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香りはどこから?青リンゴ亀虫

青リンゴの匂い!?~キバラヘリカメムシ~



《カメムシ》というと《悪臭》のイメージがあるが……意外にも《青リンゴの香り》がするとウワサされるキバラヘリカメムシ。その真相を確かめるべく捕まえて嗅いでみたのが4年前(*)。
「それ系のニオイがする」というのはその後も何度か確認しているが、その香りの出どころ──臭腺開口部を確かめたことはなかったので、今回あらためてキバラヘリカメムシに注目してみた。




その名の通り「黄色い腹」のヘリカメムシ。といいながら、腹が黄緑の成虫もいるようだ。
ちなみに、幼虫はこんな姿↓。




さらに卵はこんな↓。多めの卵があちこちの葉の裏に産みつけられていた。


これらの卵が孵って世代が進めば、密度が高まり、もっと撮りやすい場所にいる個体も増えそうな気がするが……今回はまだ個体数が少なめで、なかなか満足のいくショットが撮れなかった……。

黒のニーハイブーツも印象的なキバラヘリカメムシ

名前にもある《黄腹》も印象的だが、美白のスラリとのびた脚に黒い膝上丈ブーツ──を思わせるデザインも目をひく。
ちなみに、脚の根元は黒いもの・赤いもの・白いものがみられた。






羽化したての成虫は黒くなる部分が赤い↓(※【真・青リンゴの香り/キバラヘリカメムシ】より)。


脚の根元は他の部分より黒くなるのに時間がかかるとか、黒くなりにくいというようなことでもあるのだろうか?
このように脚の根元の色にはバラツキがあるようだが《美白の脚に黒いニーハイブーツ》のデザインは共通している──これだけクッキリ目立つデザインには何か理由があるのだろうか?
まず思い浮かぶのは、(天敵に対し)ボディラインを分断し、かく乱する効果があるのではないかということ。キバラヘリカメムシは葉の裏にいることも多いが、そうした逆光ポジションにいる個体、あるいは明るいところにいる個体では、脚の白い部分は抜けて見えたりする。




僕が虫さがしをするとき、触角や脚は重要な検索ポイントになる。昆虫食の鳥などが自然物の中から昆虫を見つけ出すときも「細い触角や脚が生えた物体」という検索イメージで判断していたとすれば、脚と体幹を分離してみせることで、あるていどかく乱効果があるのかもしれない。

隠蔽(目立ちたくない)or警告(目立ちたい)?

《美白の脚に黒いニーハイブーツ》のデザインに「ボディラインかく乱」の意味があるのだとしたら、これは《隠蔽効果》の範疇だろう。黒と黄色という《警告色》を配したキバラヘリカメムシが《隠蔽効果》!?──という気もしないではないが……実際に食植物の葉や実にとまっているところを見ると、意外に目立たない感じもする。
ということで以前、密度が高まった秋に撮った画像↓。




黒と黄色という基本配色だけを考えれば、これは目立つカラーリングだ。スズメバチやアシナガバチも採用している《警告色》──目立ってなんぼのモノということになる。カメムシの仲間は悪臭=忌避効果がある(と思われる)分泌液を装備しているのだから、「こいつは不味い=食えない」ことを印象づけるためには「目立つ」ことが重要だ。
しかしキバラヘリカメムシを見ると、背景の中では意外に目立たない……体色に黒と黄色(あるいは白)という明るさの格差を作ることで、クッキリ見える部分(背景との明暗格差が大きい部分)と背景に溶け込んで見える部分(背景との明暗格差が小さい部分)を作り、これらを分離認識させてボディラインを隠蔽する効果があるようにも感じられる。
ちょっと考えると体全体が葉(背景)に近い単色の方が隠蔽効果がありそうな気がするが……単色であれば背景との格差がわずかでもあればボデイラインはむしろバレやすい。背景との色調格差が多少あっても、それを上回る体色の格差があった方がボデイラインをかく乱する効果はあるのかも知れない。

そんなことを思いながら、それではキバラヘリカメムシは、隠蔽系なのか(「目立ちたくない」のか)・警告系なのか(「目立ちたい」のか)──などと考えてしまった。
カメムシというと悪臭の武器(?)をもつことから警告系の印象が強いが、隠蔽仕様と思われるものもいたりはする。


ツヤアオカメムシは緑の葉にまぎれていれば見つけにくい隠蔽系だろう。アカスジカメムシはどう考えても警告系だ。しかし警告レベルの高そうなアカスジカメムシのカメムシ臭は実際はさほどきつくはない。この後にも記すキマダラカメムシはサクラなどにとまっていると樹皮にまぎれて意外に目立たなかったりするのだが、隠蔽系を思わせながらカメムシ臭は強い。
警告系で悪臭が強く、隠蔽系では悪臭が弱い──というわけでもないようだ(天敵が食べようとした時にどれだけダメージを与えられるか正確なところは判らないが)。
昆虫のデザインやカラーリングにおける「隠蔽」や「警告」の効果がはたしてどれだけあるのか(ないのか?)は、人が考えるほど単純ではないのかも知れない。

青リンゴの香りはどこから放たれるのか?

さて、キバラヘリカメムシの放つ《青リンゴの香り》だが──これまで何度か試してみたのだが……どうもバラツキがあるようだ。
「青リンゴそのもの──というと褒め過ぎ(?)かもしれないが、確かにそれ系の感じはする」と感じることもあったが、ほとんど無臭のことがあったり、逆にニオイがキツめに感じたこともあった。
青リンゴっぽく感じた時は、つまんだ指に残るニオイはあまり持続しない。ニオイがキツく感じたときは指についたニオイの残留時間も長かった──分泌される臭腺液の量・嗅いだ時の希釈のぐあいによって「青リンゴ感」は左右されるのかもしれない。
一度大量放出すると分泌物が貯まるまでニオイが薄くなるとか、あるいは時期によって(?)濃度が変化する──というようなことでもあるのだろうか。
色々と疑問はつきないが、その香りを発する臭腺開口部を確認してみた。


この個体↑は腹が黄緑色ぽかった。


指でつまんで撮影していたところ擬死状態になったので、撮りやすいように置いて撮ってみた↓。




臭腺開口部の位置がわかると、葉にとまった個体でも(近づければ)なんとか確認画像が撮れそうだ……と思い撮ってみたのが↓。


この小さな孔から《青リンゴの香り》は放たれる。

キマダラカメムシの臭腺開口部ふたたび

カメムシ成虫が「胸の腹側からニオイを発する」ことは子どもの頃に読んだ本で知ってはいた。知識としては知っていたが、じっさいにどこから出すのか具体的に見たことはないまま、ずっと「そういうもの」だと思ってきた。
遅ればせながら、「ニオイを出す孔(臭腺開口部)」を実際に確認してみなければ……と思いたったのがつい最近。最初はカメムシをひっくり返して腹面真正面から胸の辺りを撮って《臭腺開口部》なるものを探してみたのだが……よくわからない(種類によっても、判りやすいものと判りにくいものがあるようだ)。


腹面の真正面からでは《臭腺開口部》が確認しづらいことがわかり、見やすい角度を模索して、それらしいものを確認することができるようになってきた。
初めは《臭腺開口部》がよくわからなかったので、やむなくカメムシをつかまえ、ひっくり返して探さざるを得なかったが、構造がわかると、食植物にとまっているカメムシでも《臭腺開口部》を撮れそうな気がしてくる。
ということで、先日(*)指先にカメムシ臭のする茶色いシミを作りながら撮影したキマダラカメムシでも再確認してみたしだい↓。






【追記】サクラの幹にとまっていたキマダラカメムシ幼虫の臭腺開口部も撮影したので追加してみる。幼虫の臭腺開口部は腹の背面にある↓。




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コメント

No title
こんにちは。見られたのですか。こちらにもニシキキがあるのですが、どうも見当たりません。私はこの虫が体を「カクカク」と体を左右にゆする習性が気になってしかたありません。親も子も体をゆすってます。
No title
> 白樺平(シラカバビラ)さん

秋に集団がみられたニシキギ・ポイントをいくつか回ってみたのですが7月中頃までは見られず、別の木にいるのをいくつか見つけました。
ニキシギポイントには8月に入って実にとまっているのを見かけるようになりました。植物によって集まる(発生する?)時期に差があるのだろうか?……なんて思っています。
「カクカク」はまだ確認していないのですが、これから個体数が増えてくれば観察できるチャンスもあるだろうと期待しています。
No title
こんばんわ~!
以前ニシキギのはに沢山のキバラヘリカメムシが留まってるのを、
写真に撮ったことがあります。とても綺麗でしたよ!
青リンゴのような香りでしたら~嫌われないですみますね❦
('∇^d) ナイス☆!!
No title
こんばんは。
前回のキマダラカメムシといい、美しく詳細なお写真には、驚かされます・・・
美しいといえば、このキバラヘリカメムシの鮮やかな黄色、サイダーを想わせる青色・・・
この色彩には引き込まれてしまいます・・・
実際に香りをかいだことがありませんが・・・そうなんですか~(益々次回出会った時、その香りを確かめてみたく成りました!)
鮮やかな色彩の割には、葉の裏では目立たない、というところが・・・
(虫はよくできてるな~!)と思わさせられます!
茶色と黄色(青色)は、影と光の役割でもしてるのでしょうか?
いつも感じるのですが、素晴らしい観察力に脱帽です!!!☆
No title
> kaneo93さん

僕も秋にニシキギでたくさんのキバラヘリカメムシを見たことがあります。7月中頃に探した時は見つからず、8月にはいってわずかに見かけるようになったので、これから増えてくるのだろうと期待(?)しています。
けっこうキレイなカメムシですね。ニオイ的にも人気が出やすかったりして?
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

キバラヘリカメムシは「青リンゴの香り」というウワサを知って興味を持ちました。けっこうキレイなんですよね。
目立つようでいて目立たない?……警告系なのか隠蔽系なのか、ハッキリわからない部分もあるのですが、こうした見方自体が適切でないのかもしれない……という思いも含めて、とりあえず感じたり考えたりしたことを記してみました。
No title
12段目キバラヘリカメムシのペアですが、足の白い部分が葉の色と同化“隠蔽系”“警告系”という言葉を初めて知りました(^_^;)私は写して終わりの探究心0系(笑)ですが、これからはそちらの角度を意識し見てみますm(_ _)m
No title
> skittoさん

「隠蔽系」「警告系」は適当な言葉がないかと思い勝手に作ってみました。とりあえず、いわんとすることは伝わるだろうということで。

僕は「おもしろいと感じたもの」を撮るようにしています。画像は、僕が感じた「面白さ」を説明するための素材という扱い──文章とセットでようやく意味を成すという位置づけでいます。
なので、撮った画像をそのまま放置しておくと宿題を残したみたいな気持ち悪さがつのってきます。それで、こんなふうに感じたり考えたことと一緒にまとめているしだいです。
No title
サクラの幹に止まっていたキマダラカメムシ幼虫の臭腺開口部が撮れたので画像を追記。
No title
キバラヘリカメムシはツルウメモドキにいつもいますが、足の付け根の色に注目したことはありませんでした。
今まで見たキバラヘリカメムシを再度見てみると足の付け根は白が多く、黒、赤の順です。
あまりに自分の観察がいいかげんだな~~って実感!
しっかり見てしっかり感じとる虫撮りをしていこうと思う私でした。

青リンゴの香りについては「もし臭かったらどうしよう!」と臭ってみる勇気が未だ出ません!
No title
> ピンちゃんのママさん

キバラヘリカメムシは7月に探していた時は少なかったのですが、だんだん増えて来ている感じです。
香りを試してみたいのであれば、ビニール袋を手袋のようにはめて、ビニールごしにつかめば、手にニオイやシミがつく心配はないと思います。ビニール袋の中にカメムシを落としてシェイクしてから嗅ぐというテもあるかも(笑)。
No title
キバラヘリカメムシは何度も変身\(○ `O´ ○)/トゥーー!!するんですね。
あの卵とよく似たのを7月半ば過ぎに撮りました。
違うかも知れませんが陽に当たるとキラキラとした茶色でした。
良く観察されていて素晴らしいです。^^
No title
> まあささん

キバラヘリカメムシの卵は、初めて見たときは何の卵か判りませんでした。
キバラヘリカメムシがいる木のあちこちの葉の裏に産みつけられていたので、キバラヘリカメムシのものである可能性が高そうだとは思ったものの、クサギカメムシやキマダラカメムシの卵とはずいぶん違っていたので……。

帰宅後調べて、やはりキバラヘリカメムシの卵だったのかと納得したしだいです。
抜け殻になった卵の集団もあったので、こうしてどんどん増えて行くのでしょうね。
No title
青りんごの香り。。。
うーん、嗅いでみたいですが、カメムシ臭と思うとやはり及び腰になります。。。
理科の実験のときみたいに、手をパタパタとして嗅いでみたいです。笑
匂いが濃いのと薄いのとあるんですね。
放出したあとだと薄くなる、ということがありそうですね。
濃すぎず薄すぎず、が一番いい匂いなんですか??
No title
> noriさん

「青リンゴの香り」のウワサ確認──最初はオオクモヘリカメムシからだったのですが……爽やかな香りを期待しつつ半信半疑で嗅いでみたら「オエ~!」でした(笑)。
そんな経験もあったので、キバラヘリカメムシを(初めて)試してみた時は警戒しながらでしたが……「おっ、これなら合格!」と思いました。
ニオイは客観的に記するのが難しいので、ちょっともどかしくもあります。

ニオイの感じ方は、希釈のぐあいでけっこう印象が変わるのかもしれませんね。
オオクモヘリカメムシも、フラスコみたいなものに入れて、手でパタパタやったら、ちょうどいいぐあいのところがあるのかも?

次はオオトビサシガメのバナナ臭を確かめてみたいと思っています。

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