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昆虫は「1匹」or「1頭」?…助数詞について

昆虫は「1匹」なのか「1頭」なのか……助数詞について

昆虫の数を記すときの助数詞(数のうしろにつけてその類別を表す語)は何が適切なのか、たまに話題にあがることがあるようだ。正式(?)あるいは業界オフィシャルな決まりがあるのかどうか僕は知らない。虫屋さんはよく《頭(とう)》を使っているようだ。僕は虫屋ではないので、基本的には《匹》を使う。

ものにはそれぞれ数え方に対応する助数詞があるというのは、それなりの趣(おもむき)がある。が、その一方、ややこしい。

僕は何かについて記すとき、多くの人が理解できる表現であることが好ましいと考えている。もちろんケースバイケースだが、基本的には趣(おもむき)よりも平易さを優先させる。「動物を数えるさいの助数詞は《匹》」としておけば一般的で判りやすい──そう考えて「匹」を使うことが多い。
国語的にはどうなのかわからないが、僕は次のような理解でいる。

●数えられるものは「1個・2個……」と《個》で表記できる。
●数えられるものの中で、動物については《匹》で表記するのが一般的。
●鳥類は《羽》が使われるのが一般的。
●ヒトは《人》が使われるのが一般的。

一般性を考えると、このくらいが妥当なところではないだろうか。
ちなみに人は「1人・2人……」と《人》を使うのが一般的だが、《匹》や《個》で数えても間違いではないというのが僕の認識だ。ヒトも動物であり、ヒトを含めた動物も「数えられるもの」だからだ。昆虫を「1人・2人……」と数えるのは間違いだが、ヒトを「1匹・2匹……」あるいは「1個・2個……」と数えることは間違いではない(同様に鳥類を《匹》や《個》で数えても間違いではない)──個人的には、そう考えている。
これには違和感を覚える人も多かろうと思うので、もう少し詳しく説明する。

ヒトという存在は包含関係で言うと──、


物体⊃動物⊃ヒト

であり、これに対応する助数詞が

《個》⊃《匹》⊃《人》

と考えるのが合理的で判りやすい。
仮に「ヒトを《匹》や《個》で数えるのは間違い」だとすると──、「動物は《匹》」という基本ルールの明確性が損なわれ「ヒトを除いた(あるいは鳥類の《羽》や魚類の《尾》その他もろもろの助数詞があるケースも除いた)動物を《匹》とする」と例外を設けなければならなくなり煩雑化する。
例外の少ない、よりシンプルで判りやすい基本ルール(普遍性が高いルール)がベター──合理的(適切)なはずだ。とすれば、「動物は《匹》」「数えられるものは《個》」というシンプルな原則である方が望ましい。
煩雑な助数詞にも趣があるのは理解できるし、そんなものは無くせというつもりもないが……平易な適用も「可」とされるべきだろう。厳格な適用にこただわり、そうでないものを「不可(間違い)」扱いとして認めない決まりがあるとすれば問題だと思う。

例えばあるエリアで確認された生き物を列挙するようなとき──、

昆虫……○頭
魚類……□尾
鳥類……△羽
タコ……▽杯
カニ……◎匹
ヒト……■人

というように助数詞が不統一であるより「匹」でそろえた方が見やすく統一感がある──という美意識もあっていいような気がする。単位を揃えるようなものだ。

ところで「数えられるもの」でありながら、使用単位が複数というものもある。
箸は2つそろって「1膳」だし、靴は左右計2つで「1足」、手袋なら同様に「1双」……etc.。それぞれに対応する助数詞はあるが、これらは「組」「セット」でも通用する。一般化して適用できる助数詞があった方が使い勝手が良いし、おおむねそうなっているのではないかと思う。
箸も靴も手袋その他も《組》もしくは《セット》で表せば都合が良いように、動物も、とりあえず(?)《匹》としておけば通用するとしておけば利便性が高まる(鳥類は習慣的に《羽》で記すことが多いが)。

動物の場合は《匹》の他に《頭(とう)》もよく使われるが……例えばヒトデなどは頭が無いのだから、《頭》より《匹》が妥当だと思う。
爆笑マンガ『日本人の知らない日本語』(外国人に日本語を教える日本語学校教師の体験を原案とする漫画)では、外国人生徒が「キングギドラは頭が3つあっても1頭ですか」と質問するシーンがあって大いにウケたが、そういった例(?)も含めて、動物全体に適用できる助数詞としては《頭》よりも《匹》の方が一般的で違和感がないのではないか──と考えるしだい。

余談だが、僕は以前、フェレット(家畜化されたケナガイタチ)を飼っていたことがあるが、フェレットの飼い主さんたちの間では愛情を込めて(?)、「1本・2本……」とフェレットを《本》で数える向きもあった。フェレットの脇の下に指をいれて持ち上げると、でろーんと脱力して伸びた体は意外に長い。そんな特徴をとらえて、長いものを数える時の助数詞をあえて用いるようになったのだろう。こうした使い方もあって良いと思う。固有の助数詞を尊重するのは悪いことではないが、運用に排他性を持たせるのは好ましくないと僕は考えている。
趣のある助数詞で呼ぶこともできれば、平易な助数詞をあてることも可──フレキシブルであっていいのではないかと思っている。

というわけで、動物を記す際の平易な助数詞として僕は基本的には《匹》を使っている。僕はそうしているというだけの話で、これが正しいとか、他の人の助数詞の使い方をとやかくいうつもりはない。


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コメント

No title
大きな蛾を数えるのに、ブログにupするときは緊張して「頭」で表記するようになりましたが、これを読んで、これからは気楽に「匹」で。
あ、その日の気分で、蛾を「人扱いする」癖はなおりそうにありませんです。
No title
> 名もない小島さん

動物(無脊椎動物も含む広い意味で)には《匹》をつけておけば通用するだろうという個人的な見解で、基本的には《匹》を使っています。

>あ、その日の気分で、蛾を「人扱いする」癖はなおりそうにありませんです。

フェレットをあえて《本》で数える人たちもいるし、それも良いのではないかと。
以前、フェレットを散歩させていると、あるていど大きな子は「何?」と訊いてましたが、小さな子は「誰?」と言ってました(笑)。小さな子も物と生き物をちゃんと分けて認識しており、あえて「誰」という言葉になったのだなと思い、それなりに納得できるところがありました。
No title
こんにちは・・・
随分悩んだんです。虫の数え方の単位を!
「蝶は頭で!甲虫は匹かしら?」とか・・・
ですから、ブログにも数が書き辛くて!何故って、助数詞が解らなかったからです。(正直言って避けてました)

素人の私が意味も解らず(頭)は、流石にオカシイでしょう!?とか・・・

で、観念して(虫の数え方全てを匹で表す事に決めました)

聴けば、虫の数え方(助数詞)は正式には決まってないそうですね!(違うのかな?)
プロの方は、(一個体、二個体・・・)等の呼び方をされるそうです。

にしても、星谷さんの思考の整理、表現能力の高さには驚かされるばかりです・・・
只々、そればかりを想います!!!☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

僕も正式な(?)数え方を知らず、昆虫学界(?)のオフィシャルな決まりがあるのかどうかも知らないのですが……僕はただのシーロトだし(専門的な場で発表するわけでもないし)、シロートの感じたり考えたりしたことをシロートが判りやすい形で記すのが良いだろうということで。

虫屋さんが「頭」をよく使うことは知っていたのですが、「頭」と「匹」を使い分けたり、入り乱れたりするようだと、かえって混乱するので、僕が記す時は(独断で)「匹」に統一しておこうと考えた次第です。とりあえず「匹」にしておけば、一般的には違和感はさほどないのではないかと思っているのですが。
No title
はじめまして。かな?
頭は慣用的な使い方だと思います
スラングが定着して虫屋さんは使っているのだと思います
もともとは外国の動物園で生物をheadと数えていたのをそのまま直訳しちゃったらしい、、、ほんとかわからないですが(^^)

クワガタをやってるときはヒラタ、オオ、ミヤマなんかで、大きい・・・というのを表現するのになんとなく使っていたのも事実ですが、小型種をやり始めると違和感があり、つかってません。
カミキリは天『牛』なんですけどね;^_^A使う人は使ってますね

採集、標本屋さん的には1ex.をオススメします、♂♀関係ないし同定も曖昧なときに~みたいなの3ex.(^^;;で逃げられます
No title
私もずいぶん悩みました。今も悩んでます。
同じく素人なのであえて全ての虫に匹を使っていました。
もちろん蝶にも匹でした。
「頭ですよ。」とご指摘していただきました。
匹でとおすかいなか悩んだ結果、今は蝶は頭、それ以外は匹で表しています。
それが正しいのかどうかは分かりませんけどね!
No title
> kai*to*001さん

標本などには正式な作法があるようですね。ただ「1ex.」は一般的にはあまり馴染みがない(と感じる)ので僕が使うことはないでしょう。
僕は一般のヒトなので一般の人のわかる平易な表現で記したいという気持ちがあります。

昆虫の助数詞については、チョウやカミキリで「頭」が使われていたのは知っていたので、当初は「匹」とどちらを使ったものかor使い分けたものか、ちょっと戸惑ったのですが、記したような理由で僕は「匹」を使うことにしています。個人的にはそれでスッキリできたと思っているのですが。
No title
> ピンちゃんのママさん

ときどき、昆虫をどう数えるのか助数詞について迷っている(?)というような記事を目にします。
業界のしきたり(?)のようなものはあるのかも知れませんが、僕は既存のしきたりより、合理性・妥当性を優先させて考えるので、記したような理由から「匹」で統一しています。

余談ですが、以前、年賀状についてのしきたりを記したニュースを読んで、強く違和感を覚えたので記事にしたことがあります。

●年賀状について
http://blogs.yahoo.co.jp/ho4ta214/33955931.html

あくまでも、僕個人の判断ですが……あまり「しきたり」にはこだわらず、自分で妥当性が高いと思う判断を選択することにしています。
No title
虫を数える時、何も知らず子供の頃から「匹」で現在まで来ました。ブログ開始に当たり「正式な呼び方はあるのだろうか?」と検索してみると「一般的に頭と数える」事を知り以来(とても素直に)使う様になりました・・・が、星谷さんのブログを読み気が楽になりました。
No title
> skittoさん

何も知らなければ、ふつうは「匹」を使いがち(使っていがち)ですよね。僕もそうでした。その後、虫屋さんはよく「頭」を使っていることを知ったのですが、僕は虫屋ではないし、虫屋さんのしきたりにはこだわらず、自分なりの判断で「匹」を使っています。

虫屋さんたちが使う言葉には、一般的になじみがないものも多く、「ギャルが(仲間内だけに通じる)ギャル語で話している」ような印象を受けることがあって、僕は(虫屋ではないので)、なるべく一般の感覚で表記をしたいと思うようになりました。それで「匹」を使っていたりします。といっても、「頭」もよく使われているし、それでも問題はないとも思いますが。
No title
おはようございますm(__)m
私もクセで、頭をよく使います。
しいて言えば、成虫には匹を幼虫には頭を使うことが多いです。
No title
> すぬーぴーさん

昆虫をやっている人で「頭」を使う人は多いですね。成虫と幼虫で呼び方を変えるというのは、ちょっと面白いと感じました。助数詞には、使うにふさわしいイメージのようなものがあるのかもしれませんね。

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