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テングスケバ@桑

天狗の鼻の神通力!?テングスケバ



《天狗》の鼻を思わせる突起と《透けた翅》──で、【テングスケバ】。特徴を表したわかりやすい名前の昆虫。少し前に【テングスケバとデング熱】で紹介したばかりだが、お気に入りの虫なので、その後も目にとまると、つい撮ってしまう。


橙色系の地にあわい青緑色系という補色のストライプにトロピカルな(?)魅力を感じてしまう。脚や口吻は白地に黒のやはりストライプ柄でキメている。


頭の形がショウリョウバッタやオンブバッタに似ているので、透明なマントをはおったバッタっぽく見えなくもない。不用意に近づくとピン!と跳ねるところもバッタに似ている。




バッタのように後脚を深く曲げてとまっており、これを瞬間的に伸ばすことでジャンプ力を生んでいるのだろう。バッタは深く曲げた後脚の(人でいったら)膝にあたる部分が後方につき出ているが、テングスケバは前方に傾き、後脚が中脚と交差するような形になっている。


角度によっては「とんがり頭系バッタ」っぽく見えるが、テングスケバはバッタ目ではなくカメムシ目の昆虫。その証拠に口はカメムシのように針状になっている。この口吻を突き立てて植物の汁を吸っている。




「カメムシ目(半翅目)>ヨコバイ亜目(同翅亜目)>テングスケバ科」という情報もあるが、Wikipedia【ヨコバイ亜目】によると、「ヨコバイ亜目(同翅亜目)」の分類群名は古典的なもので「21世紀に入ってからは使用されなくなった」そうな。手元の図鑑では「カメムシ目・テングスケバ科」となっている。テングスケバ科はカメムシ目(半翅目)のハゴロモ上科(別称:ビワハゴロモ上科・ウンカ上科)というグループに入るらしい。


撮った画像を見ると、どれも偽瞳孔(擬瞳孔:複眼の中の黒い点)が「カメラ目線」で写っている。カマキリやバッタなどでも見られるが、偽瞳孔は瞳のような器官ではなく、複眼に集まった小さな眼(個眼)の奥まで見える角度でそのポイントが黒く見えるというもの。2つのカメラで別々の方向から同時に撮っても、それぞれ「カメラ目線」に写る。
こうしたルックスがお気に入りで、ついカメラをむけてしまうテングスケバだが、僕がこの虫を目にするのはもっぱらクワ──雑草に囲まれた若いクワの葉や茎にとまっていることが多い。


こうしてクワの茎や枝にとまって汁を吸っていると「とんがり頭(天狗の鼻)」があることによってボディラインが植物の一部に見えなくもない。《天狗の鼻》はダテではなく、植物に隠蔽擬態するための《神通力》を持っているのかもしれない。言ってみれば《天狗の隠れ蓑》効果!?


こちらはやや木化(?)したクワの枝↑。また、クワの葉の上にとまっていることもある↓。




クワで見かける他の虫たち(の一部)

テングスケバをみかけるクワでは、他にも色々な昆虫を目にする。テングスケバ(12~14mm)よりもぐっと小ぶり(約5mm)だが、頭~胸にかけてのシャープなストライプがテングスケバに似ている気がするミドリグンバイウンカ↓。


若いクワは汁を吸う昆虫には人気があるようで、ハゴロモなども常連。




アオバハゴロモはハゴロモ科とは別のアオバハゴロモ科に分類さされているようだ。上の画像は左が下向きにとまった成虫・右が上向きにとまった幼虫(よく見ると偽瞳孔のある眼と触角がわかる)。


クワではアリを見かけることもあるが、そんなアリに擬態したホソヘリカメムシ幼虫↑の姿もあった。
比較的大きなものでは、キボシカミキリ↓がよく見られる。


キボシカミキリはクワの葉の裏から葉脈をかじるので、このカミキリがいるところでは葉脈部分がスリット状の穴となった葉が目につく。このカミキリは去年・今年と1月にも見ており(1月にキボシカミキリ新年2種目天牛はキボシカミキリ)、意外に長く見られるカミキリだったりする。
また、最近このあたりでも増えてきた外来種のキマダラカメムシ(こちらではサクラに多いが、他の木でもみつかる)が、クワにも来ているようだ。


画像↑左はサクラの幹についたキマダラカメムシ成虫。右はクワの葉の上でキマダラカメムシ成虫をとらえたハラビロカマキリの幼虫。キマダラカメムシといえば、先日臭腺開口部を確認しようとしてカメムシ臭のするシミをつけられたが(【キマダラカメムシの臭腺開口部】)、その最臭兵器(?)もカマキリには通用しなかったのか……ハラビロカマキリは幼虫ながら、かなり豪快に獲物を食っていた。


クワの葉の裏にはキマダラカメムシのものと思われる卵が産みつけられていた。本来ならハッチ型の蓋がきれいに開いて孵化するところだが、あきらかに齧られて破られているものがあり、これは寄生蜂によるものだろう。


寄生蜂が食い破って出たと思われるカラの卵の隣に羽化が近いと思われる卵(白矢印)があったので翌日のぞいてみると穴が開けられていた。急速に勢力を拡大しているかに見えるキマダラカメムシだが、密度が高まれば寄生蜂を増やす格好の材料となり、急増が逆に抑制勢力を勢いづかせているのかもしれない。自然界のホメオスタシス(均衡維持)だろうか。
こうしたシーンを目にすると、ふだん人々が気にとめない道ばたのちっぽけなクワの若木にも色々な生命が集まり、様々なドラマが展開されているのを実感する。

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コメント

No title
テングスケバとミドリグンバイウンカは昨秋に一度だけクズの葉の上で見ましたが、その後は全く遇えずです。どちらもさわやかなグリーンで、もう一度撮ってみたいです。桑の木を探してみます。
偽瞳孔、勉強になりました。ナイスです!
No title
> nika4さん

テングスケバは(僕は)若いクワで見ることがほとんどなのですが、似たような環境に見えて、発生している若木とそうでない若木があるみたいですね。発生しているポイントに当ると比較的簡単に見つけられるのですが、いないところはいつ探してもいない……。
ミドリグンバイウンカは若いクワで比較的よく見ますが、テングスケバはそれよりも発生ポイントが少ない感じです。イネ科につくという情報もあるようですが、イネ科っぽい雑草の中から生えた若いクワを探すといいかもしれません。
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こんにちわ~!
テングスケバ,初めて見聞きしました。透き通った翅が綺麗です( ^o^ )✩
私も撮って見たくなりました。
桑の木にいるんですね。探してみたいと思います

('∇^d) ナイス☆!!
No title
> kaneo93さん

小さな虫ですが、よく見るとなかなかキレイでしょう。
僕も去年はじめて知りました。あまり有名でない(?)普通種の中にも魅力的な虫はけっこういたりしますね。
身近な虫の中に「へぇ!」と思えるものを発見するのも虫見の楽しみの1つだと思っています。
No title
こんばんは・・・
今回のお写真で、改めてテングスケバの(美)と、クワの若木の魅力を感じさせて頂きました・・・
詳細な部分まで鮮明に撮られてるお写真は、まだ見ぬテングスケバの隠れ蓑の魅力を味わうに十分過ぎるほどで・・・
頭部の裏面からのお写真、腹側のお写真を食い入るように見入ってしまいました・・・

自分の散策不足が原因ですが・・・
近所で、クワの樹を見付けることができずにいます・・・
クワの若木一種をめぐる生物のつながりに、興味津々です!
一種が増えすぎることを許さない自然の摂理・・・生態系・・・
こういった一面を見詰め感じ考える(時)が、人にも必要なのではと想うのですが・・・☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

こちらでは、鳥がタネを運ぶのか、あちこちにクワの若い木が生えていてヨコバイの仲間が普通に見られます(テングスケバは発生ポイントが少ない感じがしますが)。
ただ、草刈りが入ると雑草とともに切られてしまいがちで膨大なヨコバイたちはどうしただろうと……と心配になったりものするのですが。

「そこに暮らしている虫がいる」と判ると、小さな一株の木も「生き物たちの住む島」のように思われ、こうした小さな世界も自然の摂理が働いている──貴重なもののように感じられます。

ちょっとした自然を見ることで、色々感じたり考えたりする……こうした事も大事なのだろうと思います。
No title
偽瞳孔というのですか。以前から本当に見えているものなのか疑問に思っていました。ありがとうございます。
No title
> 佛生山孝恩寺さん

カマキリなどはよく首も動くし、偽瞳孔で「こっちを見てる」ように感じますね。じっさいに見ていることも多いのでしょうが、あのなんちゃって黒目を動かしてこちらを見ているわけではないんですね。黒い部分は「見る側」の角度に応じて「見えている」だけのもの……でも、この偽瞳孔があることで虫に表情があるように感じるのは、ヒトが目の表情で相手の心情を察しようとする──そういうコミュニケーション能力を発達させてきたということと無縁ではないのかも知れませんね。
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自然のドラマが至る所で展開されている、それに気付くかどうかですね。前の「テングスケバとデング熱」を読んで以来、桑の葉を見つけると念入りに診るのですが・・・、春日部エリアは嫌いなのでしょうか(笑)
No title
> skittoさん

>自然のドラマが至る所で展開されている、それに気付くかどうかですね。

そうですね。身近なところにも「そうした世界・ドラマ」がある──それを発見するのが虫見の醍醐味だとも言えるのではないかと思います。

昆虫は普通種でもなかなか出会えないものも多くて……地域によってかなり発生ムラがあるのでしょうね。
テングスケバは一度発生しているポイントをみつけると、その後もみつけやすくなると思うのですが……。
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魅惑のストライプづくめですね。^^
画像がクッキリ・綺麗でとても分かり易いです。ナイス!
No title
> まあささん

このシャープなストライプが、けっこうお気に入りです(笑)。
背面からのショットでなぜかピントが合いにくく(背景の葉にピントが合いがちで)、NGを量産しました。
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こんばんは、お久しぶりです。生き物屋ガラパゴスの「ひげ坊主」です。
やっと少しだけ身も心も余裕ができはじめたので、ブログも再開しました。といっても仲間の記事を掲載する程度ですが・・・。そのうちに小生自身の記事もアップしています。また以前同様によろしくお願いします!
No title
> ガラパゴスさん

昆虫や小動物には興味があるので、そうしたテーマを扱ったブログはよく閲覧しています。昆虫や小動物そのものに対する興味もありますが、それをそれぞれのブロガーさんがどう見ているのか──にも興味があったりします。
同じ虫をみても人によって捉え方は様々で……虫を見て感じたり考えたりする事が多いように、昆虫ブログを見て感じたり考えたりする事も多いです。
またおじゃますることも多いと思いますが、よろしくお願いします。
No title
コレは出会ってみたいですね。
No title
> カメレオンアームスさん

僕も昨年初めて見たのですが、ちょっと面白い虫ですよね。
わりと近所で見られるので、ついのぞいてしまいます。

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