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牙があるマツトビゾウムシほか

するどい牙があるマツトビゾウムシ



するどいカギのような牙状の突起をもつマツトビゾウムシをみつけた。よくみかける温和な表情とはひと味違う意外な姿! この牙状突起はやがて脱落する大顎の一部だそうで、蛹室から地上へ出るさいの土掘りに使われる器官だと考えられているらしい。羽化して間もない新成虫の時期にしか見ることができない、期間限定盤(?)の脱落性牙状大顎突起をよく見てみたいと思い、この時期、注意して探していた。先日みつけた個体(*)では、牙状突起は片方だけしか残っていなかったが、今回みつけたのは両方ちゃんと残っている個体だった。本当はもっと色々な角度からアップを撮りたかったのだが、動きまわるのでままならず……とりあえず撮れた画像の中からいくつか。










今回あらためて牙状突起を見て感じたのは……これでは(こんなものがついていたのでは)餌を食うさいにわずらわしいだろうな──ということ。羽化して地上に出た後に落下するのもうなずける。不要というより、むしろジャマな器官に見えなくもない。
そんな器官がなぜついているのか──というのが興味のあるところだが、羽脱後に脱落することから《蛹室から地上へ出るさいの土掘りに使われる》と考えられているらしい。ふだん普通に見かけるマツトビゾウムシにはこの牙状突起はついていない。脱落の過程で牙状突起が片側だけ残っていた個体↓。


この画像↑は【マツトビゾウムシの牙・早春のゾウムシ~ど根性蛹】より再掲載。
そして、牙状突起が両方とも脱落した後のマツトビゾウムシ↓。


ずいぶんスッキリした感じがする。これが成虫の本来あるべき姿なのだろう。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説によれば《(ゾウムシ>短吻類は)羽化直後の成虫は大あごに長い牙(きば)状の付属突起があって、蛹室から地上へ出る土掘りに役だつ。地上へ出た成虫は、植物を強くかんでこの牙状突起を落としてしまう》とのことだが……今回、マツトビゾウムシの牙状突起を眺めてみて、《蛹室から地上へ出るさいの土掘りに使われる》という解釈にはいささか違和感を感じた。
僕は素人でクチブトゾウムシ類(口吻が短いタイプのゾウムシ)の生活史もよく知らないのだが……あらためて感じ・考えたことを記してみる。例によってド素人の想像に過ぎないということで。

牙の役割り:牙状突起は過形成されたプルタブ?

羽脱のようすを観察したことがないので何とも言えないが……牙状突起の形状が《蛹室から地上へ出るさいの土掘りに使われる》のにふさわしい形だとは思えない気がするのだ。

・穴堀用の器官であればヘラのような形状がふさわしい(のではないか)。
・蛹室を壊すためならニッパーのような形状がふさわしい(のではないか)。
・大顎を閉じた時に大きく交差する牙は構造上「噛む」目的としてはふさわしいとは思えず、(何かをくわえ噛むことによってこの器官を)「外す(脱落させる)」ことを目的とした造りのようにも見える。適切な例えではないが……牙状突起はプルトップ缶容器のフタを「外す」のプルタブ(引き金)のような──あるいはアンプル容器ののキャップのような、「外す(脱落させる)ための足がかり」なのではないか?

牙状突起は大顎の一部らしい。幼虫時代の大顎から成虫の大顎に作り変えられる時に(蛹の時期に)、本来ならアポトーシスで消失すべき部分が、何らかの理由で逆に過形成され、不要な(ジャマな)部分がとれやすい形になったのではないか?
大顎を閉じた時に深く交差する牙は、何かをくわえて(はさんで)噛む(力を加える)ことでポロッと脱落しやすい構造のような気がする。アポトーシスで消失できなかったものが、大きなかさぶたのように(?)落ちる──そんな形で処理されているのではないか?
もちろんこれは個人的な想像に過ぎず、本当のところはわからないが……牙状突起を改めて見て、そんな可能性を想像してみたしだい。

ミヤマシギゾウムシほか

このところ寒暖の変化が激しかったが……暖かい日には擬木や柵で小ささな虫たちが見られるようになってきた。




擬木の上にいたミヤマシギゾウムシ。歩き回ってなかなか撮らせてくれないことが多いのだが、このときは「く」の字の触角をたたんでじっとしていた。そこで1円玉を横において大きさ比較↓。


このショットのあと、いつものように動きだしてしまった。
これは別の個体↓。やはり擬木の上にいた。


擬木の上を歩き回るミヤマシギゾウムシだが……擬木の上にはハエトリグモやサシガメの姿もあって、なかなかデンジャラス。


初めてミヤマシギゾウムシを見た時は、その小ささに驚いたが……ゾウムシの仲間にはもっと小さいのが、けっこういたりする。


これ↑はコゲチャホソクチゾウムシだろうか?
鉄柵には緑色のちょっとキレイなゾウムシがとまっていたので撮ってみた。




ゾウムシのように口吻が長いが……これ↓はチョッキリだろう。


カシルリチョッキリも擬木の上にいたのだが、動き回り支柱を降りようとしたので指でブロック──すると、その指を登ってきた。爪と比べると小さいのがわかる。
小さい昆虫と言えばアリを思い浮かべがちだが……そのアリの中でも小さめのアリ──に見える甲虫類↓




アカホソアリモドキの♂は上翅に小石がめり込んだような凹みがあるのが特徴(♀にはない)。
他にも小さな昆虫は色々見かけるが、マルトビムシもその1つ↓。


擬木支柱のフチにとまっていたトビイロツノゼミ↓。


チョウの姿もみかけるようになったが、すぐ飛ぶのでスルーしがち……。擬木の上で翅を開いていたヒオドシチョウが近づいても動かなかったので撮ってみた↓。


こんな昆虫達の姿に春の始動を感じる今日この頃──。


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コメント

No title
こんなキバのあるゾウムシ、はじめてみました。
No title
こんばんは・・・
マツトビゾウムシの牙状突起がポロッととれるその真実の意味を探りに、タイムマシンに乗ってみたく成りました!

過去には、現在の姿の祖先と思われる動物も居たようですね?牙が付いたサーベルタイガーなんて生物もいたとか?
サーベルタイガーの牙は?マンモスの牙は!?・・・
先日のタイムマシーンの逆バージョンで、過去に向かって生物の進化の不思議の旅をしてみたく成りました。

・・・アカホソアリモドキと言う虫「まるでアリの様で面白いですね!」とても興味をそそられました・・・
(私には、とても見つけ出せそうにありません)
・・・緑色のゾウムシやマルトビムシの一種の色彩、模様、造形も非常に魅力的ですね!!!☆
No title
いやー今回はスゴイ数ですね!撮影の苦労が忍ばれます。これから忙しくなりそうですね(^_^)
No title
> 佛生山孝恩寺さん

以前、何気なく撮っていたマツトビゾウムシの画像をパソコンで見て牙が写っていたのに気づいてビックリしました。新成虫の一時期、こんな牙状突起を付けていると知って、その時期には気をつけていたのですが……ようやく待望の個体に出会うことができました。
その割には、希望のアングルでなかなか撮らせてもらえませんでしたが……とりあえず、牙状突起があるのが分かる程度には撮れたので、とりあえずよしとしました。
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

マツトビゾウムシ(あるいはクチブトゾウムシ類)が羽化~地上に出てくるまでと、牙状突起がとれる(落とす)瞬間は観察してみたいですね。

タイムマシンは色々なストーリーで描かれていますが、生物学者だったら色々「確かめてみたい」ことがありそうな……。

アカホソアリモドキは、肉眼で見た目は小さなアリっぽいのですが、一度見破ると(?)、次からはアカホソアリモドキだと分かります。甲虫とアリではずいぶん違う印象を持っていましたが、にもかかわらず似ているのが面白いですね。
No title
> skittoさん

マツトビゾウムシは待望の牙つき個体を見つけることができ、それなりにキアイを入れて撮ったのですが……動き回るので、なかなか希望のアングルで撮らせてもらえませんでした。昆虫撮影は失敗のくり返しですね。

寒い日は閑散としていましたが、暖かい日には色々な種類が出て来るようになって……最近は日によって撮影枚数にかなり格差があります。

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