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セーブル冬尺!?

今シーズン初のクロテンフユシャク



最初オスがいることに気づき、近づくとわずかに浮いたオスの翅のふちからメスの脚がのぞいている──今シーズン初確認のクロテンフユシャクはペアだった。




フユシャク(冬尺蛾)は冬に成虫が出現するシャクガ科の蛾。【フユシャク亜科】【ナミシャク亜科】【エダシャク亜科】の3つのにまたがっているが、いずれも♀は翅が退化して飛べない。フユシャク亜科では♀の翅の退化が顕著で、どれも似ており、♀だけで種類を特定するのは(僕には)難しい。しかし、こうして交尾をしていれば♂を見て見分けがつく。
クロテンフユシャクは♂もウスバフユシャクとよく似ているが、見分けるポイントがいくつかあるようだ。その1つが外横線と呼ばれるライン。ウスバフユシャクは直線的で翅の縁と鋭角を成しているが、クロテンフユシャクはこのラインが「く」の字に曲がって翅の縁に直角に近い角度で接している。


フユシャク亜科のフユシャク♀は単体でいると同定しにくい……。




余談だが……フユシャクという冬に活動する蛾がいることを知った時は驚いた。蛾なのにメスは翅が退化して飛べない──というのもユニークに感じで、フユシャクを探すようになった。当初はクロテンフユシャクとウスバフユシャクの♂の見分け方もわからなかったのだが、それでもウスバフユシャクよりクロテンフユシャクに関心があり、僕の中では「クロテンフユシャク」の方が断然ポイントが高かった。
というのも……「クロテンフユシャク」は和名のひびきが良い。名前に「クロテン」が入っているのがよろしい。「クロテン」で思い浮かぶのは「黒貂」だ。いわゆる「セーブル(sable)」。フェレット(家畜化されたケナガイタチ)にも基本的なカラーで「セーブル」と呼ばれるものがある。もちろん「クロテンフユシャク」の「クロテン」はオスの翅にある模様の「黒点」に由来するのだろうが……とりあえずイタチ科の動物がからんでいれば(?)、僕的にはポイントが高い。僕は植物にはあまり関心が無いのだが、「ニオイタチツボスミレ」に反応してしまったなんてこともある。文字列の中で「イタチ」がまず認識されてしまう。
さらに余談だが、以前、偶然目にした小学生向けの学習帳の表紙がクロテンだったことから、使いもしないのにこれを衝動的に買ってしまったなんてこともあった。いいぞクロテン! がんばれ、イタチ科動物!


僕がクロテンの表紙で衝動買いしてしまったように、かつてはジャポニカ学習帳を「昆虫の表紙」で選んだ子もいただろう。ジャポニカ学習帳の表紙から昆虫写真が消えたのは、返す返すも残念だ(ジャポニカ学習帳から昆虫が消えた問題)。

増えつつあるシロフフユエダシャク

イチモジフユナミシャクやチャバネフユエダシャクも旬を過ぎ、それにかわってシロフフユエダシャクが徐々に出てきた感じがする。


イチモジフユナミシャク♀は苔むした桜の幹や枝の日陰側にいることが多い(*)のに対し、シロフフユエダシャク♀は日向に出ていることも多い。寒い時期なのでやはり暖かい場所を好むのだろうか? 木にとまっていたら気づきにくい色合いだとは思うが……日向に出ていると鳥に見つかったりしやすいのではないか……と思わないでも無い。イチモジフユナミシャクに比べると数が多い(昨年はピーク時には擬木ウォッチコースで40匹以上の♀を確認)ので、鳥の淘汰圧に数で対抗しているのかもしれない?
この♀も陽の当たる擬木上にいた。順光で撮ると影ができコントラストがきつくなるので、枯葉に移動させて撮影↓。




翅が退化したユニークな♀に比べ、♂は普通の(?)蛾↓。


フユシャクではないけどメスの翅が退化した蛾

フユシャクというと「蛾なのにメスは翅が退化して飛べない」というイメージがあるが、同じ特徴を持つ蛾は他にもいる。メスコバネマルハキバガはフユシャクのトギレフユエダシャクと同じ頃(3月~4月)に見られる蛾で、メスは翅が退化しているが、シャクガ科ではないからフユシャクとは呼ばないらしい。また、ヒメシロモンドクガのように、春~夏に羽化するメスは普通の蛾なのに秋に羽化するメスだけ翅が退化する──という変わったものもいる。
ギボッチ(擬木ウォッチ)していると、ときどき目にするミノムシ──ミノガの仲間も成虫になるとオスは翅を持つがメスは持たないものがいる。
ということで、羽化したあとの抜け殻がのぞくミノ。


僕は長い間、ミノムシのミノは寝袋のような構造で、開口部は1つしかないものだと思い込んでいた。ところが糞をするとき、ミノムシはふだん頭をのぞかせるのと反対側──ミノの下側を明けて排出するそうだ。下側にも開口部があると知って驚いたが……「下の開口部をどうやって明けたり閉じたりしているのだろう?」と不思議に思った。下半身で開閉作業を行うのか、それとも細くて狭そうなノミの中で反転してその作業を行っているのか……?
その答えを僕はまだ知らないが、羽化のさいにミノから飛び出した蛹(抜け殻)の形を見ると、頭が下になっているから、蓑の中で反転することはできるのだろうと納得した。
というミノムシつながりで、ギボッチでみかける現役の(?)ぷちミノムシ?……これが何なのか、わからない。ミノムシの仲間なのか、それとも糞のカプセルをまとっているツツハムシの幼虫なのか?


画像を検索してみたところ、ヒロズミノガ方面の幼虫が似ている気もするが……。

あたたかい日に見かける?カメムシや甲虫類

ギボッチ(擬木ウォッチ)では、冬でも色々な虫を見ることができるが、カメムシや甲虫類は比較的あたたかい日や時間帯に見かけることが多いように感じる。








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コメント

No title
昨日は有難うございました。
クロテンフユシャクも交尾しているとメス判明で良いですね。
シロフフユエダシャクが目立って来ましたのでメスを見付けたいです。ナイス
No title
> 市川さん

昨日はどうもでした。欄干のクロテンフユシャク♀っぽいのは、あの時のものですが、あのあと擬木でシロフフユエダシャク♀も見かけました。そのままの状態にしておいたのですが気づきませんでしたか……。
今回のシロフフユエダシャク♀画像と同じように擬木の上面の縁にいました。柱部分の縁にとまっていることもありますね。これから見られるチャンスも増えてくるだろうと思います。
No title
先日はまたお邪魔してしまったうえに 色々なお話しを聞かせて頂いて感謝です。
きっとまた遭遇できますね。w
No title
こちらこそミスジノウハウを教えていただき、ありがとうございました。気をつけて探してみたいと思います。
僕はあのあたりでは、ちょくちょく見かける「普通種」かも知れません(笑)。
No title
こちらではシロフフユエダシャクもクロテンフユシャクもまだ見かけていません!

そんなことより気になるの~~~♪

いつも星谷さんが行かれる擬木の柵の道はどうなってるの?
車道の真ん中に擬木が連なってるの?
どこが歩道なの?

ずっと気になってます!!
No title
> ピンちゃんのママさん

ギボッチ(擬木ウォッチ)コースの遊歩道は、森(ワイヤーフェンス)沿いに車道と平行して続いています。擬木は遊歩道と車道の間にあって、植込み等もあるので、この植込みで発生した虫や森側で発生した虫が落ちたり飛んできたりして擬木に登ってくるのだと思います。
遊歩道は所々で上りと下り(?)で分かれていたり分岐している所があって、その分岐点や合流点などでは歩道の間に擬木がある所もあります。今回のシロフフユエダシャク♀の最初の画像は遊歩道の合流点ですね。
No title
こんにちは。
・・・クロテンフユシャクの交尾シーンに!
♀を守らんとする♂の包容力(何ら関係ない?)を感じてしまいました・・・

ウスバフユシャク♂とクロテンフユシャク♂の翅のラインの違いが判りやすく説明して有り、見入ってしまいました・・・
(両種の♂を未だに観てませんが!脳内イメージにインプット!させて頂きました)

・・・「ニオイタチツボスミレ」・・・(爆笑!)(笑)(笑)

・・・シロフフユエダシャクはこれからですか・・・
観てみたいです・・・樹の幹チェック!ギボッチ(がこの辺りにあまりないのが残念だわ~)チェック!怠れませんね!!!☆
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

僕の中では「クロテンフユシャク」は「黒点冬尺」ではなく「黒貂冬尺」に翻訳されてしまい、ひそかに「セーブル冬尺」と呼んでいます。
余談ですが「伊達巻き」は「イタチ巻き」と読まずにいられません(笑)。

フユシャクの交尾は、♀が♂の翅にかくれてしまいがちなので、注意して見ないと見逃してしまいそうです。実際、過去に♂だけの単独ショットのつもりで撮って帰った画像を後で確認したら♀がこそっと写っていた──なんてこともありました。
今は、♂をみつけたら♀が隠れていないかチェックするようにしています。

ウスバフユシャク♂とクロテンフユシャク♂の識別の目安となる外横線、ネットで見ると、もっとハッキリ特徴が判る個体が多いようですが……こちらで見られるものはカーブが微妙なものがけっこういて、今回の例もちょっとわかりにくい個体だったかもしれません。
似たのがいる虫は種類の特定が難しいですね。
No title
この時期、色々なフユシャクが居て、難しいですね(^^; 雌が翅を諦めるのと、繁殖時期を冬にするのは、同時に進化したのかな? なかなか思い切った選択ですよね。メダカチビカワゴミムシ、居ますね(^^) ナイス
No title
昆虫なのにわざわざ寒い時期に活動していること・蛾なのにメスは翅が退化して飛べないことなど、フユシャクは興味深い存在ですね。
メダカチビカワゴミムシは寒さが緩むと見かけるのですが、動き回るでなかなか撮らせてもらえません……。
ちゃわんむしさんは小さな虫までキレイに撮影されているので、いつも感心して拝見しています。
No title
一昨日。公園で擬木巡りをしていたら、同じように擬木を眺めてる女性がおられました。偶然オイラがフユシャクを見つけたときだったので「ここにフユシャクがいますよ」と、声をかけたら「フユシャクいましたか~」と嬉しそうにやってこられて覗き込んでいました。「綺麗ですね~」と感想。ん~~~~、ホントにムシ好きの女性っているンだなぁ~♪と思いましたよ。
現在、勤務中は温かくてイイお天気なのですが…勤務あけにもこのお天気であれば、虫探しが出来るンですけどね~。
No title
> カメレオンアームスさん

ちょうどフユシャクを見つけたときだったとはナイスタイミング!
こちらでも、ギボッチャー(擬木ウォッチャー)はよく見かけます。ムシ好きの女性もいますね。
イモムシ系の幼虫が好きな人は男性よりも女性の方が多いのではないかと密かに思っています。男性の虫屋さんでイモムシが苦手な人ってけっこう多いような気がしています。

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