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モンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシ他

モンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシ



擬木ウォッチ(ギボッチ)で最近よく見かけるモンキツノカメムシ。背中に丸みのある黄色い逆三角の紋がある(それで「紋黄(もんき)」なのだろう)ツノカメムシの仲間。


よく似た種類で、背中の紋がハート型に見えるエサキモンキツノカメムシというのがいて、こちら(ハート紋カメムシ)の方がよく知られている。


エサキモンキツノカメムシは、やはり「ハート紋」が目にとまるのか、ふだん昆虫に関心がなさそうな人たちのブログ等にもしばしば登場し話題になることがある。カメムシにしては好感が持たれやすい存在のようだ。僕が持っている図鑑でも載っているのはエサキモンキツノカメムシでモンキツノカメムシの記載はない。
だから僕も初めて知ったのはエサキモンキツノカメムシの方だった。「長い名前だなぁ……モンキツノカメムシでいいじゃないか」なんて思ったものだが、モンキツノカメムシというのが別にいることを知って、「それに似てるので、こんな長いなまえになったのか」と納得した。やはり面白いと思ったのはエサキモンキツノカメムシの「ハート紋」。また、母カメムシが卵や孵化した幼虫を守るという習性も興味深いと感じ、そのシーンを撮ったこともある。カメムシの《抜け殻を落とし行動(*)》を初めて目にしたのもエサキモンキツノカメムシだった。


紋がハート形であるエサキモンキツノカメムシの方に、どうしてもカメラを向けたくなるのは人情だろう。注目されがちな「ハート紋」だが……肉眼で見るとハートっぽく見えても大写しにすると整ったハート形はさほど多くはない。撮るなら、より綺麗なハート紋を──と品定めするようになり、紋をのぞきこんで「なんだ、モンキツノカメムシか」と気づくこともしばしば。モンキツノカメムシは、そのままスルーしがちで、ぞんざいに扱ってきた。
狭山丘陵ではエサキモンキツノカメムシに比べれば少ないものの、特に珍しいという感覚はなかったのだが……地域によっては(?)モンキツノカメムシは珍しいらしい(?)。
ふり返ってみれば……エサキモンキツノカメムシに関する記事は何度か投稿している(*)のに、モンキツノカメムシについては取り上げた記憶が無い。そこで、今さらながらモンキツノカメムシについても、少し紹介しておくことにしたしだい。


よく似たエサキモンキツノカメムシとモンキツノカメムシの違いだが……わかりやすいのは前胸背板(頭と紋の間)の色かも知れない。モンキツノカメムシは緑色をしているのに対し、エサキモンキツノカメムシでは茶色。前胸両側に突き出た突起(前胸背側角)も少し違う。モンキツノカメムシの方がやや尖っていて、エサキモンキツノカメムシは丸みをおびている。


トレードマークの背中(小楯板)の紋は、モンキツノカメムシでは丸みをおびた逆三角形だが、エサキモンキツノカメムシでは紋の中央部にくびれがあってこれがハート型に見える──というのが標準的な形だが、これには個体差がある。どちらにも「まぎらわしい紋」を持つものがいるようだ。


これ↑はエサキモンキツノカメムシだが、紋の中央の凹みが浅く、(モンキツノカメムシの)丸みをおびた逆三角形っぽくも見える。もっとモンキツノカメムシ似の紋をもつエサキモンキツノカメムシもいるようだ。ちなみに、このエサキモンキツノカメムシは右の上翅が革質部の途中からかけており、右の脚も欠損していた。


こちら↑はモンキツノカメムシだが、紋の中央部がわずかにくびれているようにも見え、エサキモンキツノカメムシの紋にも似ている。


こうした個体を見ると、紋の形だけで単純に両種を見分けるのは難しそうな気がする(*)。
モンキツノカメムシの大きさは、こんな感じ↓。


今回、あらためてモンキツノカメムシを撮ってみたわけだが……力強いカメムシ臭を体験。そこで、ついでにニオイをどこから放つのか──臭腺開口部を確かめてみることに。カメムシ成虫の臭腺開口部は腹面にある。


ツヤアオカメムシの《抜け殻落とし》など

他にも擬木では色々なカメムシが見られるが、羽化して間もないと思われるツヤアオカメムシに遭遇した。成虫のそばには抜けたてのホヤホヤな殻が残っている。
もしかすると、エサキモンキツノカメムシやアカスジキンカメムシでみられたような《抜け殻落とし》がツヤアオカメムシでも確認できるかも知れない──そう期待して眺めていると、果たしてそれらしい行動がみられた。


そして──、


順調に《抜け殻落とし》が見られるかと思いきや……実は(3)の段階──成虫が抜け殻の下に頭をもぐりこませる動作をしているときにカメラを近づけると警戒して動きを止めてしまった。そのまましばらくじっとしていたのだが、やがて、わずかに動き出した──と思ったところ、風で抜け殻は飛び去ってしまった。最後は自力で落としたのか、風の力を借りたのかはビミ~な感じがしないでもないが……とりあえず、《抜け殻落とし行動》をツヤアオカメムシもやることが観察できた。
また別の擬木では、脱皮してまだ体色がでていないアカスジキンカメムシ終齢(5齢)幼虫の姿があった↓。


脱皮してまだ間もないと思われる幼虫だが、その近くに抜け殻は見当たらない。ということは、《抜け殻落とし》をしたのだろう(アカスジキンカメムシの《抜け殻落とし行動》は確認済み)──そう考え、幼虫がとまった擬木の下を探すとすぐに見つかった。


もし風で飛ばされ落下したのであれば、離れた場所に落ち見つけ出すのは難しかったろう。抜け殻はほぼ直下に落ちていた──脱皮後、幼虫によって落とされたに違いない。地面の上ではわかりにくいので……。


これ↑は当然、4齢幼虫の形をした殻。
擬木では若齢幼虫から色々なサイズの幼虫が見られるが、成虫の姿もあった↓。




アカスジキンカメムシはとても綺麗なカメムシだが、やはり大型でキレイなアオクチブトカメムシの姿も見られた。


和名に「アオ」がついているが、この時期に見られる成虫は赤みをおびた個体が多い(この個体は左触角が途中で欠けていた)。
季節に会わせ(?)紅葉を思わせるかのようなアオクチブトカメムシ成虫だったが……季節の移ろいは早い。
ベージュに焦げ茶色というシックなデザインのニトベエダシャク──略して「ニトベエ」(と呼ぶのは僕だけであろうか?)が出ていた。この蛾を目にするようになると、間もなくフユシャクシーズンがやってくる……。




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コメント

No title
こんばんは。
エサキとモンキの識別・分布については、仁さんや日浦さんの時代から、いろいろ着目されてきた命題ですね。星谷さんが指摘されている、「前胸両側に突き出た突起(前胸背側角)も少し違う。モンキツノカメムシの方がやや尖っていて、エサキモンキツノカメムシは丸みをおびている。」というのは、外部形態としてかなり有力な識別点ですね。他方、色彩というのは、かなり慎重な吟味が必要であることは、2種の黄色紋の変異を見ても異論が無きことかと考えます。「前胸背板(頭と紋の間)の色かも知れない。モンキツノカメムシは緑色をしているのに対し、エサキモンキツノカメムシでは茶色」とのご指摘は、正直私はノーマークでした。思い起こせば、その傾向があったのではと思いますが、確実な識別ポイントである腹端の形状とのリンクはしていません。この点について、精査したいと思います。いやはや、大変勉強になりました。
No title
> 虫探偵☆山川 一浪さん

これまでハート亀虫こと(?)エサキモンキツノカメムシは何度も取り上げているのにモンキツノカメムシについては触れてこなかったので、比較しながら取り上げてみました。専門的な知識が無い僕には正確な同定ポイントは判りませんが、素人目に見て(個人的に)こう感じた・考えた──というレベルでブログ記事を書いています。
学術的に正しいか否か──という点は正直よくわからない部分も多いので、その虫を見た人が、どう感じどう考えたか──という点にむしろ興味をもって昆虫を見たり昆虫ブログを閲覧しています。
昆虫は種類が多いし、似たものもいるので、正確に識別するのは難しいケースも多いですね。
No title
こんばんは・・・

ハートの紋が紛らわしいエサキモンキツノカメムシとモンキツノカメムシを見比べてみますと、余計でも二種の違いの判別に窮してしまいます・・・
観ようによっては、おっしゃいます様に、同種の個体変異だと勘違いしてしまいそうですね・・・
(前胸背側角)の違い・・・成程!
確かに、違いますね~・・・

この2種に出会える機会があるかどうかが不安な私ですが、極力そう言った異なる箇所に注意して探してみたいと思います!

落ちてた抜け殻で、脱皮を確信されたツヤアオカメムシの抜け殻落としの確認行為に・・・
流石、鋭い観察眼をお持ちだ!と感じ、今後カメムシを観察する際の参考にさせて頂きたいと、強く想いました!!!☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

エサキモンキツノカメムシとモンキツノカメムシは紋の違いが目にとまりがちですが、個体によってはまぎらわしいのがいたりするので、前胸背の色の方が識別の手がかりになるのではないかと思っています。この部分の色でもまぎらわしいのがいるのかどうか判らないので、参考程度にしといた方が良いのかもしれませんが……。
この2種を見ていて「エサキモンキツノカメムシのハート紋とモンキツノカメムシのツノ(前胸背側角)をあわせ持っているのが理想なんだけどなぁ」などと勝手なことを思ってしまいましたた。

羽化あるいは脱皮したてのカメムシを見つけたら抜け殻に注意すると面白いかもしれませんね。そばに抜け殻があったら、抜け殻落としをするかもしれません(落ちずに残っている抜け殻を見ることもあるので必ず落とすとは限らないですが)。もし抜け殻がなければ、その下を探すと見つかるかもしれません。
No title
エサキモンキツノカメムシとモンキツノカメムシ・・・
そっくりさんがいたなんて知りませんでした。
在庫を調べたいです。

こちらに来ると勉強になります。
No title
> まあささん

知らずに見たら、エサキモンキツノカメムシとモンキツノカメムシは同じ種類に見えるかも。こちらのギボッチ・コースでは両方とも見られるのですが、地域によってはエサキモンキツノカメムシばかりというようなところもあるとか……。

ブログで取り上げられるのは「ハート紋」のあるエサキモンキツノカメムシになりがちなので(僕もそうでした)、モンキツノカメムシの方は影が薄くなってしまった……なんて事情もあるいはあったりして?
No title
こんにちわ

擬木巡りはフユシャクの昨シーズン後半から始めたんですが、よく色んな虫がついてますね。見つけやすいし。

そろそろフユシャクもシーズンイン。
フユシャクカレンダーを作って楽しみにしています(^^)
No title
> ともっくさん

擬木は生態写真としては人工物の背景にイマイチ感が残ってしまいますが、とりあえず「見つけやすい(目につきやすい)」という利点がありますね。
北海道ではすでにフユシャクが出ているそうですが、このあたり(狭山丘陵)でもニトベエダシャクが見られるようになるとフユシャク間近な感じがしてきます。
No title
モンキツノカメムシは知らなかったです。
今まで撮ったエサキモンキツノカメムシを見てみましたが、やはりエサキモンキツノカメムシでした。
私などは個体差って思ってしまうかも・・・・
勉強になりました。
アカスジキンカメムシは憧れのカメムシです。
恋い焦がれて下りますが、いまだ会えずです。
No title
> ピンちゃんのママさん

エサキモンキツノカメムシは紋の色や形に個体差があるので、知らずにモンキツノカメムシを見ても個体差と感じてしまいがちかもしれませんね。
エサキモンキツノカメムシに比べてモンキツノカメムシは少ないんですかね? 先日は擬木で7匹確認したのですが、こちらでは今、ちょくちょく目にします。

アカスジキンカメムシもいるところがわかれば頻繁に見られると思うのですが……やはり地域によって普通種でも多い少ないがあるのかもしれませんね。
僕もまだ見たことがない普通種がたくさんいます。
No title
モンキツノカメムシって、珍しいめのカメムシですよね!
あのあたりの擬木ではまあまあ見られますが
他の場所では数回しか見たことがないです。
紋のくぼみ以外で見分けるのって、どこかあるんですか?
くぼみが微妙な個体って、どっちだろう…と思いつつ、見なかったことにして通り過ぎてしまっています。。。

脱皮間もないアカスジキンカメムシって、みかんみたいですよね!
No title
> noriさん

やはりモンキツノカメムシは、珍しいめですか。僕の虫見コースはかなり限定的なので……よその状況はわからず、最近までモンキツノカメムシをぞんざいに扱っていました(許せ、モンキツノカメムシ)。
紋の形は──特にエサキモンキツノカメムシにけっこう個体差があるので、まぎらわしいのもいますね。一見してわかりやすいのは前胸背面の色(モンキツノカメムシは緑/エサキモンキサノカメムシは茶)ではないかと思うのですが、これが本当に正しい識別ポイントなのかどうかは自信がありません。

> 脱皮間もないアカスジキンカメムシって、みかんみたいですよね!

言われてみれば……オレンジがかった新幼虫はみかんっぽいかも。

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