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トビナナフシの偽瞳孔ほか

セミの終鳴日

10月も終わるので、今年のセミの終鳴日や10月下旬に見た昆虫を少し……。
今年は10月中旬まで鳴いていたセミも下旬に入ってからは確認していない。僕にとっての2015年版セミの終鳴日(鳥や昆虫がその季節に最後に鳴いたのが確認された日)は、アブラゼミが2015.10.18(東村山市)/ツクツクボウシが2015.10.14(所沢市)だった。
ちなみに昨年は10月27日までアブラゼミが鳴いていた(*)。2012年には10月29日にツクツクボウシを撮影している。夏の風物詩的なイメージがあるセミだが、活動している時期は意外に長い。
季節が変わって、秋の風物詩と言えばケバエ幼虫集団(*)──知らない人も多いがインパクト絶大という点でコレを真っ先に思い浮かべる人も少なくないのではあるまいか。今シーズン初めてケバエ幼虫集団を確認したのは10月19日だった(去年は10月01日/一昨年は10月10日)。11月に入れば遭遇する機会も増えてくるだろう。

ニホントビナナフシの偽瞳孔



ニホントビナナフシは晩秋から冬にかけて擬木の上でよくみられるようになる。落葉とともに落ちてきた個体が擬木に登るので目にする機会が増えるのだろう。この時期は成虫が多く、狭山丘陵で見られるほとんどはメス──本州では単為生殖を行うとされている(屋久島以南では両性生殖)。しかし稀にオスが出現することもある。12月に交尾を確認し驚いたこともあった(*)。また、雌雄モザイクや黄色い成虫♀を見たときも驚いた(*)。去年の晩秋は予想していたよりも発生が少なかったが、今年はどうであろうか……。
ピーク時に比べればまだ少ないが、擬木上のニホントビナナフシ成虫♀↓。


この昆虫は撮影すると「カメラ目線」で写る。複眼の中にうつる黒い点(偽瞳孔あるいは擬瞳孔と呼ばれる)がカメラに向けられているように見えるからだ。


しかし、じっさいには偽瞳孔は瞳孔のような器官ではなく、カメラ(や観察者)に「向けられている」わけではない。複眼は個眼と呼ばれる小さな目が集まってドーム状になっているわけだが、個眼の奥──深い部分までのぞける角度で黒く見える。おおむね複眼ドーム面に対して直角の方向から見た部分が黒くうつり、それは見る角度によって変わるので、「黒目(偽瞳孔)が追ってくる」ように見えることになる。死んだ個体でも見る角度を変えれば「黒目が追ってくる」ように見えるし(*)、同時に別方向から撮影しても、それぞれのカメラに偽瞳孔が「カメラ目線」で写ることになる。
ニホントビナナフシの顔のアップを撮るため近づいたらジャンプして路面に落ちた。踏まれてはかわいそうなので、近くの枝に移動しておいた↓。


10月下旬の昆虫から



ヒメヤママユ(蛾)の成虫も、この時期になると見かけるようになる。これは♀だった。
晩秋の蛾では、成虫で越冬するキバラモクメキリガも出ていた。


大写しにするとそうでもないが……実際にはパッと見、朽ちて折れた枝片に見える。翅を棒のように円筒形に巻くあたりも大したものだが、「折れ目」に見える部分のデザインがみごと。
チョウではオオムラサキの幼虫が、欄干を徘徊していたので、エノキに戻しておいた↓


オオムラサキ幼虫はこのあと木をおりて枯葉の下で越冬する。そのときは緑色では目立つので(?)枯葉色になっている。成虫になるのは6~7月頃。ここ何年かで外来種のアカボシゴマダラが増えたが、オオムラサキもとりあえず健在。
チョウでも、こちらは蛹(さなぎ)で越冬するジャコウアゲハ↓。


この風変わりな蛹は別名「お菊虫」──怪談『皿屋敷』の「お菊」に由来するとか。
この蛹のあった場所では一時期、同じ食草(ウマノスズクサ)を餌とする外来種のホソオチョウが発生して、ジャコウアゲハとの競合が懸念されたが、ここでは、その後ホソオチョウは姿を消し、ジャコウアゲハが以前と同じように残っている。
外来種で定着した昆虫は少なくないが、比較的最近の種類ではマツヘリカメムシがいる。


日本では2008年に確認されている(Wikipedia情報)というマツヘリカメムシ。やはり比較的新参者のキマダラカメムシが市街地に多いのに対し、マツヘリカメムシは市街地でも丘陵でも見かける普通種になっている。
擬木や欄干ではカメムシも色々みられるのだが、大型でキレイなアオクチブトカメムシは、やはりカメラを向けたくなる……。


……が、やっぱり光沢感がうまく出ない……。欄干にいたこの個体↑はこのあと飛び去った。
擬木ではゾウムシの仲間もみられるが、小さくて撮りづらいものや動いていて撮りづらいものはスルーしがち。たまたま静止していたので撮ってみたシギゾウムシの仲間↓。


シギゾウムシ↑に比べるとだいぶごついオジロアシナガゾウムシ↓


オジロアシナガゾウムシは春~夏にはクズでよくみかけた。
前々回に紹介した(*)ウシカメムシ幼虫がまたいたので(前々回とは別個体)↓。


ウシカメムシ幼虫は遠目には、カラスハエトリ(ハエトリグモ科)のオスっぽく見える。


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コメント

No title
こんばんは・・・

素敵な姿・表情をした際立ったキャラの集合に!!!☆・・・

特に、ニホントビナナフシの周りに溶け込み紛れる技には、トキメキ!ロマンを感じ!不思議への世界に引き込まれます。

にしましても・・・
(偽瞳孔)の睨み!
この仕組みは興味深いですね!
そう言いますと、カマキリにも睨まれてる・・・様な?
リアルな表情に観える・・・
虫の表情も、面白いですね~!!!・・・
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

ニホントビナナフシは擬木やフェンスにいるとわかるんですが、それ意外ではあまり見た記憶がありません。やっぱり視界に入っても葉にまぎれて気づかないんでしょうね。

カマキリやバッタもそうですが、偽瞳孔がある昆虫には「表情」を感じてしまいがちです。「こっちを見つめ返している感」が独特の味わいをかもしだしているのでしょうね。
No title
ケバエのインパクトは凄いですよね!
No title
> yam*****さん

ケバエの幼虫は1匹でもぎょっとしますが……それが高密度の集団になっているのだからインパクトは強烈ですね。知らずに初めて見た時は仰天しました。
ただ、それだけのインパクトを持ちながら、けっこう気づかれないんですよね。去年は女子高生の集団が平和におしゃべりしながら次々に踏みつけながら歩いていて、気づけばパニック必至という状況を伝えてあげたものかどうか悩みました(笑/結局放っておいたけど)。
No title
ニホントビナナフシ、顔はアオマツムシ、胴はカマキリに似た不思議な虫、まだ見たことがありません。オオムラサキはアカボシゴマダラそっくりで驚きました。ジャコウアゲハの蛹!こんな姿もあるんですね、驚いてばかりです(@.@;)
No title
トビナナフシも偽瞳孔なんですね!
言われなければ気づきませんでした。。。

ケバエの幼虫ども、出てきましたか。
先日行ったときには遭遇しませんでしたが。気づかなかっただけかも。。。
本当に見たくないので、踏んでしまったとしても気づかずに通り過ぎるのと
気づいてしまって見てしまうのと、どっちがいいんだろう…とか
葛藤があったりします。笑

アオクチブトゾウムシは、個体によっても色が違っていたりして
見つけるとついカメラを向けたくなりますね!
No title
> skittoさん

ナナフシの仲間はユニークで面白いですね。日本では昆虫飼育というとカブト・クワガタが人気ですが、ヨーロッパではナナフシに人気があるというような話を聞いたことがあります。

オオムラサキとアカボシゴマダラの幼虫はよく似ていますね。食植物(エノキ)も同じですし。こちらでも新参者のアカボシゴマダラが圧倒的に多いです。

チョウやガは成虫が注目さされがちですが、幼虫や蛹がユニークなものも、けっこういるみたいですね。
No title
> noriさん

トビナナフシは眼にシマが入っているので、ちょっと判りにくいかもしれませんが、撮ると偽瞳孔が「こっちを見つめ返している」風なんですよね。
眼のシマ模様は体幹に沿っているので「縦縞」というのが正しいのかもしれませんが、見るときは横方向に走っているので「ヨコシマな眼をしている」と密かに思っているのは僕だけでせうか?(笑)。

ケバエの幼虫──今年も出て来たか! と思ったのですが、まだ市街地で2回しか見ていません。これからが本番なんでしょうね。
「知らぬが仏」という言葉が一番頭に浮かぶのはケバエ幼虫の時期です(笑)。

最近見るアオクチブトゾウムシは、疲れたた感じの個体も多いのですが、たまにすごくキレイなのがいるんですよね。そんなのに限ってちゃんと撮られせてもらえません……。
No title
今年初めて牛カメムシを見ました。(1個体)素晴らしいかたちですが、この幼虫も素晴らしい。狭山ですか。ゾウムシもよく撮影されています。とても勉強になります。ナイス!
No title
> 四季の風さん

ウシカメムシは成虫も幼虫もユニークでイイですね。狭山丘陵で見られた虫たちです。
木についているのを見つけるのは難しそうですが、林沿いの擬木やフェンスなどの人工物の上にいるのは見つけやすいので、注意しています。

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