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2月の極小カミキリ~マエムキダマシ

今年初のカミキリ:ヘリグロチビコブカミキリ



体長4mmほどのこのヘリグロチビコブカミキリが今年初のカミキリとなった。この日、ギボッチ(擬木ウォッチ)コースをご一緒したカミキリ屋さんが見つけたもの。昨年も一昨年も1月にヘリグロチビコブカミキリとキボシカミキリを見ている(【新年初カミキリ他】【新年2種目天牛はキボシカミキリ】)のだが……今年は2月も後半になって、ようやく1匹目。例年に比べ出会いが少ない。
個人的には《冬のカミキリ》というイメージのあるヘリグロチビコブカミキリだが、今シーズンは11月に1匹目をみつけ、さい先いいと思いきや……12月半ばに2匹目を見たきりで、1月はなんと0。今回の個体が今シーズン3匹目だった。
この極小カミキリとの出会いが少なくなったのは、ギボッチ・コースのフェンス際にあった発生木とおぼしきミズキが伐採されてしまったこともあるだろう。


発生木だったのではないかと思われるミズキの伐採あと↑。以前はこの近くでしばしばヘリグロチビコブカミキリが見られたのだが、伐採後はさっぱり……。
もちろん他でもどこかで発生しているのだろうが、この極小カミキリを目視で見つけるのは擬木や欄干等の人工物でないと難しい。発生木がフェンス際であれば、付近の擬木や欄干にとまる可能性が高くなるので発見率も高くなる。そうした条件の良い場所にある発生木が切られてしまったたことで以前より発見率が落ちたのだろうと想像している。このミズキはGW頃にはヨコヤマトラカミリやトウキョウトラカミキリなども訪花していたので残念だ。
以前は遊歩道脇の木の枝が天然のアーケードのように頭上に張り出していて、(そこから落ちた虫が這い上がってくるので)擬木の虫も多かった。しかし最近は張り出した枝が切られたり、フェンス際の木の伐採も進み、緑地管理が過剰になってきた気がする。


こうした影響で、擬木などで見られる虫も減ってきた感じがする。


この周辺は「いい感じ」の桜の古木が多いのだが、そろそろ寿命ということもあってか、かなり伐採が進んでいる。ここ↑では古木が切られる前には周辺の擬木などでシモフリトゲエダシャクが見られたが、伐採後、昨シーズン・今シーズンと♀の姿は見ていない。
以前フユシャクがよく見つかったサクラッチ(桜ウォッチ)コースも伐採や枝打ちが進んでからは不作で、昨冬もそのことを記している(【桜ッチは不作~謎のフユシャク!?】)。しかし今冬は更に虫が少ない。
今冬は年が明けてからも擬木周辺の落葉の撤去作業が執拗に続いていて、その過程で擬木の虫もエンジンブロワーで吹き飛ばされているらしい。落葉のシーズンに路面の落葉を撤去するのは仕方が無いないとして……真冬に植込みの中にある落葉までかき出して撤去していく必要があるのだろうか。


こんな作業↑(植込みの中の落葉をわざわざ歩道にかきだしたところ。この後落葉は運び去され、エンジンブロワーで残されたゴミを飛ばして仕上げ)が年明けもずっと続けられている。擬木ぞいの植込みでも落葉が撤去されたことで、落葉の下で越冬していた虫たちもごっそり処分されてしまったことだろう。
植込み内に残された落葉など人の邪魔にはならないし、植込みにとっても霜よけになるだろうから残しておいて良さそうな気がする。落葉は放っておけば土壌生物が分解し土に返る。植込みの養分として再利用・有効活用されるのではないか? 冬はよく野鳥達が植込みの中で落葉を掘り返している姿を目にするが、野鳥のエサ場としても役割りを果たしているのではないかと思う。
近年、緑地管理が過剰になってきたと感じてはいたが……こうなると「過剰」というよりはもはや「無駄」──わざわざ予算をつぎ込んでする作業なのだろうかと首を傾げたくなる。
いずれにしても、こんな状況なので、今冬は擬木上の虫が極端に少ない。以前は冬でもテントウムシやゾウムシ、ゴミムシ、ハネカクシ、カメムシ、コミミズク幼虫、クサカゲロウ幼虫、ヒラタアブ幼虫その他諸々の極小昆虫やクモなどが色々見られたが、今冬の擬木は閑散としている……。

そんなわけで最近は、これまでのギホッチ・コースやサクラッチ・コースとは違うポイントで見つけた虫の割合が増えている。

2月後半の昆虫

この時期の昆虫といえば、♀の翅が退化したフユシャク(冬尺蛾)。シロフフユエダシャクは、相変わらずよく目にする。


ガートパイプにとまっていたシロフフユエダシャク♀↑。よく擬木や支柱の上面ふちにとまっているが、こうした段差やちょっとしたくぼみにいることも少なくない。


木製の手すりのビスを打った凹みに隠れて(?)いるシロフフユエダシャク♀↑。
フユシャク亜科の♀は、産卵後の腹が凹んだり縮んだりした個体の割合が増えてきた↓。


この個体↑は状況からクロテンフユシャクの♀ではないかと思う。やはりクロテンフユシャクではないかと思わせる♀の産卵前の姿↓。


フユシャク亜科の♀はその姿から種類を特定するのが(僕には)難しいが、桜並木ぞいのフャンスで、これまでウスバフユシャクのペアや単独♂をいくつも見ていることから、これ↓はウスバフユシャク♀だと思う。


前の記事で紹介したヒロバフユエダシャク・シロトゲエダシャクは、その後♀の姿はなく、目につくのは飛翔できる翅を持つ♂のみ。


桜の幹にとけこみ意外に目立たないヒロバフユエダシャク♂↑。
シロトゲエダシャク♂はカエデの幹で、白っぽい模様(地衣類?)にまぎれていた↓。


シロトゲエダシャク♂は擬木にとまっていると目立つが、擬木に溶け込んでいる蛾も……↓。


シロテンエダシャクは早春の蛾。フユシャクではなく、♀も♂同様の翅を持っている。この個体↑は上翅の「白点」模様が不鮮明だったので、もう少し「白点」が判りやすい別個体↓。


他にも早春の蛾が色々出始めている。最近みかけるようになった小ぶりだがキレイなナミシャク↓。


毎年、冬から春に移り変わる頃よく目にする蛾。緑色がキレイにでた個体が僕の好みだが、体色はいろいろ。ウスベニスジナミシャクではないかと思うが、シロシタコバネナミシャクという似た種類がいて僕には区別がつかない……。
やはり緑色がキレイな蛾がいたので撮ってみた↓。


調べてみるとアカモンナミシャクのようだ。サクラの幹にとまっていたが、幼虫の食植物はシラカシらしい。これも早春の蛾。

マエムキダマシなクロスジホソサジヨコバイ

今冬は擬木の虫が少ないので、昨冬クロスジホソサジヨコバイを撮ったシャクナゲをのぞいてみた。




これ↑は通常の葉の裏側から見たところ。葉を裏返し順光で撮ると↓。


順光では本物の脚がハッキリ見えるが、葉の裏にとまっているときは葉の透過光に溶け込んで脚は隠蔽、かわりに翅にある黒い模様が眼と脚に見えるというしくみになっている。頭の位置を誤認させるということから「マエキダマシ」の別名を持つこの昆虫──興味深い模様の意味するところについては、昨シーズンの記事(【マエムキダマシ!?クロスジホソサジヨコバイは誰を騙すのか?】で思うところを記している。

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コメント

No title
都市部の緑地の管理の影響で虫さんの住処が奪われているんですね。
こちら田舎では休耕地管理のための除草剤などの影響でしょうか、昆虫の減少が加速しています。どこかで生き延びていってほしいですね。

マエムキダマシ、我が家では一月に見て以来、どこへ行ったか見当たりません。ホント、騙されましたR
No title
> 名もない小島さん

なんだかここ数年、緑地管理が過剰になっている気がしています。フェンス内にはまだ森林が残っているので、虫がいなくなることはないと思いますが、森林の断面ともいえる擬木で見られる虫が減ってきたのが残念です。

昆虫はやはり環境の変化に影響されますね。環境と一蓮托生な昆虫たち……。
昨シーズンと同じ場所で同じ虫に出会えると、ちょっとホッとします。
No title
ミズキの伐採残念ですね(T_T)こちらでも、沢山の蓑虫がぶら下がっているアカメガシワとアオバハゴロモが必ず見られる桑の木が伐られてしまいました。道路沿いで「枝が邪魔」が理由だと思いますが、新たな居場所を見つけなければなりません。
No title
> skittoさん

管理する側は、もちろん虫のことなど考えていないのでしょうが、「いい木」が切られてしまうのは残念ですね。
逆に言うと、虫のこと何ど考えずに管理されている世界の中で、人間の意図とは関係なく生命を育み、小さな自然(生態系)を構築しているところに昆虫の尊さ(?)みたいなものを感じたりもしています。
No title
うちの近くのポイントである公園も落ち葉を持って行かれてしまいました…

今月は急に忙しくなり、トギレは行けるかどーか…(>_<)
No title
> ともっくさん

落ち葉と言えど、自然の一部──土に返って再利用される資源なのに……惜しいコトです。
早春の蛾がでてくると、フユシャクのシーズンも残りわずかな感じがして、ちょっとソワソワしてきますね。
No title
同様の寂しい光景があちこちに。(;_;)

今の時期UPするモデルさんもいなくて伐採木が目立ちます。
昨日はキタテハが飛んでいました。目撃だけです。
何もいなくて、こんな時には貴重に見えました。(^-^)
こちらに来ると目新しい子がいて気持ちが晴れそうです。
No title
> まあささん

活動している虫が少ない時期は特に、観察場所が失われてしまうと寂しいですね。
虫見をしていると、伐採や草刈りでガッカリすることはよくあります。
去年はセミヤドリガの幼虫の繭づくり~羽化を飼育観察することができましたが、野外でも繭の観察に通っていました。「きょうあたり羽化が見られるかも」と期待して行った日になんと草刈りが入って観察していた繭も草ごと無くなっていたなんてこともありました。
No title
冬にカミキリムシとは驚きです。
No title
こんばんは・・・
小枝そっくりなヒリグロチビコブカミキリの渋さには、何度拝見しても惚れ惚れしてしまいます。

この辺りでは、老木から落下した枝による死傷者が出た事もあり、異常なまでに伐採に!管理に!と目を光らされてるようで!除草に対しても、抜かりなく行われてます。
それに伴う市内のある一定の区域の虫の減少は著しいのではないでしょうか?
私など、ごくごく近所散策でのみの虫探し者は、今後どのあたりで虫を探せばいいのやら?と、途方に暮れてるところです。
公害に対する緑化を取り入れた街づくりに、過渡期が訪れてるのでしょうか?
虫の個体数の減少を招く環境が、人に及ぼす影響も大きいと思うのですが・・・
No title
> kinnrinn 3さん

僕も初めてヘリグチロビコブカミキリを見た時はビックリしました。しかも真冬に飛ぶんですよね、このカミキリ。去年は初めて11月に一度見ましたが、それまでは12月~3月までしか見たことがありませんでした。
なので、冬になるとこのカミキリを見るのが楽しみの1つだったのですが……今シーズンは残念な状況です……。
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

落ち葉や枯れ木も自然の一部、分解し再構築する生態系の自然資源だと思うのですが……ゴミのように扱われ撤去されてしまうのが、なんとも残念でなりません。
人の生活に支障がないように管理されるのはしかたがないと思いますが。落ち葉をキレイに(?)撤去しないと気が済まない(?)という管理感覚は異常な気がします。

小鳥(野鳥)は歓迎だけど、毛虫芋虫は排除すべし──みたいな感覚でいる人も少なからずいる気がししますが、小鳥だって餌の虫がいなければ育たない……。桜の花は歓迎されるのに落ち葉はゴミ扱い……そういう意識が管理の過剰さの背景にあるのではないかと感じないでもありません。

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