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スコーピオンフライのギミック

スコーピオンフライ/ハサミ(把握器)のギミック

サソリ(Scorpion)のように尾(?)を巻き上げた姿からScorpionfly(英名)と呼ばれるシリアゲムシ。腹端にハサミムシのようなハサミ(把握器)を持つのはオスの特徴で、このハサミはオス同士の喧嘩やメスとの交尾の際に使われる。
ヤマトシリアゲは、よく目にするシリアゲムシだ。5月~6月に出現する成虫は黒っぽいが、7月~9月に出現する成虫は黄褐色になる。


ということで、ヤマトシリアゲの春型♂。この昆虫を初めて見たときは、《サソリとハサミムシのギミックをあわせもったフシギな虫》という印象を受けた。生き物の多様性を感じさせる独自の生態ギミックは好奇心を刺激する。
《毒針をかざしてかまえるサソリの尾》はカッコイイ。《クワガタの大顎を思わせるハサミムシのハサミ》もユニークで魅力的だ。その2つが合体したかのようなギミックを装備した昆虫がいるとは……ちょっとした驚きがあった。
シリアゲムシの英名が「Scorpionfly」というのも合点がいく。ちなみに、本家サソリ(Scorpion)はこんな感じ↓(以前飼育していたダイオウサソリ)。


本家サソリの場合は巻き上げた尾の先についているのは毒針だが……シリアゲムシ♂が装備しているのは可動式のハサミ。よりメカニカルな感じがしてカッコ良いではないか。
実はシリアゲムシの存在を知る以前、こんな宇宙生物を想像して描いていたことがあった↓。


カッコ良いデザインをと考えて《サソリの尾》の先端に《ハサミムシのハサミ》をもたせることを思いついたわけだが……まさかこんなギミックを持つ昆虫が実際に存在していようとは……。
この想像上の宇宙昆虫にも本家サソリにも翅は無い──これに対して、ヤマトシリアゲは翅を標準装備しており飛翔能力まで備えているという「てんこ盛り」の設定なのだからスゴイ! あっぱれ、スコーピオンフライ(Scorpionfly)!
いかつさではダイオウサソリの迫力におよばないが、生態ギミックの凝りようではヤマトシリアゲ♂の方が勝っている。次の2枚の画像──違いに気づかれるだろうか?




違いは腹端のハサミ(把握器)の部分。シリアゲムシ♂最大の魅力(?)であるところのハサミからアンテナのようなもの見え隠れしている。まるで腹端に大顎をもつもう1つの頭があって、その触角が動いているかのようだ。




いったいこれは何をしているところなのだろうか? オスの交尾器はフェロモン放出にも関係しているらしいが……このY時型カバー(?)の開閉運動はフェロモン放出と関係あるのだろうか?


ハサミから立ち上がる「Y字器官」が何なのか知りたくて検索してみると「下付器」と記されているサイトがあった。この姿勢ではハサミ(把握器)の「上」側になるが、腹端を巻き上げているので、「上」が腹面にあたり「下付器」なのだろう。反対側(画面「下」側)にも可動式のフタのような(?)パーツがあるのだが、これは逆に背面にあたるので(だろう)「上付器」と記されていた。
ただ、この器官がどういう役割りを果たしているのかはわからなかった。
何だかよくわからないけれど……とりあえずメカニカルなところはカッコ良い!
このようすを見ていると、巻き上げていた腹が伸びて……




排泄行動もメカニカルでカッコ良い!
ちなみにメス↓──腹端にハサミはない。




画像ではわかりにくいが、メスの腹端には小さな「Y」字型の器官がある。

ヤマトシリアゲの《婚姻贈呈》

見た目もフシギなシリアゲムシだが、《婚姻贈呈》という生態的にもユニークな特徴を持っている。オスがメスにエサをプレゼントをし、メスがそれを食べている間に交尾をするというもの。交尾の際にかならず《婚姻贈呈》が行なわれるというわけではないというが……この習性もおもしろい。
オスが狩った獲物をメスにプレゼントして交尾をするという習性はオドリバエなどにもあるというが、シリアゲムシは積極的にハンティングする昆虫ではなく、死骸や糞などをエサとしているようだ。
擬木の上には鳥のフンや蛾の幼虫などの死骸がある(サシガメやオサムシなどが擬木遭難して登ってくる昆虫を捕食するので、その残骸も多い)。こうした鳥糞や虫の死骸のそばにヤマトシリアゲ♂が陣取っているのをよく見かける。ヤマトシリアゲの《婚姻贈呈》は、オスがみつけたエサのそばに縄張りをはってメスが来るのを待ち、メスが食餌している間に交尾を行なう──というスタイルのようだ。

蛾の幼虫の死骸の周りにたむろするオスたち。一番手前のオスが獲物に近づく他のオスたちを追い払う行動が見られた。





食餌中の♀と交尾する♂(右)。♀が食べているのは鳥の糞のようだ。




別のペア↓。




今回撮った画像ではちょっとわかりづらいので、以前紹介した夏型(秋型)のヤマトシリアゲ(*)の画像を再掲載↓。




7月~9月に出現する成虫は体色からベッコウシリアゲと呼ばれたりもするらしい(以前は別種と考えられていたとか)。

クモの巣にとらわれたヤマトシリアゲがいる……と思ってよく見たら、




毛虫の死骸で食餌をしているところだった。カメラを近づけると口吻を獲物から離してしまったが、このシルエットは何やらカッコイイ──小さなドラゴンに見えなくもない。こんな姿を見ると「Dragonfly」でも良かったような気がするが……それは既に「トンボ」で使われているか……それで「Scorpionfly」になったのだろうか?

ヤマトシリアゲは珍しい昆虫ではないし、世間一般的には(?)どちらかといえば影が薄い虫──という感じがしなくもない。
しかし、よく見るとなかなかどうしてカッコイイ! もっと人気があっても良いのではあるまいか?──そう思うのは僕だけであろうか?
頑張れ、ヤマトシリアゲ! 負けるな、シリアゲムシ!!

おまけ:今年もラミーカミキリが出現



2012年に初めて発生を確認した近所のポイントで、きょう今シーズン初のラミーカミキリが発生しているのを確認。画像は♀だが、♂♀ともに複数みられた。お気に入りの昆虫の1つなので、記録を兼ねて記しておくしだい。


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コメント

No title
こんばんは。
・・・ヤマトシリアゲの素晴らしい観察記録に、時の経つのも忘れ見入ってしまいました・・・
只々、タメ息です・・・「凄いです・・・」

何が素晴らしいかと言いますと・・・全てです(笑)
と申し上げたい程、感動的でした!!!☆
♂♀の腹端の特徴的なハサミの詳細なお写真!解説!
(婚姻贈呈)から交尾に至るまでの詳細なお写真と解説と観察記録!
驚きの連続でした・・・

・・・メタモルフォーゼ!目から鱗!・・・
とにかく感動致しました!!!・・・
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

いやいや、お恥ずかしい……ヤマトシリアゲは特にオスのハサミがカッコイイのに、なぜかあまり注目されない……そんな思いと、ハサミでピコピコ動く触角のような器官が面白いので取り上げてみました。
この虫のことは以前も紹介した事があったのですが、当時使っていたカメラでは「ピコピコ」をキレイに撮ることができず残念に思っていました。ということで、今回あらためて取り上げてみたしだいです。
虫見でもスルーされがちなヤマトシリアゲにエールを!(笑)──でもないですが、もう少し注目されてもいい虫ではないか……なんて思っています。
No title
確かに地味な昆虫ですね。
時々、ハチと間違えたり毒があると言う方がいますが、確かにその姿だと毒があるように見えなくもないですね
No title
> タイコウッチさん

一般的には地味な部類に入るんでしょうね。
きゃしゃだし、パッと見、ガガンボっぽい感じがしないでもないし……。

危険昆虫と誤認されることがあるんですか……巻き上げたハサミがサソリを連想させるので、刺すイメージ・毒を持つイメージを持たれやすいのかも?
個人的には、ちょっとミステリアスな雰囲気を感じないでもありません。
No title
おっ,ラミーさんですね。
私もまた見つけに行ってきます。
週末が楽しみです。
No title
> ハタボーさん

ラミーカミキリはちょっと不思議な存在感を持っていますね。毎年みつけるたびに「おっ、今年も出たか!」と嬉しくなります。

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