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イラガセイボウの輝き再び

イラガセイボウふたたび・エメラルド&サファイアの輝き



先日、久しぶりにイラガセイボウを目にして記事にしたが、出会うときは出会うもので、その後また擬木でイラガセイボウを見つけた。
前回のイラガセイボウは翅を痛めていたが、この個体も翅を痛めている。そういえば過去にも翅を痛めたイラガセイボウを見たことがあった。イラガセイボウが翅を痛める原因についていくつかの可能性を想像してみたが確かなことはわからない。


今回もキラキラと輝く姿で、すぐにそれとわかった。第一印象は「そうそう! このきらめきなんだよな」──前回イラガセイボウを記事にしたときは、この輝きがうまく表現できていなかったが……再びイラガセイボウを目にして、この宝石のような輝きこそ、この昆虫の大きな見どころだ──という思いを強くした。この特徴をなんとか記録できないものか。


とはいっても前回キレイに撮れなかったものが、今回キレイに撮れるという自信はない。《キラキラ輝いている見た目そのもの》を画像に残すのは難しいが、それならばと《キラキラ輝いていることがわかる説明の素材》として画像を撮ってみることにした。
とりあえず日向で直射日光をあびて輝いているイラガセイボウを撮った画像↓。


セイボウの仲間は体全体に光の粒をまぶしたかのような光り方をする──これが美しいのだが、撮影するとエメラルドやサファイアのような緑~青の光の粒は飛んでしまい、画像上ではただの白い点になってしまう。
光沢昆虫は反射光がまぶしいためか露出がアンダーになり画面が暗くなりがちだが……とくに直射日光が当る日向では影とのコントラストがきつくなって、明るい部分は白く飛び、暗い部分は黒くつぶれてしまう。
実物はキラキラ輝いて見えるのに、画像にすると全然キレイではない↑。これでは輝きどころか体の基本色の美しさすら伝わらない。
ということで、体で直射日光を遮り影に入れて撮ってみたのが↓。


直射日光を遮ったことでイラガセイボウの影は消え、光源(太陽光)の直接反射もなくなり──コントラストの差が小さくなったことで基本の体色がよくわかる。これだけでも充分キレイなのだが、実際はこの体色の上に緑~青の輝きがプラスされているわけだ。
他にも条件を変えて撮ってみた画像の1つ↓。


白く飛んでしまいがちな緑~青の輝き(光のつぶ)に露出が合ったのだろうか。体表面にちりばめられた光の粒の色はわかるが、体の本来の色はつぶれて黒くなっている。まるで闇に乱舞するホタルの光のようだ。緑~青の輝きと体色の明るさには格差があって両方を同時にカメラで捉えるのは難しい──光の粒の美しさと体色の美しさは同一画面では表現できないということなのだろう。
カメラがカバーできない格差を生んでいるのが「光の粒」だが、それ自体が発光しているわけではない。これは反射光で、全身がキラキラ輝いて見えるのはセイボウの体の表面構造に関係している。


セイボウの仲間は点刻と呼ばれる小さな凹みが全身に密にほどこされている。この点刻ひとつひとつが、言わば凹面鏡のような役割りを果たし、どの角度から見ても凹みの中のどこかに光源を直接反射する点を有すことで「光の粒」が生み出されているようだ。
ふつう曲面で構成される昆虫の体で直接反射が見えるのは、光の入射角と反射角(見る角度)が一致する限定的なポイントのみだ。しかしセイボウの場合は全身にほどこされた点刻それぞれに(どの角度から見ても)反射面が含まれ、そこに「光の粒」が生まれる。


画像↑には直射日光は当っていないが、点刻ひとつひとつに明るい空(?)が写り込み光を反射しているのがわかる。この点刻内の反射光が「光の粒」となる。


日向では密集した点刻に直射日光が反射し、光の粒となって全身を飾って美しいことこの上ないのだが……実際に画像にすると↓。


生で実物を見たときのきらめきが再現できないのが残念だ……。
擬木の上では虫影が黒くつぶれがちなので、それを緩和するため、影の側にレフ板がわりにアルミシートを置いて撮ってみた画像↓。




撮影中、翅のグルーミングを始めたので、腹の背面がのぞいたシーンも↓。


本当はもっとキレイなのだが……デジカメ画像ではそれがカバーできない……逆にいうとヒトの目(&それを解析する脳)はそれだけ微細なところまで感知できるほど繊細だということでもあるのだろう。




──ということで、《キラキラ輝いている見た目そのもの》を写すことはできないが、実際は《キラキラ輝いていることがわかる》ような説明をしてみたつもり。
想像力でキラキラ感を補正して見ていただけたらと思う。


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コメント

No title
目玉レンズは生体映像エンジンのおかげで高ダイナミックレンジ、高感度特性を備えてますからね。
そんな高性能なカメラボディがあれば…、といつも思ってます(笑)
No title
> ともっくさん

カメラの性能の進化には驚かさされますが、やはりヒトの眼(&脳)はスゴイのだなぁと感じています。

下手なりに自分で撮ってみるとわかりますが……ともっくさんはじめ皆さんが生態写真をキレイに撮られていることに感心するばかりです。
No title
羨ましい、一度はイラガセイボウに遇ってみたいです。体のディンプルはゴルフボールのようですね。飛ぶときに乱気流を抑えるなどの効果があるのでしょうかね。
No title
> nika4さん

翅が痛んでいたのが残念でしたが……そうでなければ飛ばれてじっくり撮ることは難しかったかも。
ゴルフボールのディンプルは思いつきませんでした。そう言われてみればたしかにちょっと似ていますね。
小さな虫にとって空気は粘性が高そうですから、こうした表面構造による空気抵抗も飛翔に関係しそうな気もするし……一方、他のハチの多くはディンプルなしで充分やっていけていることを考えると、さほど影響はないのかもしれないという気もするし……昆虫は色々と想像力を刺激してくれますね。
No title
おはようございます。
本当に美しい色をして輝いてますね☆彡
一度は出会ってみたいです
('∇^d) ナイス☆!!
No title
> kaneo93さん

セイボウの仲間は美しいので、見かけるとテンションがあがります(笑)。
撮らせてもらえないことも少なくないのですが……。
光沢昆虫は他にも色々いますが、やはり目にするとカメラを向けたくなりますね。
No title
こんにちは・・・

イラガセイボウの輝きに見入ってしまいました・・・

点刻の仕組み!
その構造が生み出す影響と効果・・・
姿の不思議のカギ探しの道筋を教えて頂いてる感覚で!
楽しく読ませて頂きました・・・

何より、お写真の輝きが素晴らしく!
クラクラと倒れこみ、吸い込まれそうでした・・・☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

キレイな虫を見ると、なんとかその美しさを記録しておきたいものだと思ってしまうのですが……難しいですね。
「見た目そのまま」を画像にする事はできないので、実際はもっとキラキラしていることを判っていただけるように、説明を試みてみました。
こうした美しさ1つとっても、昆虫の奥の深さを感じずにはいられません。
No title
まことに美しいですね~。
感激ものです。
色が刺激的で・・・目をつぶっても色が追いかけて来るような・・・
羨ましいです。^^;
No title
> まあささん

セイボウの仲間の美しさには感銘すら覚えますね。
実際にその美しさを目の当たりにしているだけに、画像にするとその美しさがだいぶ目減りしてしまうのが残念でなりません……。
脳内補正で元の美しさを想像して見ていただければ幸いです。
No title
イラガセイボウ、本当にキラキラですね!
日なたと日陰で、写真が全然違いますね。
日陰のほうが色が美しいですが
日なたは日なたできらびやかな雰囲気が伝わってきます。
脳内補正、がんばってしてみました~。笑

翅を痛めているから飛ばないのでしょうか?
おとなしくモデルになってくれてうらやましいです。
No title
> noriさん

脳内補正のご協力、ありがとうございます(笑)。
画像にしたときの日向と日陰──ずいぶん違っちゃったので、あとは見てくださった方の脳内補正に頼る他ありません……。

僕らはふだん何気なく見ていますが──キレイな昆虫を見たままの感じで画像にするのが難しいことを知ると、ヒトの眼と脳の情報処理能力の繊細さを改めて感じてしまいます。

セイボウは自然な状態で出会うときって、なかなかモデルになってくれないことが多いですね。
寄生ターゲットを狙って待機中のときはチャンスかもしれませんが……。
イラガセイボウの場合は、イラガの繭をみていくと寄生していれば(産卵痕が残されているから)判るので、それを回収して羽化を待つ──という方法で撮影する人もいるようです。

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