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宝石の輝き!イラガセイボウ

エメラルドかサファイアか!?輝くイラガセイボウ



擬木の支柱のフチに宝石のように美しい虫がとまっていた。グリーン~ブルーのメタリックな輝き──すぐにセイボウと呼ばれる美麗蜂の仲間だとわかった。これまで見たセイボウに比べてずいぶん大きく感じ、オオセイボウかと思ったが、イラガセイボウ(イラガイツツバセイボウ)だった。
セイボウの仲間はとてもキレイなので、見つけると撮りたくなるのだが……たいていはせわしなく動きまわっていて、ろくに撮らせてもらえないことが多い。それが目の前でじっとしている──躍る心をおさえて、そっとカメラを近づけた。




よく見ると左の翅が大きく欠けている。このため飛翔できずに擬木の支柱に足止めされていたのだろう。
欠けた翅は痛々しいが、そのために通常なら翅でおおわれている美しい腹も広い範囲が見える。ふだんじっくり撮ることが難しいハチなだけに、この機会にしっかり撮らせてもらうことにした。






直径20mmの1円玉との比較↑。『月刊むし』472号 2010年6月《日本産セイボウ図鑑》(むし社)によれば、イラガセイボウの体長は9~12mm。イラガセイボウとしては大きめの個体だろう。
独特のキラキラ感をとらえようとシャッターを切り続けたが……パソコン画面で確認すると、やはり本物の輝きとはほど遠い……。光沢昆虫はそのきらめきを記録するのが難しいとわかっていても、やはりちょっと残念だ。毎度のことながら……実物はもっと美しい!




きらめくイラガセイボウにグッと寄ってみた。


緑~青(紫菫色)に輝く体表面には点刻と呼ばれる凹みが密集している。点刻は超小型の凹面鏡のようだ。この凹み1つ1つにどの角度からみても光を反射する点が存在しているのがわかる。
もし体表面が滑らかであったなら(光をよく反射する表面構造であっても)、光源(太陽など)が反射して輝いて見えるポイント(光の入射角と反射角が等しくなる部位)はごくわずかだろう。
セイボウでは体表面に密にほどこされた点刻の1つ1つが凹面鏡のように光を反射することで、体全体がキラキラと輝いて見えるのだろう。
このイラガセイボウは、翅を痛めて飛ぶことがままならないのに──あるいは飛ぶことがままならないからなのか……翅をつくろいはじめた↓。






腹部末端部にノコギリの歯のように尖った部分が見える↑。セイボウの仲間ではこの突起の数や形状が種類を見分ける手がかりのひとつとなる。イラガセイボウ(イラガイツツバセイボウ)は5つ(5歯)。ちなみに最初に間違えそうになった大型のオオセイボウでは4歯。僕が過去に見た種類では、ミドリセイボウが5歯・ツマアカセイボウは4歯・ムツバセイボウでは6歯。
擬木の上ではこの「歯」の部分がわかりにくいので、指にとまらせて「5歯」を確認↓。


セイボウの仲間はその美しさがまず目を引くが、生態も興味深い。《狩り蜂に寄生するハチ》──というのが基本のようだ。
クモや昆虫などを狩って幼虫の餌として貯蔵するカリバチの仲間──その巣に侵入し、カッコウ(鳥)のように托卵方式で卵を残すらしい。孵化したセイボウ幼虫はカリバチが我が子のために貯えておいた獲物やカリバチ幼虫を食べて成長するという。
だが、今回のイラガセイボウは例外的に(ハチではなく)イラガという蛾に寄生する。セイボウの中では珍しくハチではなくイラガに寄生するからイラガセイボウなのだろう。


宿主のイラガだか、幼虫は毒を持つ毛虫の筆頭に上げられることが多く、触れるととても痛いらしい。枝の股などに小鳥の卵のような(?)繭を作るが、この繭にイラガセイボウは卵を産みつける。


イラガセイボウは堅いイラガ(蛾)の繭に孔をあけて産卵する(産卵後、孔はふさがれる)。寄生されずに順調に羽化することができたイラガは繭の上部にきれいな円形の穴をあけて出てくるが、イラガセイボウが寄生し羽化した繭では、雑な脱出孔が残される。



今回みつけたイラガセイボウは、大きくて輝きも極上だったのに……翅が痛んでいたのは残念だった。しかし、それがなければこうしてじっくり撮ることもできなかったろう。
以前であったセイボウの仲間↓。どれも宝石のように美しい。






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コメント

No title
初めまして・こんばんわ♪
セイボウの仲間はオオセイボウしか見たことがないです。
イラガセイボウも工芸品のような輝きでめちゃくちゃに綺麗ですねー(*^_^*)
ナイス!
No title
> みゆきさん

僕はまだオオセイボウを見たことが無いんですよ。今回のイラガセイボウを見つけたときは一瞬オオセイボウかと思ったのですが……。
イラガセイボウは何度か見たことがあるのですが、もっと小さい印象でした。
いずれにしても、セイボウの仲間はキレイですね。
No title
こんばんは・・・
数種のセイボウに、目がクラクラして来そうです・・・

噂通り、美しいですね~

イラガセイボウの光の点の謎、仕組みを覗き見れた想いです・・・
美しい点!無数の点刻!を見入ってしまいました・・・

復端の詳細な観察記録に・・・
頭が下がる想いです!!!☆・・・
No title
凄いですね、正に宝石の輝きで、一度は見てみたいセイボウばかりです。表面の点刻の一つ一つまで綺麗に写されていて、すばらしいです。私も見たのはオオセイボウだけです。
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

実物はもっとキラキラしていて、「撮り放題のこの機会に!」とたくさん撮ってみたのですが……やっぱりキラキラ感がうまく撮れておらず、ちょっともどかしい思いをしています。
キラキラかがやく表面の構造もけっこう凝っていて感心してしまいました。
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> nika4さん

本当に「jewel wasps」とはよく言ったもので、まさに宝石蜂ですね。翅の欠損が残念でしたが、完品だったら、ここまで寄って接写できなかったでしょう。
僕はまだオオセイボウを見たことがないので、その機会がくるのを楽しみにしています。
No title
“セイボウ科”宝石蜂初めて知りました(^_^;)宝石以上の色彩に感じました。ありがとうございます。
No title
> skittoさん

僕が初めて見たセイボウは、イラガセイボウでした(今回の個体より小さいものでしたが)。あまりの美しさに「こんなハチがいるのか」と驚きました。
イラガの幼虫はうっかり触れるととても痛いらしいので、あまり発生してもらいたくない虫ですが、イラガセイボウがたくさんみられるのなら、歓迎してもいいかな──などと思うこともあったりします(笑)。
No title
イラガセイボウ綺麗な色合いですね。
接写で深度合成をされていると思いますが顕微鏡的画像は凄いです。
イラガの幼虫やマユと脱出口まで記録されているのは流石です。
今年はオオセイボウに出会えましたが他は撮れませんでした。
No title
> 市川さん

実物はもっとキラキラしていたんですが、やはり光沢昆虫は難しいですね。
接写は深度合成ではありません(深度合成ができるのは僕が使っているカメラの後継機です)。スーパーマクロモードというやつで、このカメラを使い始めた頃は多用していたのですが、被写界深度が浅くなるので今は昆虫全体を撮るときはなるべく使わないようにしています。
No title
これは美しいですね~🎵
イラガの幼虫も独特ですね🎵
No title
> すぬーぴーさん

セイボウの輝きはタマムシとはまた違った味わいがありますね。画像にしてしまうとキラキラ感がかなり目減りしてしまうのが残念なところです……。
イラガの幼虫は(触れると)かなり痛いらしいですが、一度見たら忘れられないユニークさかもしれませんね。
No title
最近、マッタク・・・セイボウ類とは出会いが無いのです。
出会ってみたいですよ~
No title
> カメレオンーアームスさん

イラガセイボウを見たのは何年かぶりだったのですが、その後また出会ったので、のちほど投稿したいと思います。

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