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春の蝶はなぜ白線にとまるのか?



チョウの日光浴

この時期になるとチョウたちが活動を始める。陽だまりで翅を広げる姿を目にする機会も増えてきた。そうすることで日光を受ける体表面積を増やし、効率的に体を温めているのだろう──チョウが陽だまりで翅を広げるのは、活動体温を得るための行動だと僕は解釈している。




先日知ったのだが、コツバメという春のチョウは翅を開かずに体を傾けて日光浴するそうだ。


ネット上の《体を傾けて日光浴するコツバメ》の画像を見て、以前飼っていたカメレオンの日光浴ポーズにそっくりだと思った。カメレオンは熱帯性の爬虫類だが日光浴が必要(活動体温を得るというだけでなくカルシウムを吸収するのに必要なビタミンD3合成のため)だというので冬でも日光浴に出していたのだが、煎餅のように体を平たく広げ、広げた面を太陽光と直角になるように傾けて陽を浴びていた。体色も光の吸収率が高まるよう黒く変化させるという凝りようで感心した。


この2枚の画像↑は同じ個体。冬の日光浴モードは、まるで別人ならぬ別カメレオンに見える。それだけ日光浴は重要だということだろう。このカメレオンの日光浴で体を傾ける(広げた面を太陽に向ける)ポーズが《体を傾けて日光浴するコツバメ》にそっくりだった。
多くの外温性(変温)動物にとって、活動体温を得るためにも日光浴は必要だろう。春先に発生するコツバメがカメレオンと同じようなポーズをとっているのはわかる気がした。
ただ、コツバメの場合、他のチョウがやっているように翅を広げた方が日光を受ける表面積は増えるはずだ。なぜ翅を閉じたまま日光浴するのか疑問に感じないでもない。もしかすると、翅の表側が反射率が高い色(繁殖活動では目立つ方が有利なため?)で裏側が逆に地味な色合いだった場合、翅の裏側で日光を吸収する方が効率が良いのかもしれない。活動していない時(体温チャージ中)は、目立つ翅の表は隠しておいた方が天敵に見つかる危険は減らせるだろうから、翅を開かずに日光浴するのにはそうしたリスクとの兼ね合いも関係していそうな気がする。

春先に日光浴しているチョウを見ていると翅を閉じると(翅の裏側が)地味な色のものも少なくないようだ。落ち葉の中、あるいは樹皮にとまったときに隠蔽効果があるのだろう。




翅を広げて日光浴していても、近づくと翅を閉じてしまいがちなのは、目立つ翅の表面を目立たぬ翅裏で隠すという意味があるのかもしれない。
そんな春先のチョウを見ていてフシギに感じることがある。
この時期、遊歩道で日光浴する姿を目にするのだが……ナゼか《路面に引かれた白線部分の上にいることが多い》──ということだ。落ち葉の中や木の幹でなら隠蔽効果のある翅の裏も白線上では全く意味をなさない──目立つことこの上ない(天敵に見つかりやすい→生存に不利な)スポットに、どうしてわざわざ身を置くのだろうか?


白線の上では「隠蔽効果のある翅」も役にたたず。かえって目立ってしまう。


なのに、どうして白線を好んでとまるのだろう?


このヒオドシチョウ↑は右後翅が一部かけていた。近づくと翅を立てたり飛んだりするが、やはり白線の上に降りて翅を開く。


これは別個体↓。白線ではないが白い柵にとまっていた。


舗装された路面全体からすると白線の面積の割合はごくわずかだ。なのにそこに降りたつことが多いのは偶然でなく、積極的に白線を選んでいるとしか思えない。

チョウはなぜ白線にとまるのか?

暖をとるための日光浴であれば、白線の上よりも黒っぽいアスファルトの上に降りた方が、(日光の吸収が高いぶん温まっていそうだから)良さそうな気がする。
また、暖をとる目的でなかったとしたら(ただ翅を休めるためにとまるのであれば)、白線でない路面部分に降りた方がいくらかでも目立ちにくいぶん安全だろう。わざわざ白線の上を選んで止まることは、目立って天敵に襲われるリスクを増やす不利な行動のようにも思えるのだが……。
「なのに、どうして白線を選んでとまるのだろうか?」
──と考えてみた。
気温が低い時期のチョウにとっては「明るい場所」→「陽が多く当る」→「活動体温を得るのにふさわしい所」というような判断?が働いているのではないか?
「判断」というよりは「システム」といった方がふさわしいかもしれない。
人のように「寒いから暖かい場所に移動する」という感覚は昆虫には無いだろう。《気温が低い時には「明るい場所」へ》という単純なシステムを持ったものが生存率を高めて、こうした行動が定着したと考えるのは理にかなっているように思う。
「温度を感知して、適温場所を探す」というやや複雑な(?)システムより「活動体温が足りない時は、明るい場所へ移動する」という比較的単純な(?)システムの方が進化上リーズナブルだったのではないか。
「飛んで火にいる夏の虫」なんて言うが、「熱さ」を感じていたなら虫が火に飛び込む事はないだろう。暑さ寒さの感覚とは別の基準で行動は支配されていると考えるのが自然だと思う。
先日知人の虫屋さんが、雪上に降りて動けなくなっていたタテハの画像を投稿されていた。わざわざ冷たい雪上に降りなくても良かろうに……と思ってしまうが、これも、温度を頼りにしたのではなく「明るい場所へ」というシステムに従った結果なのではないか……という解釈もできそうな気がしないでもない。

また、もしかすると……白系の反射率が高い花に集まる習性のようなものがあったとしたら、「明るいポイントの選択」というシステムと何か関係があるのかもしれない。活動体温を得るということとエサ探しは全く別のことだが、共通するシステムで運用・応用できるとすれば、その方が効率的だ。

元々は自然界に存在しなかった「路面の白線」はチョウたちにとって想定外だったのかもしれない。明るい雪の上に降りて寒さで動けなくなってしまうというデメリット・ケース(誤作動?)もあるようだが、トータルでは「明るい場所へ」というシステムはチョウたちの生存率に有効に働いていた……そのために定着した習性なのではないかという解釈も成り立ちそうな気がする。

あるいは、目立つ所に身を置くのは天敵から狙われるリスクを高める一方、配偶者に見つけてもらいやすくなるということでもあるのかもしれない──だとすると、繁殖率を高めるという意味がある行動なのだろうか?

僕はチョウのことはよくわからないが……白線にとまるチョウを見て、そんなふうにあれこれ想像をめぐらせてみた。例によって無知な素人の脳内シミュレーションにすぎず、この解釈が当っているのかどうかはわからない。

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コメント

No title
こんにちは~(*^-^*)

春になりましたね^^これからは色んな昆虫たちも行動が活発になると思いますので^^星谷さんの観察力は益々熱くなりますね^^

鋭い視点で観察、そして解説には勉強させられます。。
何も知らずに、ただ、眼にとまったらアッ…虫たちがいるwww・・・
そして、通り過ぎちゃいますよ(笑)

ありがとう~

ナイス★
No title
> みえちゃん♪さん

桜が開花する頃から春は急加速する感じがします。
目にする昆虫たちも増えてきましたが、その営みの中に、人間が作ったものではない世界がかいま見れるようで、色々なことが気になってしまいがちです(笑)。
No title
私も以前、テングチョウが白線、白い石、白いパイプと白から白へ移動してたのをみて疑問に思いアップしました。
謎は解けないままでした。
星谷さんのお話に妙に納得しました。
ベニシジミも明るい落ち葉に止まります。
ヤマトシジミも明るい色の石やコンクリートに止まるような気がします。
虫としゃべれればいいのですが・・・・・・
No title
> ピンちゃんのママさん

ピンちゃんのママさんも気づいておられましたか。
最近はテングチョウをよく見るのですが、このチョウは白い所が好きなようですね。
最初に白線にとまりがちなことに気づいた時は、犬糞のかほりでも残っているのだろうか?──なんてコトも考えたのですが、あちこちで白線にとまるのを見て、どうやら明るい色に集まるのだろうかと思い、その理由について想像してみました。当っているかどうかはわかりませんが……虫は色々想像力を刺激してくれますね。
No title
> 星谷 仁さんありがとうございます^^

白線に留まる蝶さんたち、車の下敷きになりそうで・・・
ちょっと心配ですね。。
自然界の営みの中で人間社会の中で暮らす(生きる)昆虫たち、居場所を失いながら新しく息のBているのでしょうか!?
No title
訂正します^^:

居場所を失いつつも生き延びているのでしょうか!?

失礼しましたm(__)m
No title
> みえちゃん♪さん

画像は遊歩道なのですが、自転車がよく通るので轢かれやしないかとヒヤヒヤすることも。
ヒトはヒトに都合の良いように環境を変えてきましたが、新たな環境に適応する形で──ヒトの意図しないところで虫たちも適材適所な(?)生き方をしているのでしょうね。

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