の上に出ているなんてヘンだと思った。しかし、せっかくだから、この死骸からゴミ偽装デコレーションを取りのぞいて本体の姿を確かめてみようと考えた。
このときは、てっきり《死骸》だと思い込んでいたのだが……実はこれ、(おそらく羽化後の)《抜け殻》だった。
それに気づかず、(わかりやすいように葉に乗せて)デコレーション解除前の姿↓を撮影。


触角や脚の一部が欠けていた。


獲物の死骸や抜け殻を背負ってカムフラージュする虫はいるが、腹面までしっかり偽装コーティングしている徹底ぶりに感心する。


大きさ的には終齢幼虫っぽい。


体中に貼りつけたゴミを取り除くのはやっかいそうなので、容器に入れて持ちかえることに。ゴミ偽装コーティングされていない眼は半透明なので、この時気づいても良かったのだが……まだ《死骸》だと思い込んでいた。

ハリサシガメ《抜け殻》の偽装をあばく!?



帰宅後、偽装デコレーションを取り除き始めるが……背中から大きな塊をいくつか剥がすと、ピンセットの先が前胸背面にスッと入ってしまった!?──陥没させてしまったかとアセッてよく見ると……セミの抜け殻等でよくみられる白い糸(気管の壁が脱皮したもの)が目に入り、中身はからっぽ!? ようやくこれが《死骸》ではなく《抜け殻》だったことに気がついた。 




この時点で背中のデコレーションはいくつか剥がしているのだが……それらの異物をしっかり付着させたまま、よく羽化(もしくは脱皮)できたものだと感心する。
さらに偽装をあばいて本体をあらわにしようと試みるが……抜け殻を壊してしまいそうで、なかなか作業ははかどらない。


翅の上の付着物はほぼ取れたが、腹にはまだ砂粒のようなゴミがだいぶ残っている。さらに少し砂粒(?)をとる……(が、ほとんど進んでいない?)。


あらわになった翅の大きさからすると、やはり終齢幼虫っぽい。これは羽化したあとの抜け殻だろう。


腹部背面を見ると中央にある模様にそって毛が生えているようだ。この毛は偽装素材を付着させるさいに粘着物質が絡みやすい(=剥がれにくい)ように──ということなのだろうか?
毛が生えた模様は、ふつうの(?)カメムシ幼虫では臭腺開口部(ニオイを放つ孔)にあたる部分っぽい気もするが……考えてみたら、ハリサシガメ幼虫は異物でしっかり被われていてカメムシ臭を放つことができるのだろうか? あるいは分泌される臭腺液に粘着性があって異物を貼り付けておくことができるようになったのではあるまいか?──などと想像してみたが、この考えは自分でもアヤシイ気がする……。


抜け殻から剥がしたゴミの中には素材同士が分離せずにくっついたまま塊になっているものがある。ということは、幼虫の体表面に偽装素材をつなぎとめておくしかけ(鉤状構造のようなもの)があるのではなく、粘着性物質のようなものが使われており、それが素材間でも接着効力を残しているということだろう。

展翅・展肢あるいは解剖に長けた虫屋さんならいざ知らず、そういった器用さを持ち合わせていない僕はここでギブアップ。クリーニング作業は中断したのであった……。
ハリサシガメは幼虫の手のこんだ偽装デコレーション・カムフラージュ(*)がアッパレだが、その姿をそのまま残した抜け殻も感心せずにはいられない。

【追記】その後、同抜け殻を濡らした筆でふいてみたもの↓


(※ハリサシガメ幼虫の粘着性物質は水溶性!?


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コメント

No title
こんばんは・・・
ワクワクしながら読み進めました!
抜け殻の姿は、まさにカメムシ目!と、見入ってしまいました(しっかり翅もありますね:当たり前のことですけど)
腹部背面の毛に興味津々です!
はがれた食べかすなどがくっ付いてるあたり、粘着性物質の利用が有力に想えてきますね・・・

根気のいる詳細な観察に、これまた感嘆のため息です・・・☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

もっとキレイに剥がしたかったのですが……ノウハウも器用さも持ち合わせておらず……とっちらかった感じになってしまいました。
それでも一応、カメムシの幼虫っぽい姿はなんとか垣間みることができました。

次は、どうやって偽装素材を貼りつけていくのか──その手順を見てみたい気もしますが……これは飼育観察しないと難しいかもしれませんね。
No title
眼や触角から足の先までこんなゴージャスな「着ぐるみ」の落し物を見つけたら
粘着物質の考察もせず、お宝ボックスに大事にしまい込みそうです(^。^)

落し物なので、ゆっくり考察しながら観察できますね、
あとは。。気になる素材の貼り付け方。。
偽装素材の盛りつけ方。。。ちょっと想像して見ました。。 (^.^;R
No title
> 名もない小島さん

僕も見つけた時点で《抜け殻》だと気づいていたら、そのまま観賞用に保存していたと思います。死骸だと思っていたので、どうせ腐るかアリの餌になるのだったら偽装解除して本体を確かめてみようかと。
まさか抜け殻が、こんなに《偽装幼虫そのまま》の形できれいに残るとは思ってもみませんでした。
No title
幼虫の形、いまいちわかりませんでしたが、今回の写真でよくわかりました。
No title
> 佛生山孝恩寺さん

本当はもう少しきれいに付着物を落としたかったのですが……これ以上は抜け殻を壊すことになりそうなので、あきらめました。
しかし、よくここまで偽装コーティングしたものだと、あらためて感心します。
No title
虫の生き抜くための知恵には感心させられてしまいます。こんな立派な着ぐるみを着ていたのですね。戦うための鎧のような気さえします。幼虫そのままで脱皮して成虫になるものもあれば、このように立派な鎧を作るものもあるのですね。何齢くらいからゴミを付着するようになるのでしょうか。この抜け殻だけでどのくらいの重さがあったのでしょう。興味はつきません。
No title
> S-Birdさん

僕が見た幼虫は大きさから、おそらく終齢幼虫だろうと考えていますが、偽装コーティングは幼虫時代通してものだと思っていました。特に理由はなく、幼虫時代の特徴として継続しているのだろうという想像に過ぎませんが……。
終齢よりも前のステージ──小さな幼虫も探してみたいと思います。

他のサシガメはこんな「ゴミの鎧」を着なくても立派に(?)やっていけるのに、どうしてハリサシガメはこんな特徴を獲得したのか……その辺りは興味深いですね。

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