FC2ブログ

テングスケバとデング熱

葉上の小さな天狗・テングスケバ



7月末から若いクワの葉の上でテングスケバを見かけるようになった。その名のとおり、天狗の鼻を思わせる突起と透けた翅が特徴だ。この昆虫を初めて見たのが昨夏。予備知識はなく、偶然目にとまり「へぇ!? 日本にもこんな虫がいるのか!」と感心した。ユニークな姿にハマり、昨年はちょっとした《テングスケバ熱(ブーム)》だった。


オレンジがかった胸にあわいブルーという補色ストライプに、なんとなく熱帯っぽさを感じるのは僕だけだろうか?
とんがり頭部系のバッタの顔に体はヒシウンカ!?──透明なマントをまとったオシャレなバッタに見えなくもない。




顔は「とんがり頭部系バッタ」に似ているが、テングスケバはバッタ目ではなくカメムシ目。カメムシやセミのように植物の汁を吸うため、口の構造はバッタとはずいぶん違って針のようになっている。


ハゴロモが寄生蛾(ハゴロモヤドリガ)の幼虫にとりつかれているのはよく見るが、テングスケバもその対象のようだ↓。


この個体は2匹のハゴロモヤドリガ幼虫をつけていた。


白っぽいのが寄生蛾(ハゴロモヤドリガ)の幼虫。スケバハゴロモ、ベッコウハゴロモ、アミガサハゴロモ、アオバハゴロモ、オオヒシウンカなどにもつくらしい。チョウや蛾の仲間というと「植物食」のイメージがあるが、このように昆虫に寄生する蛾がいるというのは意外な感じがする。
ハゴロモヤドリガ幼虫はテングスケバなどにとりついて体液を吸ってようだが……テングスケバを撮っていたとき、実は僕も意外な虫にとりつかれ、食われていた……。
前腕にちみっと痛みを感じたので見ると、なんと、とんがり頭系バッタの幼虫が腕にとまって皮膚をかじっているではないか!?


偽瞳孔(擬瞳孔)がこっちを向いているように映るため、僕の反応をうかがいながら齧っているかのような、いたずらっぽい表情にも見える。
これはショウリョウバッタの幼虫だろうか?(※追記:skittoさんにご指摘いただきました→オンブバッタのようです) 植物食のバッタが、なんで僕を食っているのか?
クモに噛まれたピーター・パーカーはスパイダーマンになったが、バッタに噛まれた僕は仮面ライダーになれるのであろうか?

というのは冗談だが……ちなみにかじられた部分からは、わずかながら出血。その周辺は赤くなっていき、蚊に刺された痕のようになってしまった。
蚊刺症といえば……。

テングスケバ熱とデング熱

個人的には《テングスケバ熱(ブーム)》で盛り上がっていた昨年……世間では《デング熱》騒動に湧いていた。デング熱は蚊が媒介するウイルス感染症で、去年8月に日本では69年ぶりに国内感染が確認されて話題になった。東京の代々木公園で蚊に刺されて感染したと思われる患者が相次ぎ、園内で採取した蚊からデング熱ウイルスが確認されたことで、代々木公園は封鎖。蚊の駆除が行なわれた。しかし、封じ込めには失敗──感染地は新宿中央公園・上野公園・隅田公園・中目黒公園へと飛び火した。東京以外でも感染が確認され、最終的に感染者は160名にのぼったという。
そうしたことを受けてのことだろう──今年は狭山丘陵にも、こんな立て札がでていた。


蚊にご注意を!!
昨年は、デング熱の国内感染が確認されました。
感染症を防ぐために、蚊に刺されないことが重要です。
○長袖・長ズボンなどを着用し、肌を露出しないようにしましょう。
○裸足でのサンダル履きは避けましょう。
○必要に応じて虫よけ剤などを使用しましょう。


感染リスクを減らすために《蚊に刺されないことが重要》──ということで、刺されにくくするために肌を露出をひかえるよう、うったえているのだろう。しかし、夏に長袖&長ズボンスタイルでは熱中症のリスクが高まるのではないか?
狭山丘陵あたりだと《デング熱リスク》よりも《熱中症リスク》の方を警戒すべきではないかという気もするのだが……去年の《デング熱》騒動のインパクトがそれだけ大きく、警戒感が強まっているということなのかもしれない。

《蚊に刺されないことが重要》というのはその通りだろう。「ウイルスを保有する蚊に刺されないこと」は重要だ。と同時に「(ウイルスを保有する)感染者が蚊に刺されないこと」もまた重要なはずだ。「デング熱に感染したヒトから蚊へのウイルス供給を断つこと」が二次的な被害拡大を防ぐためには必要だからだ。
去年の報道を見るかぎり、後者の対応の遅れが感染拡大を許した一因だったのではないかと思われてならない。

当初、代々木公園で蚊に刺された人が相次いでデング熱を発症したとき──「ウイルスを保有する蚊に刺されないこと」だけではなく「(ウイルスを保有する)感染者が蚊に刺されないこと(媒介者である蚊にウイルスの供給をさせないこと)」を配慮した対応が必要だった気がする。
たまたま代々木公園を訪れた人が、そのわずかな滞在時間で感染していることを考えれば、代々木公園で生活している人たちが感染している確率はかなり高かったはずだ。こうした人たちを一時的にでも(ウイルスが消失する期間)、蚊のいないところで保護するような措置はとられていたのだろうか?
「ウイルスを保有する蚊に刺されないこと」を目的に公園は封鎖されたが、そのことで、代々木公園で暮らしていた感染の疑いがある人たちは別の公園へ移ることを余儀なくされたとしたら……。代々木公園で蚊に刺され感染していた人たちが、別の公園へ行き、そこで蚊に刺されれば、そこの蚊にウイルスを供給すること──新たな感染源を増やすことになるのは目に見えている。
感染地が代々木公園から、蚊の行動範囲を超えた別の公園に飛び火した理由は、蚊ではなく感染したヒトが移動したからだと考えるのが自然だ。

デング熱対策として、こうした立て札を立てるのも結構だが、去年のデング熱騒動について、きちんとした検証・反省はなされて、同じ轍を踏まない対策は充分に整っているのか……そのあたりが少し心配である。


スポンサーサイト



コメント

No title
こんばんわ~!
初めて見聞きするテングスケバ~羽が透けて綺麗ですね☆彡
('∇^d) ナイス☆!!

去年のデング熱騒動は、私はヤブ蚊の多い場所に住んでるので
とても怖かったです!
今年は未だ大丈夫のようですね
No title
> kaneo93さん

テングスケバは僕も去年はじめて知ったのですが、ルックスがイイですね。
イネ科植物につくらしいのですが、僕は若いクワでしか見たことがありません。

デング熱など、国内に入って来ることは阻止できないにしても、拡がる前に封じ込めるような対策は必要だと思います。
No title
こんばんは・・・
テングスケバ様の存在を、最初(やくみつる)さんの本で知りました!(ご本人さん、テングスケバを大層お気に入りの様でした!)

ハゴロモヤドリガの幼虫に興味津々です!
同じカメムシ目のセミにもセミヤドリガと言うものがいますね・・・
子供の頃、セミを捕まえた時、そのヤドリガの幼虫を観た時は、気持ち悪くて怖かったです・・・だのに、今は・・・(笑)

え?バッタが人の皮膚をかじる!(おしりでなく!?)
凄いです!初めて見聞きした現象です!
それで、仮面ライダーになられたのですね!!!・・・
(あの身のこなしは・・・バッタにかじられた事が原因で!?・・・)「凄い!・・・凄い凄い・・・」

昨年の蚊によるデング熱の広がりには、恐怖しました・・・
そう言えば、やたら・・・蚊を退治する事や蚊に刺されないためどうすればよいのか?・・・ばかりに力が注がれた様に想います。
(現に私も、虫を観察する際は、異常なほどに蚊対策!マダニ対策!)
今年はどうなのでしょう?外で遊べない子供達が増えてます!
人と虫の距離が遠ざかるばかりですね・・・☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

テングスケバ、やく氏もお気に入りの昆虫でしたか! わかる気がします。
テングスケバにハゴロモヤドリガ幼虫がついているのは今回初めて見たのですが、ハゴロモについているのはよく見ます。
昨年の【白い後翅を持つハエ!?/http://blogs.yahoo.co.jp/ho4ta214/34965817.html】でもそんな画像を載せましたが。
ハゴロモヤドリガはセミヤドリガのミニチュア版といった感じですかね。僕も初めて見た時は正体不明の気味悪い物体(寄生蜂の繭かなにか?)に感じました。まさが蛾の幼虫だとは……想定外でした。

動画は若かりし頃(といってももうかなり錆び付いていた頃)のもので、1人でスーパーヒーローものを撮るという無謀なチャレンジをしたときのものです(笑)。

去年のデング熱騒動では日本の危機管理能力のお粗末さが露呈した気もしています。
やがて発生するだろう強毒性の新型インフルエンザや、エボラ出血熱などの危険度の高い感染症が国内で発生した時、ちゃんと対応できるのか、不安を感じています。
No title
テングスケバはシースルーで涼しげで綺麗です。
バッタに噛まれるんですね~。(*≧m≦*)
気を付けなくては。

動画は以前にも拝見しましたが何度見ても凄い!です。
これで怪我をしないほうが不思議です。(やはり仮面ライダーか?)

話は戻りますが寄生されたら可愛そうですね。(;_;)
No title
> まあささん

まさかバッタにかじられるとは意外でした。テングスケバの撮影中にちみっと痛みを感じたのですが、そのときはモニターから目を離せず、植物のトゲでも当っているのだろうと思っていました。痛みが継続していたので見ると、なんとバッタの幼虫!
「何かの間違いでは?」と思って見ていたのですが、明らかに噛み続けていました……こんなこともあるのですね。

アクロバットの運動イメージは脳内に残っているのですが、肉体が再生できないだろうことは確実なので、ずっと封印しています。

ハゴロモヤドリガですが……寄生されたハゴロモは特に弱る事もなく羽化するなんて記事もみたことがあります。ふつう寄生昆虫に寄生された虫は残念なコトになってしまいがちですが……そういった意味でもハゴロモヤドリガはちょっと不思議な寄生蛾ですね。
No title
テングスケバ初めて知りました、熱帯魚のような模様綺麗です。それにしてもバッタにアイされるとは(笑)このバッタ多分オンブバッタの雄ではないでしょうか、細かい点々と平べったい胴の感じがそっくりです。
No title
星谷仁さんのブログをヒントに、昨日撮影(8/1ブログに掲載済)の蛾に似た翅の虫を検索したところベッコウハゴロモのようです、ありがとうございました(^_^)/
No title
> skittoさん

テングスケバはトロピカルなイメージを感じますね。
バッタの幼虫は、ご指摘ありがとうございます。改めて画像検索してみるとオンブバッタのようですね。本文にも訂正を追記しておきました。

テングスケバのいる若いクワではハゴロモの仲間もみかけますが、幼虫・成虫ともに面白いですね。

管理者のみに表示

トラックバック