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冬尺蛾シロトゲエダシャク~非冬尺オカモトトゲエダシャク&偽冬尺?

フユがつかない冬尺蛾シロトゲエダシャク

先日、サクラの幹にとまっているシロトゲエダシャク♀をみつけた。擬木ぞいの木で、ちょっと高いところ。


見つけたとき、ちょっと意外だったのが、頭を下にしていたこと。虫見歩きをするときは、視界の景色の中からいちはやく昆虫の姿を脳内検索できるように想定昆虫のイメージをあらかじめインプットしているが、思い描いていた検索イメージは頭を上にしてとまっている姿だった。鉛直面にとまるフユシャク♀は上を向いている印象があったが、こんな姿勢でいることもあるのかと思った。
撮るには高いところだったので、擬木の上に登ってさらに木に片足をかけ、なんとか指に移動させて回収。


産卵前の個体のようで、腹節のつぎめから卵のつまった緑色の内層がのぞく──チビTシャツのすそから豊満な腹がはみだしているかのような「はみ腹」状態。緑の「はみ腹」はやや体をそらすような姿勢になると目立たなくなった。






撮影後はサクラの幹に返した。大きめのフユシャクだが、幹にと止まると意外に目立たない。




常連だったシロフフユエダシャクやフユシャク亜科のフユシャクがだいぶ減ってきたが、シロトゲエダシャクは今がピークなのかもしれない。こんなところでも見られた。


ネジの凹みに重なるようにしていたのは、シロトゲエダシャク♀の小さめの個体だった。シロフフユエダシャク♀もよくこんな凹みにはまっていることがある。


身を隠すところがない平坦な人工物では、せめてもの気休め(?)で、こんなちょっとしたくぼみや溝などを居場所に選ぶのかもしれない。


このシロトゲエダシャク♀はサクラの幹にいた♀よりだいぶ小ぶりに見えた。体長でいえばわずかな違いなのだろうが、直感的にボリュームがイメージできるように1円玉比較の画像を並べてみた↓。


フユシャクは、飛翔力のある翅を持つ♂と翅が退化して飛べない♀では見た目がかなり違う。ということで、比較用にシロトゲエダシャク♂の画像も↓。


シロトゲエダシャク♀の空目

さらに今日、擬木ウォッチで偶然出会った市川さんがみつけたシロトゲエダシャク♀。この胸の背面の黒いもようが犬の鼻に見え、デフォルメしたタレ耳犬に見えてしまう。あるいは、アニメ『チキチキマシン猛レース』のケンケンや『ヤッターマン』に登場する犬型ロボット・ヤッターワンのイメージが脳裏に浮かんでしまうのは僕だけであろうか?


冬尺蛾なのに「フユ」がない?/「トゲ」の由来は?

ところで、この【シロトゲエダシャク】はフユシャクなのに名前(標準和名)に「フユ」が入っていない。
同じ時期に出現している【トギレフユエダシャク】が「トギレエダシャク」から「トギレフユエダシャク」へと「フユ」が追加・変更されているのに、同じ時期に活動している同じエダシャク亜科のフユシャク【シロトゲエダシャク】は「フユ」がつかないまま。「フユシャクなのに、どうしてフユがつかないのだろう?」と疑問に思ったことがある。
「フユシャク」は年1回冬に成虫が出現し、メスは翅が退化し飛ぶことができないという特徴をもつシャクガ科の総称で、フユシャク亜科・ナミシャク亜科・エダシャク亜科の3つのグループにまたがっている。ナミシャク亜科に含まれるフユシャクは「フユナミシャク」の名前がつけられていて、同様にエダシャク亜科は「フユエダシャク」が多い……のに、シロトゲエダシャク・シモフリトゲエダシャクフチグロトゲエダシャクなどは「フユエダシャク」ではない。僕は素人で分類や和名のつけ方についてよく判らないが……これらはすでに「トゲエダシャク」というくくりの名前がついているため、「フユエダシャク」にならなかったのではないかと想像している。フユをつけるとすればグループ名「トゲエダシャク」の頭となるため「フユトゲエダシャク」……これでは「フユエダシャク」の規則性は損なわれる。それで「フユ」なしの「トゲエダシャク」がそのまま使われているのではあるまいか?
「トゲエダシャク」の名前の由来については<フユシャク図鑑>に《トゲエダシャクの「トゲ」とは幼虫の背の突起に由来するという》という記述があった。
ただ、フチグロトゲエダシャクの幼虫を検索してみたところトゲは確認できなかった。「トゲエダシャク」の名前がついているからといって、すべての種類にトゲがあるわけではないのかも知れない。別の例でいうと「ドクガ」の名のつく蛾で毒のない蛾もいる。分類上ドクガの仲間ということでそう名付けられただけで実際には毒を持たない種類がむしろ多かったりする。そういったことを考えると「トゲエダシャク」の名前がついていながらトゲがないシャクガがいても不思議はないだろう。実際にトゲがあるかないかではなく分類的な判断で「トゲエダシャク」の仲間と位置づけられた種類もあるだろう……素人なりにそんな解釈をしているのだが、ホントのところはわからない。

冬尺蛾ではないトゲエダシャク・オカモトトゲエダシャク

「トゲエダシャク」つながりで──シロトゲエダシャクと同じ時期に活動しているフユシャクでない蛾もいる。ということでシロトゲエダシャク♀と同じ日に見つけたオカモトトゲエダシャク♀。見てわかる通り、♀にも♂同様、立派な翅があり、翅が退化したフユシャクとは一見して違う。








可変翼機のようなメカニカルな翼系ならぬ翅をもつオカモトトゲエダシャク。フユシャクではなく早春の蛾として知られているシャクガ科の蛾──冬尺蛾ならぬ春尺蛾!?
カッコ良いので見つけるとついカメラを向けてしまいがちだ。メスにもこのカッコ良い翅があるのだが……メスの翅はちゃんと機能しているのだろうか?──などと、うっすら疑っていたりもする。
検索してみると♂は灯火に集まるが♀はめったに来ないとか、♀は少ないというような情報がヒットするが、ギボッチ(擬木ウォッチ)で見ているかぎり、♀が特に少ないというような印象はない。灯火採集等で♀が少ないというのは♀の飛翔能力が貧弱だからではないのか……そんな可能性を考えてしまう。♂と同じような翅と飛翔筋があったとしても、卵がつまった重そうな腹をかかえて♀が飛ぶのは大変そうだ。オカモトトゲエダシャクのメスは飛ぶのが苦手なのではないか……そんな気がしないでもない。

♀の翅は退化しているが冬尺蛾ではないメスコバネマルハキバガ

シロトゲエダシャクや前の記事であげたトギレフユエダシャクなど、冬終盤のフユシャクが活動する時期に出現するフユシャクっぽい蛾がいる。♀の翅が退化し飛ぶことはできないのもフユシャクと同じ。だけどフユシャクではない蛾──僕は「なんちゃってフユシャク」と呼んでいる。






【メスコバネマルハキバガ】というメスコバネキバガ科の蛾。その名の通りメスが小翅なので初めて見た時はてっきりフユシャクだと思った。しかしシャクガ科ではないので「フユシャク」とは呼ばないらしい。
フユシャク・フリークにはハズレ感がある蛾かもしれないが、「フユシャクがおもしろい」と感じるのと同じ特徴を持っているということで、僕にとってはこの蛾もやっぱりおもしろい。

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コメント

No title
お世話様でした。
やはり幼虫のトゲが正解なんですね。
良く利用するサイトですが見落としていました。
メスコバネマルハキバガも面白いですね。
探し出したいです。
No title
> 市川さん

フユシャクなのに「フユ」がつかないこと、「トゲ」の由来については僕も気になっていたので、調べてみたり考えてみたことを記してみました。正確なコトはよくわかりませんが……今はこんなふうに解釈しています。

メスコバネマルハキバガはこれまでトギレフユエダシャクと同じ頃に出始めているので、これから目にする機会が増えるのではないかと思います。
No title
こんばんは。
・・・トギレフユエダシャク♀・・・
・・・シロトゲエダシャク・・・
・・・メスコバネマルハキバガ♀・・・他

メモらせて頂きました~!!!☆・・・
メスコバネマルハキバガ♀はフユシャクに見間違えてしまいそうです!(万が一の出会いの時のために、メモメモ!)
・・・シロトゲエダシャク♀の特徴をメモる際、胸部背面に黒い三角形の模様を入れてました!(笑)
「そうか~!ケンケンとして覚えると最高ですね~!(笑)」
翅の形も三角形っぽいな?なんて思ってました・・・

いや~・・・
こうして特徴を捉えた判別方法に、感動してるところです・・・
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

フユシャクの存在を知って「へぇ! こんなのがいるのか!」と翅が退化した♀に注目して探し始めた頃、初めてメスコバネマルハキバガ♀を見たときはてっきりフユシャクだと思って疑いませんでした。
調べても種類がわからず、正体を知ったのはだいぶ後になってからでした。
フユシャクじゃないのだから、フユシャクの中で探しても見つからなかったわけですね。
ツノトンボをみつけて「ツノがはえているトンボだ」と思ってトンボの仲間を調べ「載ってない……」と首を傾げるのと同じですね(笑)。

シロトゲエダシャクは個体によって模様に差があるのですが、バセットハウンドやビーグル犬に見えてしまうことが……見かけた時はお試しあれ。
ケンケン冬尺ってニックネームは覚えやすいかもしれませんね(笑)。

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