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『タイム・マシン 特別版』感想


 
現行の放送を受信できるテレビを僕は持っていない。テレビ放送が地デジ化へ移行し、アナログ放送が終了したのを機にテレビから離脱している。
あれからどのくらいの時間が経過したのであろうか……。最近のテレビ番組は見ていないのでさっぱりわからない。年末に発表される流行語大賞など、「何それ?」状態で、なんだか浦島太郎にでもなったみたいな気がしないでもない。

今更テレビ復帰したいとは思わないが……昔、テレビで観た映画などで、また観てみたいと思うものはある。その1つが1960年に製作されたアメリカ映画の『The Time Machine』──H・G・ウェルズの古典SF小説を映画化した作品で邦題は『タイム・マシン 80万年後の世界へ』だった。
子どもの頃にテレビで放送された本作を見て、熱中した記憶がある。後に何度か観ているのだが、久しぶりに『タイム・マシン 80万年後の世界へ』を観てみたくなった。検索してみると『タイム・マシン 特別版』というDVD商品が安価で出ていた。ちなみに2002年に『タイムマシン』というタイトルでリメイク映画が製作されているが、こちらはひどい出来だったので、『タイム・マシン 特別版』が1960年版の方であることを確認して購入した。この商品には『タイム・マシン 80万年後の世界へ』本編102分に加え、映像特典で、メイキング・ドキュメンタリーが48分、オリジナル劇場予告編の映像が2分半程収められていた。

『タイム・マシン 80万年後の世界へ』のストーリーをかいつまんで説明すると──、
冒頭、発明家ジョージの招待を受けた友人たちが彼の家に集まる。ところがホストのジョージがいない。客人達は怪訝がりながらも、数日間行方知れずというジョージ抜きで夕食会を始めようとしていた。そこへ突然ボロボロになったジョージが現れる──このただならない導入部でグッと心をつかまれる。
彼はどこから帰還したのか!? 彼の身にいったい何があったのか!?

「タイムマシン」というアイディアもさることながら、この謎めいたドラマチックな導入が良い。ただ単に「タイムマシンを発明して時間旅行に旅立った」という展開では、この面白さはでなかったろう。
疲れ果てたジョージは友人らに、時間軸を自由に移動できる装置──タイムマシンを発明し、時間の旅をしてきたことを話し始め、彼の回想でドラマが展開する。

タイムマシンの試運転で初めてジョージが降り立ったのは17年後の世界だった。そこで彼は成長した友人デビッドの息子に会い、デビッドが戦死したことを聞かされる。その後も人類の戦争の歴史は後を絶たず、ついに核戦争が勃発。それが引き金となり天変地異が起こりタイムマシンは長い間溶岩に閉じ込められてしまう……そして次にジョージがたどり着いた先は80万年後の世界だった。
そこは自然に囲まれた楽園のような世界で、イーロイと呼ばれる未来人がおおらかに暮らしていた。戦争から解放されたユートピアのようにも思われたが……彼らは無関心・無意欲で文明は崩壊していた。人類は長い戦争の末、地下に潜ったモーロックと地上に残ったイーロイの2つの種族に分かれ、イーロイはモーロックの家畜として養われ、食われていたのだ。
溺れかけところをジョージに救われたことからジョージに関心を示すようになったイーロイの娘ウィーナもモーロックに捕われてしまい、ジョージは彼女や捕われたイーロイたちを救出するためにモーロックの巣窟に乗り込む。
モーロックとの壮絶な闘いの後、ウィーナとも生き別れとなりながら、ジョージはタイムマシンで現在の世界に帰還することができた……。

ボロボロになって帰還したジョージから突飛な体験談を聞かされた友人達は、にわかには信じられないといった反応を示す。ジョージはウィーナからもらってポケットに入れておいた花をとりだす──それが未来から持ちかえった唯一の証拠だった。
友人達が帰った後、ジョージは未来再建のため、ウィーナのいる世界へ再び旅立ってしまう。

この作品を初めて見たのは小学生の頃──スリリングな展開に引き込まれ、若き発明家ジョージの活躍を息をのんで見守った。

人類の未来は輝かしいものだ──科学が発達して高度な文明を築いているだろうと漠然と思い描いていたが、『タイム・マシン 80万年後の世界へ』では文明は崩壊し、人類は人食い人種に成り下がっていた──この展開は意外でショッキングだった。「タイムマシン」「未来世界の意外性」というアイディアがこの物語の核になっているが、映画(映像)の魅力として、タイムマシンのデザイン・造型の秀逸さや、「止まったまま、時間の中を移動する」という概念を視覚的に分かりやすく表現した特殊効果の素晴らしさがあったように思う。今でこそタイムマシンはよく使われるSFツールだが、当時はまだ未知の概念だったろう。誰も見たことが無いものを想像力の力で具現化してみせたスタッフの功績は称賛に値する。この作品はアカデミー特殊効果賞を受賞している。

DVD『タイム・マシン 特別版』で久しぶりに『タイム・マシン 80万年後の世界へ』(1960年製作)を堪能することができた。ところで、この商品には映像特典として『Time Machine:The Journy Back』という48分ほどのドキュメンタリーが収録されている。『タイム・マシン 80万年後の世界へ』で若き発明家を演じていたロッド・テイラーが案内役をつとめ、映画製作の裏話などを紹介したものだ。最後には『タイム・マシン 80万年後の世界へ』後日談のショートドラマも含まれている。この『Time Machine:The Journy Back』が製作されたのはなんと1993年──本編『タイム・マシン 80万年後の世界へ』から33年も経ってのことである。本編を観たあと続けて『Time Machine:The Journy Back』を視聴したのだが……「33年後のロッド・テイラー」を見て「時間(の経過)」というものを改めて実感した。
「本編の《80万年後の世界》」はフィクションだが、「ロッド・テイラーの《33年後の姿》」はリアルだ。映画の中では時間を支配する若き発明家だったロッド・テイラーも時間(老化)の支配を免れることはできず……玉手箱をあけてしまった浦島太郎状態!? そしてドキュメンタリーでは、老けたとはいえ元気だったロッド・テイラーも昨年(2015年1月7日)84歳で亡くなっている。
『タイム・マシン 特別版』で、本編と映像特典を続けて見たことで、はからずしも(?)あらためて「時間」について色々感じたのであった……。

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コメント

No title
田舎出身の私は、たびたび映画を見る機会も無く、ひたすらTVのロードショー番組に頼る学生時代でした。
その際、解説者(淀川さん)の映画の解説が非常に楽しかった事を覚えてます。

・・・非常に解りやすい星谷さんの解説に!
その頃の自分を思い出しました・・・
まるで映画を観てるかのように、ゾクゾクワクワクさせられました・・・
ロマンチックと言うより、切なさの残るラストシーンだったのでしょうね?記事で、十分映画を堪能できた想いです!!!☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

僕も、もっぱらテレビで映画を見たクチです。

本来、映画は劇場の大画面で鑑賞するのが良いのでしょうけど、テレビ放送も味がありましたね。
解説も楽しみでしたが、吹き替えが、味気ない字幕よりしっくりくることも多くて、クリント・イーストウッドなら山田康雄、ジュリアーノ・ジェンマなら野沢那智の声の方がむしろオリジナルっぽく記憶されていたりします。

映画鑑賞すると、映像の中の役者さんは歳をとらない昔のまま……そして観ている方も、かつてみた当時の気持ちが蘇って、ちょっとしたタイムトラベル気分になれる気がします(笑)。
No title
「タイム・マシン」のあらすじに引き込まれました。“猿の惑星”などもそうですが人間の愚かさを示唆的に描いた内容が多い様に感じます。私が映画を見た年代は高校から20代まで、以降は現在まで遠退いてしまいました。スパルタカス・ベンハー・エルシド・アラビアのロレンスなどなど、デジタル加工全盛の今では考えられないスケールの映画でした。映画批評も客観性や辛口もなくなり「絶賛」ばかりの映画で見に行く気になりません(笑)
No title
> skittoさん

SFXやCGなどの進歩で映像技術は進歩しましたが、昨今それに頼りすぎているのではないかという気がする作品も多いような気がします。ドラマチックでスリリングに見せるというのは映像技術より心理効果によるところが大きい気がしますし、そういった意味では映像技術が(今に比べれば)未発達な昔の作品の方が、むしろ心に響く物語・演出をしっかりしていたのではないか……と感じることもあります。

映画・小説その他のエンターテイメント・芸術の分野では、消費者の指標・案内役としての適切な批評がもっと必要なのではないかと思うことがあります。太鼓持ち評だけではダメですね。
No title
こんばんわ。
実に秀逸なあらすじ(文章)で、引き込まれました!!
この作品、1回は観ているハズなのですがDVDを買って確認したくなりました。
ただ、買うほど思い入れは無い気がしますので(困笑)。
No title
> 124090_560TEさん

見どころは色々あるのですが、かなりはしょって大筋を要約してみました。
1回見る(確認する)だけならレンタルできればそれで済むかもしれませんが……僕は手元に置いておきたかったので購入しました。けっこう安かったですし。
初めて見た時、タイムマシンがカッコ良かったのが印象に残りましたが、今みても、あのデザインは秀逸ですね。

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